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組決め

 夢のクラスアップ試験の二試合目が始まった。本来なら一試合で終わるのだが、先程のレベルの違いから二試合目が許可されたのだ。相手はAクラス。夢と同じくギリシア系である。

「夢、頑張ってください。」

「うん♪」

 意気揚々とフィールドへと降りて行く夢。慶斗も龍夜達が待つ観客席へと登っていく。転入生の特別試合とあってか、注目度も上がっている。…巫女服も相乗効果を出しているかもしれない。


【エクスジェンシア】

【…】

 炎の翼を持った白鳥と魔獣が出現する。先手を打ったのは夢。呪文詠唱のタイムラグを持たない為、先制攻撃を行う事が出来るのだ。炎の弾丸が相手の魔獣に襲い掛かる。風属性らしく、竜巻の盾で防いだ。

【主の命令よ。疾風の弾丸を放て。バレ・デ・トルメンタ!】

 風が弾丸となって夢へと走る。夢はしっかりとその弾道を見極めていた。

「風は気圧の高い所から低い所へ流れる。空気の対流は空気の温度差から現れる。暖かい空気は上昇する。それなら…」

【…】

 夢の無詠唱呪文によって、フィールドが一瞬にして灼熱地獄と化した。どうやらトラーマの呪文を使用した様だが、規模が違う。本来相手の動きを制限したり、自分のサポート程度にしか使わないのだが、これは最早攻撃並みと言っても過言ではない。

 迫ってきた風の弾丸が、急激な熱を受けて上昇気流に乗った。一瞬で熱くなった空気が風の弾丸を押し上げたのだ。


「なるほど、風属性の攻撃は空気を圧縮した物が多い。フィールド全体を灼熱で焼けば空気は押し上げられる。攻撃が全て有らぬ方向へ向う、これこそ罠だ…」

 感心した様に龍夜が呟く。これ程の実力があれば、夢は確実にSクラスへと入ることが出来る。魔力保持量だって、慶斗程では無いにしろ常人より持っているに違いない。

「巫女服パワーだ!いいよ~、夢ちゃん。頑張れ~!」

 可憐が学園を去った事で少々悲しんでいた凪沙だったが、どうやら、新たな着せ替え人形を手に入れたらしい。かなり喜んでいる。

【…】

 白鳥が飛び上がる。上空から炎の針を飛ばす。必死で防ごうとするのだが、風の盾がうまく発動しない。全て上昇気流に持っていかれてしまうのだ。炎の針が体全身に刺さる。火を噴き出す相手の魔獣に、夢がとどめとばかりに最後の呪文を発動した。翼を羽ばたかせ、火球を作り出す。それを打ち放った…。



「では、改めて紹介だ。今日付けでこのSクラスに編入となった、天馬、一角獣、夢だ。」

「天馬鹿狩だ。」

「一角獣誠也でぃ!」

「夢です。けー君。約束どおり来たよ!」

 放課後近く、Sクラスに新たな3人の生徒が入った。可憐が完全に学園に戻って来ないことを知った今、Sクラスは6人で新たなスタートを切る事となったのだった。



「今日より、新たにSクラスのメンバーが加わる事となった。それなりに名は知れてると思うので、面倒な自己紹介は省く。今日からペアでの戦闘訓練を行うぞ。」

 当然の如く警護部に入部した三人。そして、龍夜も夏休み明けとあって、新たなタスクに挑むことになった。ペアでの戦闘訓練。たぶん、魔獣合成ユニルスを念頭に置いた訓練なのだろう。だが、龍夜にはまだ理由があった。一枚の紙を取り出す。

「コレを見てくれ。今年から開催される事となった大会だ。」

 紙には、征儀伝同士の大会の概要が書いてあった。どうやら、龍夜は警護部の名義でこの大会に参加するつもりらしい。

「因みに、これは5人一組だ。その場でランダムに組み分けが行われ、ペア戦を二回、個人戦を一回行う。二勝先取で勝ちだ。大会は二週間後、今日からの訓練で大会に参加する二組を作る。全員意気込んで訓練を行うように。」

 それから訓練が始まった。ペア戦を意識して行う為、取り合えずペア作りから始まる事となった。

「慶斗、俺とでいいか?」

「はい。いいですよ。」

「待って、私もけー君と組みたい!」

 慶斗にすがり付いてきた夢。向こうでは天馬と一角獣が当然の如くペアを組んでいた。龍夜も玲奈と同じ組らしい。影の薄い三年生の二人もペアとなっていた。

「駄目?翔太さん…。」

「いや、でもさ…、俺は入学試験の時からペア組んでた訳だし。ほら、男女のペアはあれかなってさ…。」

「けー君、男女のペアってそんなに駄目なの?恥ずかしいの?」

 周りからも、“うわぁ、女の子虐めてるよ…”とか、“朱雀龍夜の前例があるのに…”などとヒソヒソ声が聞こえてきた。

「あぁ、分かった。分かったから。俺は中里先輩と組むから、夢ちゃん、君は慶斗と組んで。ってか、そうして。」

「ありがとう!」

 と言う訳で、慶斗は夢と。翔太は類と組む事となった。一人余ってしまった凪沙がいるのだが、彼女は本来、天真爛漫、天衣無縫と言う言葉が似合う性格なので、無理にペアを組む事は無かった。本番でペア戦に持ち込まれない事を祈るばかりである。


「けー君、ペア戦ってどうやればいいの?」

「そうですね…、言葉にすると難しいかも知れません。」

 今までペア戦を行ってきた事が何度かある慶斗だが、その時は組んだ相手が龍夜や翔太だった。龍夜の場合、兄弟と言う繋がりもある。そして彼が天才の為、慶斗の戦術を一発で読み取って合わせてくれていた。その逆もある為、自然と息は合うのは当然だった。そして、翔太。彼とコンビを組んだ場数は多い。その内にコンビネーションも確実に上達している。

「何回も練習する必要があります。でも僕らには時間はあまりありませんね。幾つか基本的な戦術を決めておきましょう。」

「おっけー!」

今回を持って、一時この小説は連載中止となります。申し訳ありません。呼んでくださる皆様、今までありがとうございました。次回掲載予定は7月2日の午後。(日本時間)となっております。手帳のすみにでも、チョコット書いて置いてください。それでは、しばしのお別れ!

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