私のターン
その日は休みだった。
そして京子もいなかった。
やっと解放された。
学校の間は必ず京子がついてきて大変だったからな。
ゆっくり寝れる。
そう思い俺は二度寝を決め込もうと眠りに入る。
ガチャ
だが誰かがドアを開ける。
「母さん、ノックぐらい……桃花!?」
そこにはおめかしした桃花がいた。
「出かけるわよ!」
「え?ど、どうした?」
「言ったでしょ?覚悟しろって」
こ、こういうことだったのか!?
「ほら髪の毛整えて、服着替えて出かけるわよ?」
「おう!!」
俺は大急ぎで準備をしする。
そうして三十分後。
「ここって確か……」
「ええ、よく二人で来た水族館よ」
「懐かしいな……」
よく二人で来ては俺がヘタレて何も言えずに沈黙に……
「いい思いでないのだが?」
「ふふ、あんたにとってはね?」
「??」
「ここに誘うのはいつも光だった。それだけで嬉しかったのよ」
「桃花……」
俺はその桃花の笑顔に誓う。
今度は決して退屈させないと。
「行こう?」
「ああ」
二人でまず見に行くのはいつも決まっている。
「チンアナゴー」
「ふふ、面白くないわね?」
それでも笑ってくれる。
きっと何かほかのことで笑っている。
彼女は美しい。
「ねえ、光」
「うん?」
耳元で囁かれる。
「可愛かったわよ?」
俺は耳元を押さえて距離をとる。
「も、桃花!?」
「こんなのは序の口よ?」
なんか桃花は今日は攻めっ気が強いような!?
「さあ、行こう?」
「あ、ああ」
そうして次に来たのはペンギンコーナーだった。
「わあ、可愛いわね!」
「ああ、桃花みたいだ!」
ふ、食らったか?
「そうね、まるで光の小さいころみたいで可愛い」
「ぐは!?」
そのまぶしい笑みにやられる。
今日の桃花は強敵だ。
そのあとも俺は全敗だった。
イルカのショーでも……
「じゃあそこのカップルさん!」
指名されたとき俺は「はーい」と元気よく答えるつもりだったのだが……
「いえ、夫婦です」
とにっこり答えたり。
俺は完全に惨敗だった。
その帰り道。
「なあ、今日の桃花強くないか?」
「ふふ、私決めたから」
「何をだ?」
そう聞くと彼女は振り返り告げる。
「もらった愛を返すって」
満面の笑みは愛おしくて可愛くて、惚れ直すのには十分すぎた。
「俺は……」
言い終わる前に俺は桃花を抱きしめる。
「桃花。愛してる、結婚してくれ」
「は、はひ!?」
俺の気持ちは溢れて止めどなく流れていく。
心臓を動かす血液のごとく。
どんどんそれは流れ、行きつく。
愛に。
「と、飛ばしすぎだよ……」
「ああ、そうだったな。待ってろだったな?」
「う、うん……」
俺は彼女を離す。
「待ってて、絶対後悔させない」
「ああ、絶対後悔しない」
二人を包む夕日は優しく照らしていた。
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