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青空99%  作者: 赤松
3/5

最っっっ悪ですわね本当に!!!

「で、ロリコン指揮官?私のあのびれ———」

「———ごめん遊ばせ!」

 急に、ヘリコプターが重低音を放ちながら上下する音と、お嬢様系でよく耳にするセリフが聞こえる。

 バレッツの癪に触る言動を遮ったのは、、、。

「わたくしはネビル!!わたくしが"アナタ"を捉えたところでアナタの人生は終了間際!おとなしくおな———」

 アナタ、とは誰の事だろうか?謎に俺の方向を見ているが、まあ大丈夫だろう。

「姫様。本題からお話ししませんか?」

 ヘリコプターの音が強過ぎて正直言っていることが聞き取れない。

 俺を見下す様にヘリコプターの入り口に立っていたのは体のラインを出したスーツに、右手にどでかい洋風時計を押さえている少女。

 そんな彼女を姫様と呼んだのは、執事みたいな服を着て、腰にインク缶に似た物を4つ携えている女性だった。

 ヘリコプターがゆっくりと降下を初め、風の波紋を生み出し屋上に着地する。音が冷めきったかの様に無くなった。

「お騒がせしました。私たちは天枢学系超学園の制裁委員会に属す物です。貴方方のうちの一人に用があるので、、、ああ。貴方です貴方。」

 声が聞き取れるのは勿論、声はキリッとした顔つきにしては温厚らしく、俺を見ながらそう言った執事っぽい人は、やけに笑顔だった。

 、、、俺を見ながら?

 嫌な予感が胸に突き刺さったからなのか、時計がピコピコってなる。こんな機能あったっけ。

「貴方、時計の男性。ロボコン様に用があります。"一瞬で終わる"ので心配事は———」

「ちょっと!!それは私が言うことでしょ!?」

 執事っぽい人に姫様っぽい人が言葉を被せた。ヘリコプターの入り口でわちゃわちゃしてる二人は兄弟にも見えるし仲良しの親子にも見える。

 だがそれがムカつく程に、俺は人生最高の危機感を抱いている。それは現在進行形でデカくなるばかりだ。

 俺?ロボコンに用?こんな強そうオーラを放つ人達が?絶対ろくなことないじゃん逃げたい。

 俺はさいっこうに全てを他人事にしたい気分である。

「ろ、ロボコン指揮官?早めに逃げた方がいいぞ」

 そう突然耳元で囁いてきたのは香和だった。

 なんで?と聞き返したい所だが、そんな時間は残されてなかった。

「ではロボコン様。我々と同行願います。」

「だからそれは私がっ———」

 ロリコンと誤解されなかったのは、正直嬉しかった。

 

 

 

 真っ暗闇の状態から、静かに視界が開くのを感じた。寝て起きた様な感覚だった。

 

 

 で、ここは何処?

 俺は椅子に縛られた様で、横並びになった縄が視界に覗いて見える。

「起きたか不届者め。今すぐに制裁してや———」

 姫様っぽい人が殺意満々に、大きい時計を腰回りにぶんぶんと回しながら歩いてくる。

「姫様落ち着いて。、、、起きてから早々申し訳ありません。此処は天枢学系超学園の処刑場です。我々は制裁委員会の人員であり、」

「ちょっちょっと待ってもらって良いですか」

 つい声で遮ってしまった。罪悪感と危機感が一気に押し寄せる。執事っぽい人は、どうぞ、と言わんばかりに微笑み頷く。

 、、、聞きたくなかった事を聞いてしまった。

「処刑場、って、なんかするんですか!?俺なんもされないですよね」

 処刑場って、拷問とかしちゃうタイプの所だよな。でも俺にはしないよな、なんもしてないし。でもだったら何で処刑場に?俺は何でここに連れて行かれた?他のみんなは?

 迷子の子供の様に俺の心が喚く。どれだけ疑問を重ねても意味無いのは俺なりに理解はしている。だがあまりにも事態が急展開を重ねていたので、心の中で湧き出る言葉はいつも疑問符が入っていた。

「、、、姫様」

「なんでこう言う時だけ私任せにするの。」

 姫様と執事っぽい人が向き合いになる。

 処刑場に連れてきた理由は言いにくいのか!?言いにくい事なのか!?

