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剣道部のクールなエース美少女が、ネットの親友(女)にガチ恋してるらしい。……それ、女装した僕なんだけど?  作者: 秋夜紙魚
第一巻

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13/29

幕間 多田澪、二

「つ、か、れ、たー!」


 ドサッ。

 部屋に戻るなり、ベッドへダイブ。

 制服がしわになるからすぐに着替えなきゃいけないのに、この数分間の至福だけはやめられない。


 そして、二年前から加わった、もう一つの大切な習慣。


 スマホを取り出し、アプリを開く。

 宛先は「まもるさん」。


 送信するのは、いつも私からだ。

 私のことを「男」だと思っている女の子に、毎日自分からメッセージを送るなんて。客観的に見れば、ちょっと「重い」男かもしれない。

 でも、まもるさんはいつも嫌がらずに、優しく返事をくれる。


 彼女はすごく可愛いし、モテるだろうから、男の扱いにも慣れているだけかもしれない。

 ……ううん、私の中のまもるさんに、そんな悪女なイメージはない。  彼女はどこまでも純粋で、綺麗な心を持っている人だから。


「さてと……」


 今日は何を送ろうか。

 いつもは剣道のことや、学校での出来事を報告している。

 最近はお互いに高校へ進学したばかりだから、新しい環境の話題が多い。


「今日の目玉といえば、やっぱり――」


 同じクラスの男子、木村くんのことか。

 名前が「あおい」で、見た目も中性的で、今日うちの部活にマネージャーとして入部してきた変わった子。


 入力しかけて、指を止める。

 いや、まもるさんが木村くんのことなんて知るわけないし、知らない男の話をされても困るだけだ。


 考えた挙句、『部員が一人増えたよ』とだけ打って送信した。


 あとは、返信を待つだけ。

 いつもなら、すぐに既読がついて、可愛いスタンプと一緒に返事が来るはずなのに。


 ……今日は、遅い。

 というか、既読すらつかない。


「……どうしたんだろ」


 少し心配になる。

 でも、まもるさんにも生活がある。いつもスマホを見られるわけじゃないし、「ごめん寝てた」なんてこともあった。

 あんまり心配しすぎると、束縛する彼氏みたいだ。  いや、私は女の子なんだけど。


 だけど――。

 胸の奥が、ちくりとする。


「お話……したいな……」


 スマホを握りしめたまま、ぼんやりと天井を眺める。

 メッセージを連投するのは迷惑だから、待つしかない。


 そうこうしているうちにご飯に呼ばれ、私は部屋を後にした。


 結局その日、私の送ったメッセージに既読マークが付くことはなかった。



**************************************



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