チャラネキ
「それ、どうしたん?私の教えた超イケてる髪は?」
「やめたの……」
「へえー……」
女の声は少し低かった。
「で、そっちのフツメンとハゲと女は?」
「彼は光。でハゲが堂本君。で、女の子は牧田さん」
「ああ、こいつが光君ね?」
女のは俺を知っているようだった。
なぜだ?
「で、ハゲが堂本君ね?はいはい……はい!?」
「よう、京子……」
チャラビーが少し控えめに挨拶する。
「あ、あんた本当に堂本君!?」
「ああ、いろいろあってな」
「色々あってハゲにってどういうこと!?」
女は少し焦っていたがすぐに落ち着く。
「ま、まあいいやそれより……」
女は俺を見て訝しむ。
「あんたが、意気地なし玉無し野郎の光君ね?」
「ちょっと!?」
俺、桃花にそう呼ばれていたのか?
地味にショックだった。
「なんか、落ち込んでない?」
「京子のせいだよ!?」
「え?そうなの?まあ別にいいでしょ」
この女無自覚であんなえぐいことを?
「で、なんでその玉無し野郎と一緒なわけ?」
「……私、喜一君とは別れたの」
「え、マジ?私がせっかく紹介した男なのに?」
こいつが紹介した?
つまり元凶はこいつだったのか。
「ごめん。でも私、喜一君より大切なことに気づいたから」
「俺もだ。悪いな京子」
「なに?二人そろって真面目ちゃんに逆戻り?」
二人は何も言わない。
というか二人とも?
チャラビーも昔はまじめだったのか?
「まあ、いいけど、それはそこの玉無しのせい?」
「せいじゃないよ。おかげだよ」
桃花は強くまっすぐした眼差しで告げる。
「へえーいいね」
そういって俺に近づいてくる。
「ねえ、あんた私と付き合わない?」
「は?」
何言ってるんだこの女は?
「ふふ、逆に興味あるんじゃん?そんな男」
「オレ、オマエ、キライ」
「これでも?」
そういって腕に胸を当ててくる。
「お、おう。いい胸だが……」
効かない。
そう言おうと思った瞬間、俺の後頭部ははたかれていた。
「先輩?」
「光?」
二人が鬼の形相でこちらを見ていた。
「まてまて!?俺はこんなの効かないぞって言おうと……」
「いい胸なんですね?」
「いい胸なんだ?」
「ひいい!?」
俺は急いで女を引きはがす。
「ど、どうかお許しを!」
「ちょっと!?ひどくない?」
それでも女は引っ付いてくる。
それを懸命に引きはがす。
「俺は桃花が好きなんだよ!」
「そんなの私が変えてあげるよ?」
「ふん!俺の愛はそんな単純じゃないね!」
「ふーん」
女はいったん離れて、スカートを少しまくり上げる。
「これでも?」
「!?」
一瞬、目が行くがすぐにそらす。
「ほら、興味あるんじゃない?」
ひらひらとスカートのすそをたなびかせる。
「京子いい加減にして!」
桃花が我慢できず叫ぶ。
「えーだってこの玉無し君、意外と面白いだもん」
「玉無しじゃない。光だよ!」
「彼には失望してるんじゃなかったの?」
「昔だよ……今は違う」
「そう」
二人はにらみ合う。
まさに女のバトルだ。
「京子、いい加減にしろよ?」
「えー堂本君まで?」
「俺達にも事情はある」
「ぶうー」
やっとチャラビーの言葉で女は止まる。
「まあ、今日はいいや。また会おうね?玉無し君」
そういって女は去る。
「はあ、やっと行ってくれたな……」
「……ごめん」
桃花が小さな声で謝る。
「気にすんな?」
そういって頭をなでる。
「へ?」
「さっきのお礼だ」
俺はにっこり笑う。
というより笑ってしまっていた。
「も、もう……」
桃花は文句を言いながら笑みが漏れていた。
「先輩!私も!」
「お、おう」
牧田の頭も優しくなでる。
牧田の髪は少し癖っ毛で桃花とは少し髪質が違っていた。
「ふふ、いい感じです」
どうもご満悦のようだ。
それにしても、あいつが苦手な理由が分かった。
色仕掛けが多いからだ。
桃花や牧田とは違ったタイプの女の子。
今後会いたくないな。
そう思っていたのだが……
「あ」
「ひひ、見つけた!」
一人で買い物中に見つかるなんて想定外だ。
読んでいただき、ありがとうございます。
気に入っていただけたら、ブックマークや評価で応援してもらえると嬉しいです。




