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上京(situation)3 (*'▽')

エレベーターで下へ降り、レディルームを抜ける。


「…………」

「…………」


見渡せば、平原。


少しだけここは小高くて広い丘になっており、遠くまでよく見渡せる。

芝生よりは高く草が伸び、しかしその成長や群生の具合はまばら。種類はオオバコやらシロツメクサ、ギョウギシバ…まぁイネ科キク科の典型的な雑草が邪魔にならない程度に生えている。

少し離れたところに直径20m位の池や、ちょっとやそっとでは動かせそうにない人より大きめの岩、まぶしい日向を遮ってくれて休憩によさそうなちょうどいい木もある。

光で植物達はいきいきとその色を主張し、このエリアの基調が緑であることを印象づけさせる。

まさに草原のフィールド。


僕らが出てきたところは外から見れば少し場違いな一本の大きな大きな巨木だ。

根と根の間に扉があり、そこから出てきた。

周りにはぽつぽつと簡易的なテントや同じような粗末な木小屋があって、NPCがいる。中にはプレイヤーもいて、手持ちのアイテムを売っているようだ。

冒険の出発点なのでそこそこ需要があるのだろう。そうして、ちょっとした集落が形成されている。

フィールドの出入り口ではよく見る光景だ。


「なんか切らしてたかな…いや、ないな。いくか」

「うん」


カハヤと二人、取り巻く集落には寄らずに歩き出す。

草が刈られて道ができており、遠くに街が見える。2、3キロかな、歩いて10分の距離。

天井は偽装パネルで空の映像が流れている。少し目を凝らさないとわからないような位に精巧である。この映像はイベントの関係や天候が変わる時に曇ったり実際雨雲の映像と共に雨を降らせたりもする。今は適度に風が吹き、ゆったりとした面白いスピードで雲が流れている。ここに来たはいいけど、何もしない時にただ眺めてるのも楽しいものだ。

遠くを見ればダンジョンの他からの出入り口となるオブジェクトの木や塔があり、果てには地平線や一部山岳がかすみがかりながらも見える。うーん、今日は少し湿度あるな。

山岳が見えてるがこれも天井同様に偽装パネルで映像だ。ダンジョンは地下にあり、当然果てには壁がある。壁と天井をパネルで映像を見せ、どこまでも果てしないように見せている。上の街はビルが立ち並ぶので、まず感じられない解放感だ。

実際、上の街に比べると遮蔽物は少なく、今いるこのフィールドの全体の広さは約500k㎡。この街はヤポンの出資で開発されたらしいけどそこの最小の州の一つである大阪の1/4くらいと言えば少しはわかりやすいだろうか。ドーム換算だと…(あれは0.05k㎡だから)…うん10000個。

天井には20m以上の高さはあるし手が届くはずもなく、この空間でストレスはない。

スポーツ施設の通り、思う存分身体を動かせる。

あ、迷子にはまずならない。

定期清掃が主となるメンテナンスの時間があり、フィールド全体に一斉点検があるし。身に着けてる装備一式に認証とPS【ポジショニングシステム・位置情報】がついている。

「ねぇそういえばさー」

「ん?」

「装備無しでいるとどうなるんだっけ?」

「お前に縛りプレイは無理だし、露出狂の真似してみろ。今んとこ10秒で倒せる自信あるぞ」

「いやいやいやいや違うって。なんかの拍子に装備を失うこともあるでしょ?認証とか位置情報とか全部失うことあったらどうなるかなって。」

「ああ…スティールするモンスターもいるしな…。問題ねぇよ。メンテのドロイドの定期清掃の項目に捜索が加わるだけさ」

ダンジョンの利用自体登録制だからその方面からアシストがあるようで。

「一時間、レベルによって解放される設定すれば最高二時間ごとだけどさ、デバイスにアラームも来るだろ?」

「ああ、あれそういうことか」

僕の場合は初心者なので初期設定の一時間。一時間ごとにデバイスから自身の状態が『ノープロブレムか?』のOKを押すだけの簡単な通知が来る。

押せない場合は危険と判断し、緊急で救助が来る模様。

「それでなくともHPやSPと状態は常にモニターされてるから、レッドになるとNPCが話しかけてくるだろ?」

「あれそういうイベントかと思ってた」

以前に疲れていて戻るのにまだまだかかりそうな時、どこからともなくキャラクターに話しかけられることがあった。旅の者が道を尋ねてきたり、果物とかボールが転がってきて落とした子供に拾ってあげたりとか。決まって「顔色が悪いな」「顔色が悪いね?」と言っては冷たい水とか塩飴とかくれたっけ。

