10.魔王城前の戯れー02
10.魔王城前の戯れー02
「えー?そうかなぁ? 私は良いと思うけどなぁ~? あ…そうだ!
ねぇ、純! ひなたに告白しちゃいなよ~!!」
魔族と戦いながらニヤニヤして純を焚きつける衣織。
「えぇ?! そ、そんなのダメだよ!!!」
魔族と戦ってた悠がなぜか慌てて衣織を止める。
「おっ、マジで?! じゃ、今すぐ告白するわー!!!」
衣織の言葉に純が興奮して反応したかと思うと、こっちに向かって…
「ひなたぁーーー!!! 俺と結婚しよう!!!」
と叫ぶ純。
しかし、魔法に集中してる私は何か純が叫んでいそうなのを横目に
ちらりと見えはしたが反応する余裕はないし、周りの騒音で純が何を
言ってるのかもよく聞こえないので、とりあえず目の前の魔法に集中して
魔族を倒していく。
「ぷははっ、聞こえてないみたいだけど~純?」
その純と私の様子にケラケラ笑う衣織。
そして、残り1体となった魔族がホーリーランスに貫かれて消滅する。
私の魔法が終わるのと同時に純の告白も終わる。
「ふぅ~スッキリしたぁ~♪」
八つ当たりでしていた魔族たちへの魔法連射が終わり、涼しい顔で
額の汗を拭う私。
「ひなたぁぁぁ!!! 俺、今告白したんだけど?!告白!!!
なぁ、返事は?!返事~!!!」
興奮したままの純が駆け出して私に思いきり抱きついてきた。
「ひゃっ!! え?!な、なにが??」
内容を何も聞いてなかった私は混乱して動揺する。
「聞いてなかったなら何度でも言うよ!俺と結婚しよう、ひなた!!」
私をよりぎゅっと抱きしめて言う純。
「え? な、なんで急にそんな話??」
話が見えなくて困惑し、頭の中が疑問符だらけになる。
「そりゃあ、さっきひなたが魔法使って魔族全部倒しちゃったのが
カッコよすぎたからに決まってるだろー!!
今告白しなくていつ告白するんだよー!!」
「うん…ちょっと、意味わかんないw」
さらに抱きしめて喜々としながら興奮して言う純に、いい笑顔でツッコむ。
「いやマジで!結婚しようぜ~ひ・な・た!!」
キラキラした目で見つめてくる純。
「…ちょっとみんな…コレ…なに?」
困惑と混乱でいっぱいになり、助けを求めるように晶たちを見やる。
「はぁ~…またあのバカは…」
純の様子を見た晶は呆れて首を横に振っている。
「…一体どこからあんなエネルギーが出てくるんだか。」
律樹がクスッと笑う。
「まあ、うん、そうだな」
秋平も律樹の言葉に呆れ笑いする。
「純らしいね」
控えめにクスッと笑う悠。
「そうそう、さすが純!」
クスクス笑う衣織。
「あー、みんな? 俺、今プロポーズ中だから邪魔しないでよ!!」
私の両手をぎゅっと握り
「ひなた!! だからさ、俺と結婚しよう!!」
「あはは…今回はまた、なんのおふざけネタなのかな?」
困って苦笑いする。
「おふざけじゃなくてマジだって!! 俺がお前のことどれだけ好きか
分かってるだろ!!」
「純~? そろそろやめておかないと、ひなたに本気だと
思われちゃうよ~?ww」
純の言葉にクスクス笑いながら言う衣織。
「本気だよ!! ひなた、俺本気だからな!!」
「はぁ…魔王城前でなに言ってるやら…」
純の様子に首を横に振る。
「こらアホ、止まれ。もういい加減にしろ」
純にチョップをかます晶。
「いてっ!! 何すんだよ晶ぁ!! 俺今、告白中だろ!!」
頭を押さえて抗議する純。
「ま~たいつものが始まったよ」
クスクス笑う衣織。
「…相変わらずだな」
クスッと笑う律樹。
「まぁ…純らしいといえば純らしいんだけどな」
呆れ笑いをする秋平。
「そうかもしれないね」
つられてクスッと笑う悠。
晶たちがそれぞれ違う反応をする。




