13.大爆笑の魔王戦ー01
13.大爆笑の魔王戦ー01
「はぁ…やはり人間というものは理解できんな。こんなふざけた者たちと
戦わなければならんのか」
魔王からもため息がもれた。
「ごめんなさい。変なのはこの、純って勇者だけなので…」
思わず魔王に謝る私。
「いや、小娘よ。むしろ感謝している。こんな狂ったやつと
戦えるのだからな。これまでの城での退屈さに比べたらむしろ面白そうだ。」
魔王が純を見つめてニヤリと微笑む。
「それは…良かった…です…ね?」
どう反応していいやら…。とりあえずそんなことをぽつりと言う私。
「それでは始めようか? この世界の命運を賭けた戦いを。」
魔王が不敵な笑みを浮かべて両手を広げると、禍々しい色の魔法陣が
形成され、淀んだオーラが溢れると、魔法陣の中から魔物の軍勢が
召喚された。
「うっわ!! なんだあのキモいのはwwwwwwwwwwwwwww」
「だから~…純、爆笑しすぎ…」
魔物の軍勢を見てケラケラと大爆笑する純に、私は呆れてため息をつく。
「あいつは本当に…」
呆れて首を横に振る律樹。
「はぁ…仕方ないなぁ…」
呆れ笑いをして秋平が純を見ている。
「う、うわ…これが本当の戦い…」
悠が魔物の軍勢を見て目を丸くして驚く。
「すごい…」
衣織も魔物の軍勢に驚いて呆然とする。
「みんなー!!戦闘準備っっだっっ!!!wwwwwwwwwwwww」
「純…だから、爆笑を止めなさいと…」
真面目なのかふざけてるのかわからない(多分ふざけている)純の
その姿に私はまた呆れてため息をつく。
その時、魔物の軍勢が純へと一斉に襲いかかってきた。
「わっ、こいつら可愛いな?wwwwwwwwwwwwww」
純は素早い身のこなしで魔物たちの攻撃を軽々と躱しながら、
お尻をフリフリと振っている。
「うん、まぁ…楽しそうで何より…」
もう呆れるしかない。純を生暖かい目で見守る私。
純が魔物の軍勢に向けて駆け出すと聖剣を抜いて技を繰り出した。
「ライオネルバスターーーーーー!!!!wwwwwwwwwwwww」
「純は終始爆笑しながら戦闘する気なのかな…」
呆れながらその戦闘風景を眺める私。
「ライオネルバスターミラクルバージョン!!!!wwwwwwwwwww」
爆笑しながらさらに強力な技で魔物の軍勢を一掃する純。
「まあ、うん…強いんだけどね…」
呆れながらぽつりと呟く。
ふと、純の口にしてた聖剣の技名が気になった。
なんだろう…『ライオネルバスター』って…。
ライオネル⇒主に英語圏での男性の名前
バスター⇒潰す、破壊者
つまり…
ライオネルバスター⇒破壊者ライオネルさん?
うん…
どういうこと?!?!
使ってるの純だよね?!
いや、それ以前に…ライオネルさんって誰?!
思わず内心でツッコんでしまう。
「あー、超楽しかったーwwwwwwwwwwww」
魔物の軍勢を倒し終えた後も爆笑し続けている純。
「ひなたーー!! 俺、超カッコよかったでしょ?!」
駆け寄ってきた純がウインクして何かのアピールをしてくる。
「はいはい。すごかったねー(棒読み)」
「さすが俺の嫁!話が分かるな~♪」
純が私を抱き上げてクルクル回るが、もはや呆れてされるがままでいる。
晶たちも呆れてそれを眺めていた中、純が急に私にチュッと軽く
キスしてきた。
「っ?!?!」
吃驚して思わず目を見開いて純を見つめる。
「戦いの後の勝利の味はどうだい、嫁よ?」
お茶目にウインクをしてくる純。
「『嫁よ』じゃないバカぁーーーー!!!!」
「あ~生き返ったぜ~wwwwwwwwwww」
私の叫びもなんのそのな純。
「あとその爆笑も止めなさいとさっきから言ってるでしょーがーー!!!!」
構わず叫ぶ私。
「え?なんだって?褒美をくれるって?んじゃもう一回チュウ~」
お茶目な顔で近づいてくる純。
「ていっ!!」
純のおでこにチョップをくらわせる。
「いてっ!! なにすんだよ~ひなた~」
おでこを押さえながら抗議する純。
「魔王戦で何してるの?! まだ魔王が残ってるでしょ!!」
と、玉座の間の中央にいる魔王をビシッと指差す私。
「あ、いっけね…そうだった。危うく魔王を倒し忘れるとこだったぜ~。
一発ギャグ考えるのに忙しくて、魔王のこと完全に忘れてたわw」
お茶目に言いながら魔王に向かって歩いていくとそう呟いた純。




