表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「自分の書いた小説に転生したのに、設定が崩壊してるので“書き換え”ながら生き残ります」―作者なのにヒロインに殺されかけてます―  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/57

第三話「選び直す力」

部屋に戻った瞬間、私は椅子に崩れ落ちた。


「……何、あれ……」


頭の中で、何度も再生される。


水晶の光。


あの“揺れ”。


そして――


本来とは違う結果。


(偶然じゃない……)


直感がそう告げていた。


(試すしかない)


私は立ち上がる。


机の上にあったペンと紙を掴む。


そして、震える手で書いた。


『ユイは、魔力を指先に集めることができた』


書いた瞬間。


何も起きない。


(……やっぱり、そんな都合よく――)


そう思った、そのとき。


ぴり、と。


指先に違和感が走った。


「……え?」


じわりと、熱が集まる。


まるで、そこに魔力が流れ込んでくるような感覚。


(うそ……)


恐る恐る、指を掲げる。


淡い光が、灯っていた。


「で、できた……?」


呼吸が浅くなる。


今の一文。


ただ“書いただけ”だ。


なのに。


(現実になった……?)


(いや、待って)


冷静になれ。


本当にそうなら――


(もっと明確に変えられるはず)


私はもう一度、紙を取った。


『ユイは、火の魔法を使えた』


書く。


数秒、沈黙。


そして。


――ぼっ。


掌の上に、小さな火が灯った。


「……っ!!」


思わず声が漏れる。


熱い。


本物だ。


幻じゃない。


(やっぱり……)


震える指で、紙を見つめる。


(“書いたことが、反映されてる”)


でも。


次の瞬間、それは消えた。


すうっと、火が消失する。


「……あれ?」


もう一度、やろうとする。


だが。


今度は、何も起きない。


(使えない……?)


違う。


感覚はある。


でも、発動しない。


(制限がある……)


考える。


・一度しか反映されない?

・条件がある?

・成功率?


(それとも――)


そのとき、気づいた。


紙の文字が、うっすらと消えかけている。


「……これ」


触れる。


インクが、薄くなっている。


まるで。


“使われた”みたいに。


(書いた内容が、消費される……?)


ぞくりとした。


(じゃあ、これは)


魔法じゃない。


スキルでもない。


物語そのものを使ってる。


(なら……)


ゆっくりと、息を吐く。


(やり方次第で――)


とんでもないことになる。


そのとき。


コンコン、とノックの音。


「ユイ様、よろしいでしょうか」


――アリアの声。


びくりと身体が固まる。


(なんで、ここに……)


「入りますね」


勝手に扉が開く。


銀髪の少女が、部屋に入ってくる。


「……何か、面白いことをしてますね」


にこり、と笑う。


けれどその目は、まったく笑っていない。


「さっきから、“物語の流れ”が歪んでるんです」


心臓が跳ねる。


(この子……)


やっぱり、気づいてる。


「ねえ」


一歩、近づく。


「あなた、“書いてますよね?」」


――完全に、見抜かれていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