チャラビー真なる覚醒!
放課後の帰り道。
私は喜一君に愛を囁いていた。
光はいない。だけど、不安に耐えられなくて、囁く。
「喜一君、愛してるよ」
「……」
彼は何も言ってくれない。
もう私には彼しかいないのに……
光の顔を思い出す。
あの顔を見て私は感じた。
嫉妬を。そして、絶望を。
「喜一君!」
「あ、ああ。なんだ?」
「だから、愛してるの」
「そ、そうか」
彼はいつだって愛を返してはくれない。
光とは違う……そんなのは分かっていたはず…
「喜一君は私を愛してるの?」
それは口から自然と出ていた。
不安が具現化した結果だ。
「当たり前だろ?」
彼はいつもみたいに軽く笑う。
いつもなら嬉しかった笑みは今ではただ不安でしかなかった。
「嘘……喜一君は私のこと見てくれている?」
「……」
彼は何も言わない。
いや、言えないのだろう。
彼は見てくれてない。
そんなのは光と比べれば一目瞭然なのに……
「なあ、桃花」
「なに?」
「好きだけじゃだめか?」
「え?」
今度は私が何も言えなくなった。
そうだ、好きなだけで何がいけない。
前ならそう言えた。
ただ、最近の光との会話でそれは疑問に変わっていた。
ただ好きなだけ。
「好きだけしかないの?」
「ああ」
昔の私ならそれだけでよかった。
だけど、不意に思い出すのだ。
昔、好きだった飴を覚えてくれていて渡してくる彼を。
「そう……」
「桃花……」
私は期待した。
好き以外の言葉を。
だけど言葉は無常だった。
「俺、もう一人好きな人ができたかもしれない……」
「え?」
それは期待とは遠く違っていた。
「な、何言ってるの?」
「あのな、俺、桃花も好きだ。だけど牧田も好きかもしれないんだ……」
彼は何を言っているのだろうか。
まったく理解できなかった。
「喜一君?」
「桃花、三人で幸せにならないか?」
三人で?
「き、喜一君、日本は一夫多妻制じゃないよ?」
「知ってる。だが内縁の妻なら……」
そういう彼の顔は正気ではなかった。
口は曲がっており、顔が歪んでいた。
「私は喜一君の一番がいいんだよ!?」
「ああ、二人とも一番だ」
彼はおかしくなったのか?
だが、その目はまっすぐ純粋にも見えた。
「……私は嫌だよ……」
「そうか……」
彼は一息おいて告げる。
「なら、桃花とはもう付き合わない」
え?
彼は何を言ってるんだろう?
周りの音は遠くなり、別の空間にいるみたいだった。
「じょ、冗談だよね?」
「本気だ」
彼の眼は真剣そのものだった。
それに私は恐怖を覚える。
「い、嫌だよ!?」
「なら三人で幸せになろう」
「そ、そんな……」
彼はただ純粋に言っている。
それが正しいのだというように。
「桃花、考えてみろよ?今更西木の奴の元には戻れない。なら道は一つしかないだろ?」
彼は狂信的な眼差しで告げる。
その言葉で思い出す。
光のあの顔を、声を。
(もう、戻れない……)
「……うん」
私にはもうこれしかないのだ。
そう、たとえ破滅の道でも。
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