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流派転換

 謎の乱入者に吹き飛ばされかけた警官達が立ち上がる。作戦指揮官と思われる男が指示を飛ばした。

「強盗犯を連れて行け。」

 その他もろもろの指示を出した後、慶斗たちの所へ向ってくる。

「今回は助かった。感謝する。一応話を聞きたい。署の方まで…」

「どけどけどけっ!」

【アジェット・デ・フェーゴ!】

 指揮官がハッと後ろを振り向く。そこには、地下金庫に通じる階段から出てきたサイがいた。

「あれは、魔獣!?」

 慶斗が驚いた顔をする。だが、考えてみれば、主犯と思われる征儀伝が見つかっていないのだ。龍夜に引っ張られ、サイの突進を避ける5人。そのままドアを破って外へと飛び出していった。

「なるほど、ここにいた奴らは囮って訳か…。アイツは魔獣で地下金庫を破っていた。だが、計画は滅茶苦茶にされ、あいつは逃げたって所だ。慶斗、追いかけるぞ。」

「はい。すいませんが、お話は後にさせてください。」

「私たちも行く。」

「行くよ、慶斗っち!」

【【【【エクスジェンシア】】】】

 4体の魔獣を召還し、それぞれの背中に乗る。そのまま銀行を後にしたのだった。


 突然現れた魔獣に、街は大混乱に陥っている。魔獣は約5mはある為、道路を爆走する魔獣は、さながらの暴走した小型トラックだ。その後を4体の魔物が追う。

「椎名、俺の言う場所に氷の罠を仕掛けろ!ここは俺達の街だ。追い込める場所を知っている!」

 龍夜の指示で、道路に氷を張っていく凪沙。サイ型の魔獣のスピードは速い為、氷の罠は避けるしかない。段々と龍夜の画策する場所まで追い詰められていった。

 強盗犯が追い詰められたのは、採掘場。街から離れたここは崖に囲まれており、ちょうど行き止まりとなっている。因みに小さい頃の慶斗たちの魔獣の訓練場でもあったのだ。

「さぁ、ここなら気にせず暴れられる。容赦はしないからな。」

「4体も魔獣が襲ってくるかと思ったら、全員子供か。調子に乗るんじゃねぇぞ。」

「そっちこそ何を考えているんですか。あなたみたいな人が社会的な征儀伝のイメージを悪くするんです。征儀伝の全員があなたのせいで迷惑を被るんです!」

「うるさい。止められるなら止めてみろ。」

「そう言うと思ったぜ。俺達が相手をしてやる。」

「わ、私はもう無理…」

 考えれば、凪沙はここまでずっと氷の罠を仕掛けていたのだ。魔力切れになるのも仕方が無いだろう。凪沙は休むこととなった。


【アジェット・デ・フェーゴ】

 炎を纏ったサイが突っ込んでくる。

【エスクード・デ・オスクリード】

 闇の盾でそれを受け止める。しかし、それが破られたのだ。第三文詠唱だけだったと言う問題ではないだろう。続けて防御に秀でた慶斗が光の盾を用いる事で、なんとか防ぐ事ができたのだが…。

【主の命令よ。対象を雷の弾で穿て。バレ・デ・ルエーノ】

 玲奈の攻撃呪文。雷の弾丸が上空から降り注ぐ。

【アポール・デ・ブライヤー】

 慶斗のサポート呪文が発動し、光のゲートが現れる。玲奈の攻撃がそれを通過した瞬間、雷の弾の威力が増した。上から降り注ぐ攻撃を防ぐ手段はないかに思えたが…。

【アジェット・デ・フェーゴ】

 再び突進の呪文を唱え、攻撃を避けてしまったのだ。その上、突進する先には龍夜がいる。

「死にたくなかったら、そこをどけー!」

【トラーマ・デ・オスクリード】

 淡々と呪文を唱える龍夜。闇の罠を発動させる。一見盾と同じ外見に見えるが、効果は全く違うのだ。罠を破ろうと、更に加速するサイ型魔獣とそれに乗る強盗犯。先程彼のバリアを破ったので、完全に舐めている。だが…

 闇の盾に見えたそれは、相手の魔獣の攻撃に破られるでも弾き返すでもなく、飲み込んだのだ。これが闇の罠の効果。本来、相手の攻撃を飲み込み、任意の場所から開放する呪文。これを突進攻撃をしてくる相手に使ったのだった。

「崖にでも突進してろ。」

 龍夜がそう呟くのと同時に、消えた闇の罠が崖の目の前に現れた。避けることもままならず、サイ型魔獣はその身を崖へと埋め込んでしまう。

「舐めてくれたものだな…」

 崖から出てきた強盗犯は、魔獣を失っていた。かなり魔力を消費していたのだろう。しかし、まだ諦めた様な様子を見せていない。

【【アルマライズ】】

 龍夜と慶斗がそれぞれ刀を取り出して強盗犯に向う。玲奈と凪沙も後ろから銃と弓矢を構えて警戒している。

「ここまでだ。大人しく投降しろ。」

「いずれ警察が来ます。これ以上抵抗しないでください。」

 刀を向けられ、動きを封じられている強盗犯。慶斗たちもこれ以上抗う事はないと踏んでいたのだが…。

「馬鹿だよな…。お前ら子供が“あの方”から力を与えられている俺に勝てるはずが無いだろ?」

「あの方…?」

「緊急時に使う薬だとよ。」

 慶斗たちが止める間も無く、強盗犯はその薬を飲み干した。不敵な笑みを浮かべて立ち上がる。制止することができない。オーラと言うべきか、まだまだ力が溢れ出ている感じなのだ。

「はぁぁぁぁっ!」

 突然だった。男の胸ポケットが緑色に発光した。

「緑色の光!?まさか、お前中国系征儀で…」

 龍夜が言葉を終える前に、男は慶斗と龍夜の首を掴んで持ち上げる。先程までは、この男はスペイン系征儀伝だったはず。その証拠に赤い光を放つ魔石を持っていたのだから。

「死ねッ!」

 人間では到底考えられない程の腕力で投げ飛ばされる二人。しかし、玲奈の魔獣が二人を羽で受け止めた為、大きな怪我を負う事は無かった。

「それっ!」

 凪沙が自分の弓矢から魔力で構成された矢を放つ。アルマライズのスキル向上効果もあってか、強盗犯まで直線ルートだ。

「甘い。」

 だが、相手は矢を素手で掴んで捨ててしまった。それなりのスピードはあったはずなのに、いとも簡単にかわしたのだ。

「此方の番だ。しつこい輩は完全に叩きのめす主義だから、覚悟しておけ…。」

 男のポケットから発せられる光が、さらに強さを増していった。

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