「まずここで迷子ってのはありえねーな。死者が出たって話も聞いたことねぇよ?」

「ふーん、そっかぁ」

「それに忘れてやるな?、こいつがいる」


「カハヤ、話そうよー」

「シェ、寂しいです…」


身に着けたヘッドディスプレイは透けて周囲の光景の他に自分のパラメータやバイタル、その他欲しい情報を目端に映してくれている。そこに周囲に違和感なく存在した二体のペットが話しかけてきた。


スピとフロン。


この街の住民登録をすると支給されみんな最低一体は持つ電脳ペットだ。フレンドインテリジェントペットと呼ばれ、通称【Fiペット】として親しまれている。

人工AIで人とそん色なく話し、生活のサポートを始め自分の欲しい知識を(電脳百科にアクセスして)調べてくれたり、このダンジョン内でもナビして迷子にならないように、危険がないように助けてくれる。携帯でもパソコンでもTVでもモニターのあるところに姿を現すことができて任意でシャットダウン、(音声認証でセットしてるので)呼べばすぐにパートナーの近くのデバイスに現れてくれる(呼ばなくても出てくることあるけど)。

姿形は持ち主が自由に選べる、というかWEB上で服装感覚でいろんなのが配布されてるから動物や人型に生物じゃないモノとかいろんな形でいる。

カハヤはフロンにミニマムでスイカサイズの幻獣でドラゴン。僕はスピに鷹の姿で。フロンは男の子だけど、スピは女の子だね。


「ん~、何話す?」

「しりとりしたーい」

「いいぜ、リール」

「ルーマニア」「アイス」「スイス」「スケート」「トルコ」「国縛りか?コスタリカ」「カンボジア」「アメリカ」「か…カザフスタン!…あ」

「残念。カナダあるだろう…ユーラシア大陸しばりだったか」

「うーまけたー」

「最近国調べてたの?」

「いや、暇つぶし」


「シェ、私たちもやりましょう」

「え~…いいけど、負けるよ?僕」

「……………」「わかったわかった。悲しい顔しないで。えっと…リーチ」

「窒素酸化物」「つ…つ…追試」「シアン化ナトリウム」「む?…ムエタイ」「イスラエル」「あ、ルーマニア♪」「アジ化アジト」「ト……ランプ!」「プーチン大統領」「ん~…ウール!」「流刑」「ああ、また『い』。…い、イーグル!」「…ルミノール」「?!る、ルビー」「ヒ素」「…ソース」「水爆」「く…く……クリスマ「ちょっとまてぃ」」

白熱するしりとり。なんとか防衛戦を打破すべくがんばってるのに…。思わぬ伏兵、横やりが入った。

「なんだいカハヤ?」

「お前…………いったい最近何調べてたんだよ!??」

「やーまぁいろいろ。なんでも知れるなら、ちょっと極地って知りたいよね♪」

「スピの口から危険物のワードしか出てこねぇのはどうゆうこった!!!?」

調べものをするとそのワードを履歴もかねてFiペットは覚えててくれる。知識の定着は反復反芻が基本だから何度も見返すことが多いので助かる機能だ。そして、Fiペットもそういう知識を蓄えていく。友達として共通する話題は大事なので、こうして会話を重ねることで信頼も築きやすい。


「ちゃんと教育しろ!ぐれるぞスピが!!」


この街では教育こそ一番の重きを置いており、情操教育を兼ねてこのFiペットが支給されている側面がある。Fiペットの主人への信頼はまずゆらぐことはないが、あんまり常識はずれなことをしてると主人を真似るなり同調してやはり協調性のない子に育っていってしまうそう。


さて、次はいよいよ戦闘に…なるのかな…?。

ここまでやっとこさきたけど、なんも思いつかん…。

戦闘ったら、武器だよなぁ…武器………武器……煮詰まっててあんましなぁ…。

シェの武器は決まったが発展や奥義まで詰め切れてないし、カハヤの武器も初期装備でどこを出発点にしようかふんぎりがつかない…。

あ、その前にモンスターだわ。初心者に向いてて草原フィールドのモンスター……………なんだろ???

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