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爆発! ブライヤー

早速二話目です。二日に一回の投稿ですので、よろしくお願いします。また、これは私たちの生きる現実とは違う世界の設定ですが、具体的な国名が出てきます。偏見とかを持っているわけではなく、設定に合いそうだなぁと思ってるだけなので、作者に悪意があって国名を出している訳ではないとご理解ください。

 数組の試合が終わり、とうとう慶斗達の出番が来る。相手はパッと見普通の生徒だった。因みに慶斗たちと同じく、男子二人組みである。

「俺はSランクとなる男じゃぁ!」

「ここで圧勝し、ハーレムを築き上げる。ぐふふふ。」

 前言撤回、暑っ苦しい奴とウザイ男子。試合開始の合図が出たので、4人同時に呪文を唱える。個人によって呪文に差異は見られるが、一番最初の魔獣を召還する呪文は、全征儀伝共通である。

【【【【エクスジェンシア!】】】】

 黒の魔法陣が3つ、白の魔方陣が展開される。それぞれが使役する魔獣が現れた。翔太の魔獣は巨大な翼を持つコウモリだ。

「翔太、僕が防御をしますから、翔太は攻撃をお願いします。」

「おう。お前より魔獣の扱いは慣れてないが、力任せの攻撃なら任せろ。」

【主の命令です。光の盾よ、万物を跳ね返せ。エスクード・デ・ブライヤー!】

【主の命令だ。疾風の翼で破壊の音奏でろ!アジッタ・デ・トルメンタ!】

 慶斗のエンジェルが光のバリアを張る。翔太の蝙蝠コウモリが破壊音波を流す。相手の攻撃は全て跳ね返され、翔太の攻撃が襲い掛かった。これで相手は相当なダメージを負ってしまう。回復を使ったとしても、翔太の次の攻撃が決着をつけるはずだ。

「慶斗、俺に上級征儀の練習をさせてくれないか?」

「いいですよ。だけど、次の試合で不利にならない程度でお願いします。」

「分かってるって。んじゃ、必殺技行くか!」

【主の命令だ。疾風の針で相手を貫け。アグン・デ・トルメンタ!】

 上級征儀、相手に与えるダメージが強い技をそう呼ぶ。既存の物もあれば、自分で編み出す人もいる。その呪文を考え出す一人が、朱雀龍夜なのだ。今の翔太の攻撃は龍夜が作ったものではないが、上級征儀では中レベルくらい。だが、慶斗より魔獣を扱っている期間が明らかに短いはずである翔太が、この呪文を使えるのは、それなりに資質があると言うことだろう。

「俺はSランクに…」

「俺の、完全なるハーレム計画が…」

 翔太の攻撃を受けて、完全に伸びてしまった相手二人。初戦はそれほど難しい物では無かったようだ。

「朱雀、青龍組みの勝利。流石は朱雀龍夜の弟。あの防御力は高かった!」

 解説をする教師だが、褒めるのは慶斗ばかりである。やはり出来る龍夜の弟と言う概念の為だろうか?困惑する表情の慶斗。“僕は何もしてないんですよ?止めを刺したのは翔太です。”と言いたげな顔だ。しかし、周囲の観客たちは“朱雀龍夜の弟”と知って慶斗を注視し始める。

「ごめんなさい、翔太。僕は特に何もしてないです。兄ぃの弟だからって、僕自身は全然強くないのに…。」

「良いって良いって。お前の異常なまでの低姿勢な性格見てると、嫉妬さえ浮かばねぇよ。」 

 何かと言って、翔太は優しいのだ。それを感じて慶斗も更に気合を入れるのだった。慶斗の頭に龍夜の言葉が思い出される。“攻撃もしてみろ”と。

「やってみます。兄ぃ。」

 一人、兄との約束を決意する慶斗であった。

 第一回戦の戦いが終わり、慶斗達は魔力回復に努める。身体的な外傷が無い限り、魔力は急速に回復するのだ。魔獣を召還しても、10分程度で元に戻るのである。観客席から他の戦いを観戦する二人。調度見ているのは、もう一つのブロック、第二ブロックの戦いである。

