偽恋人
「なあ、どこまでついてくるんだ?」
「うーん。面白そうだからどこまでも♪」
(はあ、どうしようか……)
「なあ、俺これから桃花のためにおいしいイチゴ飴を買ったり、プレゼント買ったりしたいんだが、どっか行ってくれません?」
「いや♪」
京子は一向に離れてくれない。
「なあ、そもそもなんで俺に興味がわいたんだ?」
「だって、あそこまで失望されてたのにもう一度、自分に気を向かせるなんてすごいじゃん。どういうテクを使ったのかなって?」
「て、テク?」
「え?エッチなテクがすごいんじゃないの?」
「ぶっ!?」
この女何言ってるんだ!?
「そんなわけないだろ!まっすぐに思いを伝えただけだ!」
「えーそれだけー?」
女はつまらなそうにしていた。
はっ!?
これはチャンスでは!?
「ふ、俺の愛の言葉にかかればいちころさ」
「……愛ね……」
「ああ、愛だ!」
これで少しは俺のことをあきらめてくれるはず。
「いいじゃん!余計に興味がわいた!」
「そうか……」
なんか余計に興味を持たせてしまった。
もうこの際、無視して買い物を終わらすか…
俺は黙って買い物に向かう。
「あ、ちょっと待って!」
そうして俺は桃花へのプレゼントを買いに花屋に来ていた。
「うむ。どれが彼女に似合うか……」
「ねえ?」
女が呼び掛けてくるが、無視だ。
「ねえってば!」
「ええい!うるさいな!なんだ?」
「なんでプレゼントで花一択なの?」
「だって女性へのアピールは花では?」
「はあ……」
女は呆れていた。
「あのね、花をもらったら好意がある相手なら喜ぶけど、それでも毎回だと花はもらうほうも困るよ?」
「え?そうなの?」
俺は愛伝える=花、バラとかだと思っていた。
「光君はやっぱり童貞だね?」
「ど、童貞で何が悪い!?」
「そ、そこまで反応しなくてもいいのにww」
くっ!?
やはりこの女苦手だ!
「とにかくプレゼントを日常的に行うならもっと違うものとかがいいんじゃない?」
「例えば?」
「うーん…人によるけど、無難ならハンドクリームとかいいんじゃない?」
「匂いとか大丈夫か?」
「そこは無臭の奴を選ぶの」
「おお!なるほど!」
こいつ、意外といいやつなのかも?
「はあ、さすが、童貞だね?」
うん。やっぱ嫌い。
そうして無事プレゼントも買い、買い物は終わった。
「その飴全部イチゴ飴?」
「ああ、桃花がどれがいいかわかんないからな。なるべく多く買ってる」
その時の彼女は少し寂しそうに見えた。
「ねえ」
「なんだ?」
「私を桃花に見立てて愛を囁いてよ?」
「は?」
この女何言ってるんだ?
「嫌だが?」
「今から痴漢ですってここで叫んでいい?」
この女……キライ。
俺は彼女に桃花を重ねて囁く。
「俺には君しかいない。愛してる」
「!?」
女の肩がわずかに上下する。
「ほらこれでいいか?」
「う、うん」
はあ、これで痴漢にはならない。
「光?」
声の方向を向くとそこには買い物袋を持った桃花がいた。
「桃花!?」
「光、さっきの言葉……」
「いや、あれは!?」
「そうなの。彼、私を愛してくれているの」
「は?」
彼女は当たり前のように告げる。
「そ、そんな……どうして?」
「いや、これはこいつが勝手に!」
俺の言葉に彼女は言葉をかぶせてくる。
「ふふ、あなたは堂本君が好きなんでしょ?」
「そ、それは……」
桃花は何も言えない。
おそらくまだ整理がついてなくてはっきり言えないのだろう。
「でも、私!」
「彼を裏切っておいて何を言うつもり?」
「!?」
桃花は固まっていた。
「さ、行きましょう」
「お、おい!」
彼女に無理やり連れていかれる。
「なんであんなこと言った!?」
「だって面白そうだったもの」
この女本当に苦手だ!
「はあ、とにかく明日、誤解を解かないと」
「いけないよ?」
「は?なんでお前に命令されなくちゃ…」
「これ」
そういって、自撮りで自分の胸元を撮った写真を見せてくる。
「それがどうしたんだ?俺はそんなのでいうことは聞かないぞ?」
「へえ、この写真を君に撮るように強制されたって言いふらしてもいいんだ?」
「!?……」
この女が嫌いな理由がさらにはっきりした。
女という武器を巧みに使う。
それが苦手だったのだ。
「あなたは今から私の彼氏になってもらいます」
「何を企んでる?」
「うーん。ちょっとした遊びだよ。だからことが終わったら桃花にはネタばらししてあげる」
「満足するまでお前の恋人をやれってか?」
「うん!」
俺に拒否権はない。
なら、さっさと終わらしてネタばらししてもらうまでだ。
「いいだろう」
「ふふ、じゃあ決まりね!」
彼女は心底嬉しそうに笑う。
その笑みが初めての笑顔のように思えた。
それはどうしてなのか。
それをこれから知ることになる。
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