#1 絶望
私はとある高校に入学した石田直也という人間である。
推薦でぬるっとこの学校に入り、1年生のときは少し頭が良いとされる習熟クラスというものに属していた。
男子が8人、女子30人と、男女比がすごいクラスであった。
私は幼い頃から、人見知りでコミュ障。小学、中学、と友達が少なく、少人数で行動をするような人間で、いわゆる陰キャと呼ばれる存在であった。
そんな私はクラスで馴染めていたのかというと、クラスの男共は、比較的大人しい人が多く、私のような人間でも何とか馴染めていた。
部活は弓道部に入り、同じ波長の人間が多く、楽しい日々を送れていた。
季節は夏になり、文系–理系の選択から文系を選択した。
まぁ、なんとなく。
文系の人間は、世界史か日本史を選択することになり、日本史を選択した。
まぁ、なんとなく。
そんな感じの適当な人間である。
まぁ、なんとなくと言っても来年のクラスの事を考えた上での緻密な決断であった。
なんとしてもぼっちだけは避けなくてはならない。
同じクラスの山野くん、下山くんは文系の日本史、
同じ部活の田中くんは文系の日本史、
同じ部活の狩野くん、通山くん、高松くん、長井くん、長島くん、も文系らしい。
よし完璧な判断だ。
これでぼっちになることはない。
さすがに一人は一緒のクラスになるだろ。
こうして時は過ぎ、春になった。
クラス替えの日がやってきた。
先生から渡された紙を見ると、2年11組とかいてあった。
さて、同じクラスだった山野くんは?
2年1組
詰んだ。
もしかしてマズイかもと思いながら新教室に向かっていると、
もう1人の同じクラスだった下山くんが今年も同じクラスであった。
新教室の入口に貼ってあった名簿を見た。
岩谷、梅山、久志崎、幸田、杉﨑、西岡、、、
あれ?誰も知らないぞ?
なんと全員知らない名前であった。
終わった……
いや、下山くんがいるぞ!大丈夫だ!
と思い教室に入った。
すると、そこは動物園が広がっていた。
猿のようにわめいている人間、
ライオンのように吠えている人間、
ニワトリのように鳴いている人間、
騒音特別警報が発出されている。
肝心の下山くんは、大人かった去年が嘘のように解き放たれ、猿共に混じっていった。
※下山くんはサッカー部
席に着き、周りを見渡す。
これは無理だ。仲良くできる人種がいない。
もちろん、初見で判断するのは良くない。
友達作りのトライはしてみるつもりだ。
次の日、初の昼休みだ。ご飯を食べる時に仲良くするしかないと思い、猿のグループの一つに勇気を出して話しかけた。
一緒に食べてもいい?
ーーー別にいいけど。
なんとかぼっちは回避できた。良かった。
後は話して仲良くなるだけだ。
ガヤガヤガヤガヤ
インスタのストーリーみた?
見た見た!やばくね??笑笑
〇〇エグいよな笑笑
ブロスタしよーーぜぇい!!
だめだ。こういう人種の奴らとは仲良くできない。
詰んだ。
この日私は
一緒に食べてもいい?
と1言以外何も喋らなかった。
こんな日々が2週間続いた。