飴にも負けず。
「桃花。おはよ!」
「……」
お決まりのガン無視であった。
「桃花が小学生の時、寝ション便が止まらなくて……」
「や、やめろ!?」
「やっと反応してくれたな」
「し、しまった!?」
「俺の完璧な作戦には敵わない。そうだろ?」
「ふん、勝手に言ってろ」
桃花はずかずかと前に進む。
「ほらこれ」
そういって桃花の手にイチゴの飴を渡す。
「今度は捨てられないようにこっそり食べろよ」
耳元でそっと囁く。
「!?」
桃花は耳を抑えて距離を取る。
「うん?まさか……お前」
「い、いや、違うの!?」
「いや、その反応、耳が……」
「待って、まってタイム!!」
桃花は、俺の口塞ぎに来る。
「ふ、大胆だな?」
「あんたが変なこと言おうとしてたからでしょ!?」
「変なこと?なにを言おうとしていたのかな?俺は」
「そ、それは……」
耳を真っ赤にしてもじもじしている。
「おい!なに、人の女を赤面させて喜んでるんだ!」
「お、チャラビ―登場だな」
「だからそれ止めろ!?」
堂本がお怒りだった。
「じゃあ、俺は行くから。またな桃花!」
そういって俺は去ってく。
「はあ、あいつ頭のネジ吹っ飛んでるな」
堂本も呆れている執念だった。
「なあ、何か、またもらってないよな?」
「え、う、うん」
桃花はとっさに飴を隠した。
そこにはどんな意味があるのか。
本人にも分かっていない。
だが、飴は温かくて心地が良かった。
その日の放課後。
俺はデパートで桃花へのプレゼントを物色していた。
そこに見慣れた影があった。
「げっ」
「おう、桃花。運命だな?」
「違う!たまたまここに来てただけだから」
彼女は一人でいた。
チャラビーの影はなかった。
「チャラビーはどうした?」
「喜一はカラオケだよ。なんでも先輩に呼ばれたとか」
少し悲しそうに言う彼女。
彼女はもともと寂しがり屋だ。
それをあのチャラビー放置プレイとはなかなか分かってるな。
「愛が育つな」
「どこが!?」
俺はうんうんと頷く。
「まあ、それはともかく、俺も負けてられない。一緒にショッピングしようぜ」
「え?いやだけど」
「そう言うなって?」
俺はイチゴの飴を見せる。
「これやるからさ」
「そんなので釣れるわけないでしょ?」
言葉でそういっても視線も体も正直だった。
釘付けだった。
「ふふふ、いいのかな?俺が食っちゃうぞ?」
「あ!待って!」
「ふふ、どうしたのかな?」
「あ、飴の為だから付き合ってあげる」
「ふふ、素直でよろしい」
俺は桃花の手に飴を渡す。
「じゃあ、行こうぜ?」
「う、うん」
そうして二人でショッピングをすることになった。
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