なんなんだよ本当に!
『ゲートX番地にて、アニメキャラのフィギアを背負ったナンが暴れています!X番地辺りに住んでいる方々はお気をつけくだ———速報です!ゲート12番地にて、規模の大きいビル崩壊が発生との事です。情報に寄りますと、死者は0人、傷者もいないとの事です。これは、謎災害初めての被害者0人ですね。ですが皆さん油断は———』
「終わったあああああああああ」
「なんて誰も死んでないの?つまんな」
「つまんな。じゃねえよ!!俺ビル倒しちゃったよ!被害者0人なのは喜ばしいけども、倒しちゃったよ!おい責任取れ!」
「いや、本当になんで誰も死んでないの?絶対一人は、、、」
知らんよ。お前人間が死ぬ事しか考えてないのか。
いやぁ、ホントに倒しちゃったなぁって思った。自分の感情をどう言えばいいか。
もう、時間巻き戻してアイツらの所に戻りたい。急に指揮官押し付けられたり(自業自得)ロリコンって言われたり散々だったけど絶対あっちの方が楽しいし、えあ俺アイツらと居るの楽しいとか思ってたの?でもしょうがないでしょ今こんな状況だし。あれか、物の大切さって失ってから気づく的なやつか。
ロボコンの感情は高く波打ち、明後日の方向に向かう。
「ちょっとさ、もっかいやってくんない?」
ロボコンの激しい感情を遮ったのは、ロボコンのビル崩壊初デビュー(?)に勝手に誘導した青髪頭上に花の少女。そういや名前聞いてなかった。適当にクソ野郎とも名付けるか。
「いやいやいや無理無理無理。今度こそ誰か死んじゃうって!」
ロボコンは全否定。そりゃそうだ。
「試したいんだよぉ、ふぁあ、誰も殺せない黒幕とか論外だからね。もし無理だったら処す可能性もあるからやった方がいいよ。」
それは言わないで欲しかった。崩壊させる気あんのかよこいつ。勝手に黒幕にしたついでにやるだけやったら処すなよ、工場であるロボット廃棄ぐらい酷い。
「あ、まって。タクシー呼んでたんだった。ロボコンちょっとこっち来て。」
あ、ちゃんとした名前呼んでくれたやっと。当たり前のことだがありがとう。
殺されるわけじゃないんだし、取り敢えず着いて行こう。ビルの屋上から地上まで、古びた螺旋階段をチャチャっと下る。重々しく錆びたドアをやっとの力で開けると、いつもの風景が広がって見えた。ガラスビル群は青空を義務のように映していて。
「あー、あれあれ。———どうもありがとう。」
「ん。」
「炭酸水!あざすあざす。」
「あい。」
「それじゃ、このヘッドホンよろしく。」
「オケ。」
「さ、ロボコン早く座って。」
危機感。うん危機感。
二人の会話に込められた一つ一つの単語が全て隠語に感じて止まない。だが渡したり渡されているのは炭酸水とヘッドホンで間違いない。
ロボコンはドライバーとクソ野郎の謎の圧にやられてしまって、そのタクシーに乗った。中は平凡なタクシー。安心するあの香りが充満していて、気が抜けてしまう。
まあ、ドライバーの容姿に目を合わせることで、抜けた気は一気に頭に浸透してブーメランとして帰ってくるのだが。
ドライバーはウサギの仮面を被って、黒のコートと黒のズボンで露出というものを知らないような格好をしていいた。普通なら通報するだろうが、警察が来たら来たで自分も逮捕されそうで怖い。警察が警察に怯えるなんて馬鹿な話だが、それが現実になってしまった。改めて現在自分が置かれている状況にロボコンは失望する。
「んじゃ。行くよ。」
「えあ、はい。」
いや何処に?何処に連れてくの。
「あ、このヘッドホン、耳っぽいものにつけておいて。」
「えあ、はい。」
展開に流されまくってる。島流しされた気分だ。
ロボコンはカメラ(目)と連結された補聴器にヘッドホンの片方を取り付ける。サイズ的にパッとハマった。
ドライバーはそれを確認したようで、車を発進させる。いきなりぶぉぉんって100キロぐらい出すと思ったが、周りの法律を守る運転に合わせた速度だった。簡単にいうと家族の運転する車ぐらい丁寧だった。
程よく揺らされる体に、意識を灯らせていると。
———爆音。
謎災害?違う。異端災害でもない。じゃあ何だって?
爆音の音楽が、流れ始めた。周りのエンジンの音も工事中の建物からの騒々しい音も聞こえず、激しいリズムの洋楽が急ーに流れ始めたんだ。鼓膜ないけど鼓膜破れそう。
「ちょっちょっとこれなんですか!はよ止めてください!」
補聴器にパッとハマったヘッドホンをロボコンは必死に引き剥がそうとするが、頼りない音を立てるのみ。
あれだ、子供がお菓子コーナーでおねだりしてる時ぐらい手強い。
「今から質問する。いい?」
「、、、、、、、えあなんて言いました!?」
座席からウサギの仮面の鼻が覗いたことで何か言ったのではと考察してそう問うが、返答も分からず、声が掛けられたのかも分からない。全てが理解不能。
「———今君、黒幕降りたいとか思ってない?」
「、、、、、、」
ロボコンはただあたふた。
「だったらさ、ここで全部終わりにしようよ。ロボットなら、激しく事故って粉々になれば機能停止確定でしょ?そうしたら廃棄だよ。こんな意味わかんない人生から抜け出せるよ?」
「、、、、、すみませんなんか今言いました?」
「どう?yesって言ったらロボコン君は無事機能停止。Noだったら、この黒幕という仕事を続ける事になる。どっちか決めてみて。この話に乗るなら———yesだったら首を横に振って。Noだったら頷いて。OK?」
「、、、、、、、、すみません本当にこの音楽止めてくれませんか?本当に何も分からなくって、、、」
ああ。
ロボコンは今。不可抗力の中で馬鹿なことをした。
首を振った。横に。何も分からなくって、、、の所で。何も分からないと言うジェスチャーというのにも関わらず、ウサギ仮面のぶっ飛んだお話に乗り返答したと言う
事になってしまった。
「OK。機能停止を有望ね。」
「待ってホントにこれ止めてくれませんか———」
ガシャァァァァアン!
「ええっ———」
ウサギ仮面は腕をぶん回し、ハンドルは右回りに激しく飛ぶ。右に位置していた車は派手にぶっ飛び、ガードレールは事故という言葉では語れないほどボロボロな姿になって。
———飛び出した。
「まってまってまってちょっええっ!」
車はジェットコースターと化して、工場地帯に潜り込んでゆく。向かう先には、、、
ガスタンク。
ガスタンク!?
「なんか先に凄いの見えてません!?え、粉々になりますよ貴方も俺も!ちょちょちょ」
「ロボコンを機能停止、、、もうちょっとでタスク完了かな。これで私の使命も終わりかー。後世はもうちょいマシな職に就こう。」
「ちょ———」
「し、き、かーん!!!」
場面がスローになる。そんな中でロボコンのカメラが見据えたのは。
なんだかんだ居て楽しかった、、、アイツらだ。




