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私だけのモノ  作者: 綾小路隼人
日本編

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16/53

極上の人肉

またしても短い話ですが。

「さあ、出来たわ」


あれから30分が経ち、ピーマンの肉詰めが完成した。

肉は、もちろん武の肉である。

付け合わせにニンジンとエンドウ豆が添えられ、表面に掛けられたケチャップが、茶色く焼けた肉を赤く彩っていた。



「岩下さんって、料理上手ね。お店のものみたいだわ」

「そう? 嬉しい事言ってくれるじゃない」


いつも以上にご機嫌な沙樹。

それは京子も同じようで、動きが心無しか軽やかだ。

肉詰めを口にすると、目をピエロのように丸くして、「んー♪」と気持ち良さそうな声を発した。


「今まで食べた中で最高の肉ね。世界一美味しいわ」


流れる川の如く、京子の口からスラスラと褒め言葉が出てくる。

沙樹は「そんな事ないわよ」と誤摩化すように言ったが、京子にしてみればお世辞でも何でもなく、本当に極上の肉なのだ。

味も食感も、最初の頃に食べていた肉とは比べ物にならなくて、いつしか彼女は武の肉の味が忘れられなくなっていた。

もっとも、彼の肉はもう3分の1しか残っていないのだが。


(河本君の肉が、こんなに美味しいなんて………)


淡褐色の瞳をキラキラ輝かせている京子を見て、沙樹は我が子を見つめる母親のように笑った。


「よっぽど美味しかったみたいね。やりがいを感じるわ」


肉詰めをまた作ってあげたい。

河本君の肉をまた食べてみたい。


2人のそれぞれの考えがダイニングテーブルの上を交差した瞬間であった。

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