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上京(situation)8 (〇Д〇;)

「さぁて、腰の痛みも引いた。いい加減、流れ作業に戻りてぇ。スマートに頼むぜ?」

「はいはい」

正しいモーション、とにかく回転、そんでスピがしてくれるけど自分からも声かけはできるならやってこう。

手首をプラプラさせ、腕を回し、肩を回す。

腕全体を使うモーション……手首のスナップ……イメージ……よし。

Bボールを持ち、回転。

ィィィィィイイイイイイイイ……

うん。

「いつでもオッケー」

「こっち側だな。見つけ次第俺らは仕掛ける、いいな?」

「うん」

………………あれ?

今思ったけど、それだと僕、気づけないと狩り競争負けやすくならない?

まぁレーダーはパーティで共有してるし……いや、そもそもカハヤ達に先に仕留める敵を選ぶ権利がある時点で……。

…………………………………。

「ねぇカハヤカハヤ、僕が仕留めるモンスター先に決めちゃダメ……?」

「……………………( 一一)」

「…………………………ねぇねぇ(・ω・`)」

「……あ、いたぞ!あそこだ!突撃ーーーー♪」「おー♪」

「…………………。………謀ったなカハヤぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!」

駆け出すカハヤ達に思わずツッコミ。そうだよ、近距離中距離で自然とポジが決まってたけど敵との距離が離れてて攻撃頻度もカハヤ達に比べて不自由する僕、不利じゃん!。

「ギ?」

「ギ!」

「ギギ!」

あ、やば……。

3匹のラットが全部こっちにターゲティング【注目】した。

もう少しでカハヤの間合いだったところで一斉にこちらに向かってラット達は突進してきた。

「あ、バカ、フロン頼む!」「あいよ~♪」

1匹だけフロンが飛んで足止めで戦闘開始。

僕も近づくラットに落ち着いて対処対処。まっすぐにしかやってこない、まず一匹。えいっ!

バシッ!

「ギィッ!?」

よし、仕留めた。

すぐにBボールも戻ってくる。大丈夫、残りラット1匹に対して間に合う。

「だいじょぶだいじょぶ……」

回転溜めろ……回れ回れ……。

………ィィィィィィ…

ラットがどんどん近づく。大丈夫、大丈夫…間に合う間に合う…間に合うかこれ…?。ラットの攻撃は単純、とびかかっての突進。目の前1、2mになったら飛んできての体当たり、そんだけそんだけ…。5mまで来た…Bボールまだ溜めないと、いや、違う、そうだ。

「シェ!」カハヤ、大丈夫だ。目線を送る。「?」

「ギィ!」

いつも通りラットが正直にジャンプで体当たりしてきた、狙いは僕の胴回り。仮にくらってもHPは3とか4位しか減らない、致命傷になんてならない。

「フッ……!」

そこを僕はひらりと避ける。どんな攻撃でどう来るかわかってるんだ、余裕!


攻撃の狙い目は……着地した瞬間!

「フゥッ…!!」えいっ…!


バシィィィッ!!!!


「ギギィィイッッ!!??」

至近距離、外す方がおかしい。

ダメージも大きかったのかひと際大きな悲鳴を上げてラットは倒れた。

コアを残してつぶつぶになってどこかへ消えてくのを見ながら、自分の心拍も落ち着いてくのを感じる……ふぅ~。


「て・め・え・はぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


あ、うるさいの来た。

「一つ言ったら一つ忘れんのか?!ああ!?!」

「カハヤだってアンフェアに勝負しといてズルい!!」

こっちにも言い分がある。今の2匹は間違いなく僕が仕留めたし!ノーカンとか絶対言わせない!!

「どこがアンフェアだよ?! お前は3匹同時に相手できたってか?! 隠密で先制するって決めたろうが!!」

「そしたらそっちに分があるでしょうが!!」

「その分込みで50(匹討伐)と20(匹討伐)だろうが!!」

「割に合わない!! そこ言ってなくない?!スピ!!!」

「はい、カハヤが提示した勝負の内容は『カハヤは50体、シェは20体のモンスターの討伐。パーティとして行動しつつ、獲物は早い者勝ち、隠密行動厳守』でした。隠密は厳守なので「ほーれ、見ろ言ってたろ?」………」

「………………」

うわ……なんか卑怯だ、これ、何がどうとかでなく、卑怯だ……。

「なんか……ずっるい……」

「ずるくねぇ。お前ちゃんと同意したじゃん」

詐欺っぽい……。

「それはズルいよ!!」

「ズルくねぇよ!!!」

こっちは体力ないの知ってるくせに……。それ込みで50と20……?

そうやって言い切る気か…くそ…。言い返すなんかないか……?

