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二重щ アルマライズ・セグ

「学園長、やはり泉可憐は怪しいです。俺もそれと無く調べてますが、不審な点が多すぎます。」

「そうは言うが、確実な証拠がない。例えば、中国系征儀伝と密会している現場を押さえるとか。」

「…。」

 学園長室で話しこむ龍夜と学園長。龍夜のみが生徒の中で、可憐の異常さに気がついている。呪文を開発しているからこそだろう。しかし、学園長の言う通り、証拠が不足している。あの保険医も仲間と言う可能性が否めないが、やはりそこでも確かな物は得られなかった。学園長としても、立場上ただ怪しいと言う理由で、可憐を問い質す事はできない。

「時間は刻々と迫ってるんです。中国系の奴らが動き出してると言う事は、“あの儀式”を執り行おうとしている証拠です。」

「確かに。時間はそう残されていないだろう。だからこそ入学当初から君には協力してもらっていた。泉可憐は中国系征儀伝へ繋がる鍵であると言い切れないこともない。」

「ならば!今すぐにでも!」

「是が公になり、その上私たちの勘違いだとしたら、君や私は間違いなく失墜し、中国系征儀伝の計画を阻止する事もできなくなる。そうなれば、彼らの思う壺だ。世界を終焉に導くことになる。」

 学園長の言葉に、龍夜は言い返すことができなかった。

「証拠なら…、俺が必ず見つけます!」

 そう言い残し、龍夜は学園長室を出て行った。それを見送りながら、学園長は今日に入って何回目かのため息をつく。ゆっくりと視線をずらし、龍夜が使った出入り口とは別なドアを見た。一軒壁の一部にしか見えない様なつくりだが、帽子掛けに似せたドアノブが、それをドアだと認識させる。

「命だけは落とさないでくれ、わしの孫の為にも。そして、君の弟の為にも…」



「まったく、中国系征儀伝かと思ったらさ、ただのDランク生徒だったわけだ。馬鹿みたいな話だろ?」

「大変だったねぇ~。」

 平和なSクラスのメンバー。昨日の夜の事を語る翔太に、呑気な凪沙。苦笑いの慶斗に、無表情な可憐。勿論の事、可憐はメイド服を着用して黒板を眺めているし、慶斗も女子の制服を着ている。最近、凪沙の思いつきで可憐の頭には猫耳が装備された。彼女曰く、“猫耳メイドは最強なんだよ♪”だそうだ。

『学園連絡、今日の放課後に警護部員の集会をする。一年のみ放課後模擬場に集合せよ。』

 教師の声が教室に響く。その部員である慶斗たちは、いち早く反応した。

「今日の放課後ですね。しかも僕達だけです。」

「今日はどんな呪文を習うんだ?」

 期待を膨らませるのであった。



 そしてその日の放課後、慶斗たちは模擬場へやって来た。既に龍夜は待っており、その腕にはしっかりと玲奈がオプション装備されている。その姿を見て一瞬嫌そうな顔をする女装の慶斗。しかし、直ぐにいつもの表情に戻すのだった。

「今日は装甲征儀アルマライズの特訓だ。魔力を大幅に食う呪文だが、慣れればこんな事もできる。」

【主の命により、力の欠片を契約者に譲渡せよ。アルマライズ・セグ】

 いつもの装甲征儀呪文とは違う呪文である。龍夜の両手に光が宿ると、それは二本の刀となった。それを見せると、龍夜は直ぐに刀を消した。

「こうすれば、攻撃の手数も増えるってわけだ。二年に続いてこのアルマライズの呪文を使い慣れてるのは、お前らだ。だから今日はお前らを集中的に指導する。各自やってみろ。」

【主の命令です。力の欠片を契約者に譲渡せよ。】

【主の命令だ。力の欠片を俺に宿せ!】

【主の命令よ。力の欠片を契約者に渡しなさい。】

【主の命令、力の欠片を契約者に渡せ。】

【【【【アルマライズ・セグ】】】】

 慶斗、翔太、凪沙の両手に武器が握られた。元々両手にガントレットが装備される可憐、彼女の足元には脚甲アンクレットが装備されている。即ち、装備量が二倍に増えたことになる。

「兄ぃ、すごく魔力を吸われます。」

「まぁ、そうだろう。通常のアルマライズの二倍、いや、それ以上の消費量だからな。慶斗ならそれなりの長時間は使えるはずだ。あぁ、そろそろ解除しろ。」

 龍夜が呪文の解除を勧告する。呪文を解除すると、3人は疲れた顔をした。慶斗でさえ目を閉じて息を吐いてるのに、可憐は無表情を崩さない。龍夜はそれを見て顔をしかめる。やはり可憐は普通じゃないと。

「龍夜先輩。俺は長槍なんで、一つで十分です。」

「私も弓だから二つあると攻撃できませ~ん。」

 確かに翔太の凪沙は、二つも武器が要らないだろう。もし、“アルマライズ・トレス”と言う呪文があれば、可憐の胴体も装甲で覆われるのだろうか?

