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超ハイテンション変人勇者な彼に今日も振り回される~魔王戦って大爆笑で終わらせるものだったっけ?!~  作者: ひととせ そら


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18.純の回想、そして…

18.純の回想、そして…


ひなたとは幼稚園の頃からずっと一緒だった。小学校も、中学校も、

高校も…。

だから、いつも一緒にいるのが当たり前だと思ってた。


ひなたはどんな俺のおふざけにも付き合ってくれた。時には笑って、

時には呆れて。どんな奇行をした時だって。それでも、ずっと

傍にいてくれた。


俺が勇者に選ばれて、勇者召喚されて、ひなたも晶たちも異世界に

召喚されて、それからもひなたは傍にいてくれた…どんな時でも。


みんなでふざけ合いながら旅して、魔物討伐して、世界を回って…。

そして、魔王を倒して、現代のこの世界にひなたたちと戻ってきて…。


ほんとに、今まで色んなことがあった。でも、こっちの世界に戻ってきて、

ひなたとこうして一緒に帰って…俺が気持ちを伝えて。そして、こうやって

ひなたと結ばれるなんて、さすがに最初の頃は思ってなかったかもな。


だって俺、変人だし? 奇行ばっかしていつもひなたのこと

振り回しちゃってたし?


でもさ、こんな俺なのに…この世界でも、異世界でも、どこにいようと…

ずーっと傍にいてくれたじゃん?ひなたは。


だからさ、俺…そんなお前のこと、ずーっとずーっと、好きだったんだ。

それこそ出会った幼稚園の頃から、さ。




◇----◆----◇----◆----◇----◆----◇----◆----◇----◆----◇----◆----◇




「うん…純、大好き」

目を細めてクスッと微笑むと、純にそっと口づけを落とした。


夕暮れ時の河川敷の土手で、世界中の誰よりも愛する人からの口づけを受け、

これは夢なのだろうかと、その愛しい人の顔をただじっと見つめる。


でも、唇に感じる彼女の柔らかな温もりが、これは夢ではないと

伝えてくれる。


彼女の想いに応えたくて…慎重にひなたの腰を抱き寄せ、

より深く口づけた。


しばらくそうしてお互いの気持ちを確かめ合った後、そっと唇を離して

彼女を愛おしそうに見つめる。


「ひなた、俺…お前のこと本当に…本当に大切にする。…愛してる、ひなた」


夜の帳が下り始め、月と星が顔を覗かせ始める。そんな柔らかな月明かりに

彼女の顔が照らされる。


返事代わりなのだろうか? 彼女がクスッと微笑んで、もう一度俺に

口づけを落とした。


幸せに満ちた瞬間だった。


世界中のどんなものよりも愛しく感じる彼女に、俺は応えるように

優しく唇を重ねる。


この瞬間、俺は思う。絶対にこの時を忘れない。一生涯、ひなたを

守り抜くんだと。


いつの間にか空にはたくさんの星が瞬いている。

涼しげな夜風が二人の間を通り抜けていく。


「帰ろうか。この現代日本の…私たちの家に。」

「そうだな、帰ろう。俺たちの家に。」

微笑んで手を繋ぐ彼女に、応えるように握り返して星空の下を二人、

ゆっくりと歩いていく。


お互いの自宅の近くまで辿り着き、互いに見つめ合う。


「それじゃあ、純。また明日、学校で会おうね」

「あぁ…また明日、学校で。…愛してる、ひなた」

どっちからともなくそっと口づけを交わす。


ひなたが去った後も、その場に立ち尽くしてひなたが見えなくなるまで

見送る。

そしてひなたへの想いに浸り、彼女とさっきまで触れ合っていた自分の

唇をそっと指で撫でる。


ふと空を見上げる。たくさんの星が瞬く星空の下、夜風が爽やかに

吹き抜けていく。


静かに目を閉じて考える。

こうしてまた平和な日常を送れるようになるまで、本当に

長い道のりだった…。

そしてこれから先、この日常が永遠に続くわけじゃないかもしれない。


それでも今は、この瞬間だけは、大切な人たちといられる

この平和を噛みしめていたいと思った。


…何よりも大切な、俺の愛しい人…ひなたとともに。



………


……





...fin

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