08.鉄格子の檻の罠
08.鉄格子の檻の罠
あくる日、またいつものように私と純たちは街の外へと探索に出かける。
街から随分と離れてしばらく街道を歩いていくと、広い草原へと抜けた先に、
また『例のもの』はあった。そう…
『あからさまに怪しい宝箱』
だからっ、そんな位置にこれ見よがしにあるとか怪しいでしょうがー!!
「おっ、これは開けてって意味だな?そうだろ~♪」
純がまた毎度のごとくスキップして何の躊躇いもなく宝箱の元へと向かう。
「純~?毎回言ってるけど宝箱には大抵罠とかあるからむやみに近づいたら
ダメだって…」
呆れ顔で純に向けて言っていると
「うん~?」
時すでに遅し…純は不思議そうにこっちを見るがすでに宝箱の蓋を
開けていた。
「純ー?!聞いてた?聞いてなかったよね?!今日も!!」
思わず大声でツッコむ。
すると突然宝箱が眩く光り、純の頭上に鉄格子の檻が出現し、落ちてきたと
思うと派手な音を立ててすっぽりと純を覆ってしまった。
「うわっ!!!なんだこれーー?!?!」
驚愕して叫ぶ純。
「あ…」
呆然とその檻を見つめる私。
「おいおいおい、なんだなんだ?!?!」
晶たちが慌てて純の元へと向かう。
「…それにしても、この罠はいったい何だ?」
律樹が純の囚われた鉄格子の檻をあちこちと不思議そうに眺める。
「鉄格子…? 檻…?」
私も律樹と同じように純の囚われた鉄格子の檻を観察するとぽつりと呟く。
「鍵穴も…見当たらないな」
秋平が鉄格子を念入りにチェックする。
「ちょっとちょっと…ならどうやって純、そこから出るのよ…」
衣織が心配そうに見つめる。
「うーん…純、聖剣で切れないの?」
私は少し考えると純に尋ねてみた。
「待ってましたー!!!」
私の言葉とともにすぐに聖剣を鉄格子に振り回す純。
「おい、待て待て!!」
慌てる晶だが、聖剣の連続攻撃にも鉄格子はびくともしなかった。
「…びくともしないな」
律樹がぽつりと呟く。
「すごい丈夫だね。…いったい何の素材なんだろう…」
…伝説の金属、オリハルコン…とか?
「とりあえず、今は純をどうするか考えないとな…」
秋平が首を傾げて悩ましそうにしている。
「まあ、こういう時は発想の転換ってね」
私は鉄格子の檻の地面に手をかざすと
「砕け…トルネードクラッシャー(大地の破壊者)!!」
鋭利な風がドリルのように地面を勢いよく抉っていく。
「おおおおお!!さすが俺の嫁!!」
純が檻の中から目をキラキラさせてこっちを見つめている…が、今は
魔法を使っているので無視しよう。
「おいおい…マジかよ」
晶が驚いた顔で呟く。
「さっすがひなた♪」
衣織が歓喜の声をあげる。
「うん、すごい…」
悠が驚いて感心する。
「きゃぁあああ!!ひなた!!愛してる!!!」
謎の歓声をあげて純が地面にできた穴へと飛び込んだ。