……………………、ダメだ、フロンとカハヤで50体、僕一人で20体っていうハンデっぽく調整されて公平っぽいとこだけに頭いってた…単純に負けたらアイスおごり程度の勝負なのに…向こうにアドバンテージあり過ぎでしょ?! リーダーがカハヤだし、パーティ行動としてリーダーの指示には基本従うことにも同意してたことになってる…。

今後……最悪、リーダーとして最も離れた敵から敵へランニングしつつ敵もどれを誰が倒すかとかも全部リーダーの権限としてできてしまう。いや、実際にはそこまで露骨にはやらないだろうけど……倒しにくい敵やらを当てがわれる可能性…それは薄いか、けどその辺全部曖昧だからなぁ…厳密に決めてないけどその度に反対意見出さないとどうこうならないとか運動しててそんな流れ切るのは……、そして反対意見に妥当性ない(ただ「嫌だ」じゃなぁ…)とパーティ行動から外れるからルール違反で僕が悪いことに……体力ないから自然と後々に仕留める権利なんてカハヤにいくだろうし……。

「やっぱずっるいわ(-"-)」

「どこがズルいか言ってみろよ(-.-)」

「…………………」

「…………な?」

『な?』じゃないわ、くっそぅ……。

「ねぇ、また止まってるけどそろそろ続けようよ~?さっきも休憩したよ?」

くそ、フロン、カハヤのFiペットしてるなぁ…。

「ああ、そうだな。シェ、俺らはここに何しに来たよ?運動だろ?」

「……………はいはい」そうです。たかがアイスに突っかかり過ぎるのもなんかより徒労というか、ここまでごちゃごちゃ考えてるのもバカっぽいし…。ここは折れるか……次から気を付ける感じで…。

「さっさと動くz「待ってください」」

「…………スピ?」

「カハヤは勝負内容の提示時に後から段階的に個別にルールを追加しました。その点がズルいと私は判断します」

「ん、………」

「カハヤはおおよそ勝負の同意を得られて詳細を詰める段階において自身に大きなアドバンテージに繋がるルールをシェに隠匿しながら提示した節があります、大方相手が同意してる流れの中でこうした行為は詐欺の範疇として入り得ます。ルールを提示する際は明確に定義を指示する必要があり、この勝負内容は確かに曖昧にしている部分があります」

「………………('Д')」

「………………('_')」


「「「へぇ…」」」


「え、無自覚だったの?!」

「ああ。……ってか勝ちたいなぁとは思ってたけど……。……こういう遊びとかよくやるだろ?、そんで相手も今までなんも言ってこないし、詐欺だったとは、知らんかった……あ~…すまん」ほんとかよ…。

「カハヤのやってることは詐欺師の常套手段ですよ?」

「え、じゃあカハヤって詐欺師の天才?」

「いや、あの…やめて…そんな犯罪者な……たかがアイスの賭け一つでそんな…」

「いえ、いかさま行為とした場合、ヤポンの刑法246条での詐欺罪にあたります。裁判が行われれば懲役10年以下の判決が下される可能性があります」

「え……」「マジ…?」

なんか大事だな…。

「ってかなんでスピはそんなこと知ってるの…?」

「私(Fiペット)の役目の一つです。街の住民の快適な生活の為に私たちはいますので。住民間のトラブルでは私たちが矢面に立ち、仲介して解決に尽力するようプログラムされております。簡易裁判所はこの街にもあります。刑事事件案件ですが民事でも訴えますか?私が弁護人として答弁します、弁護士費用はかかりません」

「マジすいませんでしたごめんなさい」

「やらないやらない!!!」

やらないから、裁判なんて!!

何言ってんのこの子?! あれか? 危険物とか調べたりそういう取り扱いの手順や法的手続きやらまで面白半分に調べさせてたからこんなんになっちゃったの??

カハヤが言ってたけど、ぐれてないけどヤバくない!?

「カハヤ~、一応言っとくと、この場合未遂だから刑法250条で詐欺未遂罪だからまだ軽くて済むと思うよ?初犯だし、執行猶予がまずつくだろうし、まぁ民事だったら示談持ってくし、こちら側としては本人に騙す意志とかなかったし」

「ええ?! フロンまでお前、何言ってんの???そこらへんでなんか電子バグでも拾い食いしたんじゃないでしょうね?お父さん許しませんよ!?!?」

わーもうカハヤがおかしくなってきた…。フロンもおかしい。バグかな?これがバグってやつかな??

「もちろん、こちらとしては最終手段として提示および注意をさせていただいたまでです(+_+)」

「カハヤは僕がついてるからね٩( ''ω'' )و」

「「…………………」」

………………………………………………え~……。

……………………………………。

「と………とりあえず、おごるアイスは2つ…いや1つにしとこうか」

「ああ…、そ、そうだな、うん。……今後も忌憚ない意見を頼む。ちゃんと…その…いくらでも聞いちゃうぞ」

リーダー、しっかりして?

………………。

ここに来て一年の付き合いだけど……。

スピ達のまだ知られざる一面を知った。


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