「まあ、最初っから説明すれば分かるわね?貴方は相槌を打つだけで良いから聞いて頂戴」

 執事っぽい人が子供用の可愛いデザインをしたクッションの椅子を持ってきて、姫様っぽい人が座る。ぷっと可愛い音がした。

「貴方は2143年程に工場で作られたロボットの一つ。でも貴方は完成系までの過程で失敗されたから、廃棄された。でも、貴方はこれでもかと生きている。んで貴方が廃棄された時はまだ頭の製造まではされてなかった。だからと言っても、貴方のその頭が生えてきたのは異様、いや、存在自体が異様なのよ」

 、、、はあ?

 確かに頭は生えてきたけど、異様ではなく無くないか?他にもっと目をつける所があるだろ、謎災害とか。

 それに、プライバシーはどうなっているんだ?俺の人生全部知られててるじゃん。てか俺も知らない事も分かってるとか何人だよ。

「簡単にまとめると、貴方は異端、と言うことです。」

「謎災害って分かります?謎災害を細かく分けた種類の一つが異端災害。異端災害は生物に関わる謎災害のことだが、異端ってのはおめーの事。、、、理解出来るかしら?」

 うん、なんも分からん。

 謎災害って細かく分けてたんだ。全部同じかと思ってた。異端災害ってのがあって、その異端が俺?へ?

 許可されるなら叫びたい気分だ。脳がフリーズしてる。もしこの物語が漫画か小説であるなら、読者だって追いつけないだろ。

「、、、分かりましたか?」

 二人が重ねて問いてくる。

 分からない。と堂々と言いたい所だが、

「えーと、他のみんなは?」

 質問を押し除けてもこれは聞きたかった。何で意識のないままここにきたのか、他のみんなは無事なのか。

「、、、ええ。銃を一発撃って偽の手榴弾を投げたら怖がってひいひいしてました。」

 何してんだよあいつら。

 怒りと言うか、複雑な気持ちだ。

「ですが、手強い人はいましたよ。タバコの塵を風に乗せてヘリコプターのモーターを破壊してくる人がいたり、男性の人は鎖をぶん投げて貴方に巻きつけ攫い返そうとしていました。結局、姫様の時計を使った催眠術で全員眠りましたが。」

 何やってんだあいつら。

 途中までは良い感じだったのに、途中から崩壊し始めて、最後は塵に終わった様な感覚に襲われた。

「まあ、事態が分からずとも分かろうともどーでもいいわ!おめーは今から首チョンパの刑だからな!」

 姫様が両手を腰に当てて自慢げに言い放つ。

 自然に思った事だが、処刑される時に急にこの学園が爆破して俺が逃げ切るみたいなのないかな。

 世界一主人公補正を羨ましがったのは俺だろう。そう今感じた。

「では、処刑に取り掛かりましょうか。」

「待ってください。もうちょい説明してくださいよ。そのー、異端が俺ー、みたいな。あと処刑する理由は!?」

 そう俺が問いた時、5秒程の沈黙が流れた。こう言う沈黙は嫌いだ。

 俺は異端災害の仲間入りみたいな感じで、、、いやもしそうだとしても処刑する理由がよく分からない。なんもしてないよ俺。

「異端災害の事についてはロボコン様の頭の中で大体整理はついてると思いますので説明は省きます。それで処刑する理由としては、我々は、いつか完全に謎災害を抹消する為、謎災害に悪く関わる人は私達が全て制裁しないといけないのです。それで貴方は謎災害に悪く関わる者かので処刑するしかないか、と。」

 悪く、、、関わる?

 なんも悪いことして無いんだが。

「謎災害の仲間、と言うだけでどれだけ心が健全で行動が誠実でも処刑する条件が揃ってしまうわけです。」

 、、、それが俺って訳か。

 やばい。ログ機能欲しい。色々と見返したい。

「では、、、今から処刑を開始します。」

 、、、まじかよ。

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