「さて、模擬戦でもやってみるか?慶斗や青龍とは何回か模擬戦をしたからな…、泉、どうだ?」

 コクンと頷いた可憐。フィールドまで出て行く。今回、龍夜は意図的に可憐を選んでいる。わざとアルマライズの強化版を教え、模擬戦で使わせる。魔力消費量が高いこの呪文を長時間使える事はできないので、何かしらのアクションを起こすと考えたのだ。即ち、ボロを出すと。


「戦闘開始」

【エクスジェンシア】

【アルマライズ・トレス】

 全員が息を呑んだ。可憐がアルマライズに固執している為、この試合でも使う事は予測していた。しかし、今の可憐には手甲ガントレット脚甲アンクレット、胸部プロテクターがついているのだ。猫耳メイドの格好に合っていない事は勿論だが、龍夜の教えた呪文より更に強力な呪文を使用している。

「征儀三重装甲、とでも言えばいいのでしょうか?」

「泉ってさ、アルマライズだけで三年の相手したり、Dランクの一斉攻撃も跳ね返したよな?それの三倍って何だよ?」

「攻撃しないの?先輩。」

【主の命により、対象を貫く闇の弾を放て。バレ・デ・オスクリード】

 漆黒の弾丸が可憐に襲い掛かる。それをいつもの無表情で見つめる可憐。ガントレットを振るった。予め呪文を詠唱してあったのか、ガントレットから電撃の刃が飛び、闇弾を相殺した。相殺されなかった弾は更に進むが、アンクレットでけり返す。

「マジでやばいんじゃないか?泉って…。」

「兄ぃの技を跳ね返すなんて…」

「猫耳メイド、鎧バージョン♪今度はミニスカートにしようかな♪」

 などなど、それぞれが感想を述べ合う。龍夜もあまりに予想外の出来事に焦りを隠せない。自分の予測以上の装甲を纏い、それでもって自分の攻撃を跳ね返したのだ。いくら征儀装甲によってスキルアップが望めるとしても、ここまで長く大量の装甲を維持するのは難しい。

【主の命により、対象を闇で包み込め。コーティナ・デ・オスクリード】

 ドラゴンが闇を吐き出し、周囲一帯を見えなくする。魔獣の攻撃を見破るには魔獣が必要。アルマライズでは無理だろうと画策したのだ。しかし…

「くっ…」

【アルマライズ!】

 龍夜がいきなり魔獣を消し、闇色の刀を手に持つ。それを後ろに回した。次の瞬間、ガキンと言う音がしたのだ。

「どうやってここまで…。音もなかったはずだ…」

「外した」

 距離をとる二人。魔獣消失の為、維持出来なくなった闇が晴れていく。龍夜を始めとした全員が驚いた。可憐の体が宙に浮いていたのだ。まるで中国系征儀伝の如く。

「私の番」

 可憐が一言小さく呟いた。

久々に解説をしようと思います。


・アルマライズ・セグ/アルマライズ・トレス

装甲征儀アルマライズの強化形態。通常の二倍三倍以上の征儀を消費して装甲or武器を作り出す。個人の武器によっては使わない方がいい場合もある。また、相当な量の魔力を消費するので、慶斗でも長時間は使えない。


※“魔力の質”について

以前、装甲征儀で作られた槍を双剣が切ると言う描写がありました。それは魔力の質による物だと解説したのですが、ここでもう一度詳しく例を挙げて解説したいと思います。


発泡スチロールとコンクリートがあるとします。例えば発泡スチロールを慶斗の武器、コンクリートを龍夜の武器と考えます。


慶斗の魔力保持量は高いので、たくさん魔力を使用して武器を作ります。ですが、龍夜はそれよりずっと少ない量の魔力で武器を作りました。


さて、慶斗の武器スチロールは龍夜の武器コンクリートを傷つけられるでしょうか?正解はNOです。逆に、コンクリはスチロールを簡単に壊せます。これが作者の言う、“魔力の質”です。簡単に言えば、“密度”です。魔力の密度を上げれば、大量に魔力を使用する敵にも勝てるという事です。


余談ですが、最近ストックがたまってきました。作者が混乱しない意味も込めて、また毎日投稿をやろうと思うのですが、いかがでしょう?

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