【主の命令、雷の弾丸で相手を貫け、バレ・デ・ルエーノ】

【主の命令よ。鋭利な氷柱つららで相手を穿て。アグン・デ・イーロ】

「あの二人、僕らと同じく、スペイン系とギリシア系の征儀伝チームですね。翔太。」

「まぁ、征儀の種類は2つしか無い訳だから、ありえるんじゃないか?」

 翔太の言う事はもっともなのだ。征儀の種類は二種類あり、それぞれ“スペイン系”と“ギリシア系”と呼ばれている。古来、中世ヨーロッパでは悪魔主義サタニズムなどの信仰などがあり、悪魔や魔物と言った物と密接に関係があったと言われいる。またギリシャ神話などには、神や英雄、天使などと言った存在が深く関わっているのだ。

 元々それらの神話は、古代に異能の力“征儀”を持って生まれて来た“征儀伝”の力が元となっている。召喚された魔獣を見た人々は、それらを悪魔や天使と呼び、それらを召還する征儀伝を、魔法使いなどと呼んで忌み嫌った。だが、ここ数百年で征儀伝が認められ、征儀伝も日常的に征儀が使えるようになった。因みに、征儀と魔力は同じ意味であり、黒の魔石を使う者達をスペイン系、白の魔石を使うのをギリシア系と呼称する。

 基本的に征儀と言うのは、同じ系統同士の方が愛称が良く、相乗効果を狙える点がある。逆に別々の系統では相性が悪いパターンがほとんどであり、最悪の場合、味方の力を相殺してしまう事もあるのだ。よって、チーム戦で別系統の征儀伝が組むのは珍しい。勿論、慶斗と翔太の組もそれに準じる。ただ、彼らは気の合う友人同士、力を相殺すると言う状況には陥らないのであるが…。

【主の命令、いかずち纏うその牙で対象を砕け。モルド・デ・ルエーノ】

 狼の形をした召喚魔獣の牙に電撃が纏い、そのまま相手の魔獣に喰らい付いた。遠距離タイプの攻撃を行う慶斗達とは違い、近距離での必殺技だったのだろう。相手の魔獣は消えてしまった。

「勝者、椎名・泉チーム!」

 ニコニコする女の子と、無表情な女の子。圧倒的な勝負、Sクラス候補で間違いないだろう。同じブロックじゃなくて良かった、と思う慶斗であった。「あっ、今度は僕らの番です。準決勝ですね。」

「ま、お気楽に行こうぜ。」



「それでは、始め!」

【【【【エクスジェンシア!】】】】

 相手は男女の組。それぞれ黒豹とウサギの魔獣を召喚していた。魔石の色を見る限り、二人ともスペイン系である事が伺える。

【主より命令する。炎を纏いて突撃せよ。アジェット・デ・フェーゴ!】

 黒豹が体に炎を纏う。そして俊敏に動き、体当たりを仕掛けた。防御に徹する慶斗は光のバリアで防ぐ。龍夜との練習試合でも、基本的に防御と回復に努めていたせいだろうか、この二つは慶斗の十八番なのだ。

「無駄よ!私の魔獣の攻撃を食らいなさい!【主の命よ。旋風で加速された針で貫け!アグン・デ・トルメンタ】」

 ウサギ型の魔獣から放たれる無数の針が、慶斗の張るバリアにヒビを入れていく。そこに黒豹が爪で止めを刺した。慶斗のバリアは壊され、慶斗と翔太は攻撃を受けてしまう。

【主の命により、対象を疾風で押し戻せ!エジョン・デ・トルメンタ】

 翔太の咄嗟の判断で、どうにか酷い状態になる前に攻撃を阻むことができた。向こう側の連携は慶斗達のものより優れている。持久戦に持ち込めば不利になることは必須だ。

「早く回復しないと。【リポルネ…】」

 

“回復はギリギリになってからだ”

“攻撃に専念してみろ”


再び慶斗の頭に龍夜の言葉がよぎる。

「やってみます…、兄ぃ。」

【主の命令です。森羅万象を無形と化す変革の光を見せよ。エクスプロ・デ・ブライヤー!】

 慶斗の今まであまり使うことの無かった攻撃呪文。実を言えば、慶斗は龍夜の作った呪文を数多く知っている。そして、彼もまた作る事が出来るのだ。エンジェルが眩いばかりに輝く光弾を生み出す。それを相手の魔獣の頭上へ吐き出し、大爆発を起こした。幾千もの光の筋が地面とぶつかって弾ける。一つ一つの威力を考えれば弱い攻撃だが、瞬時に大量に浴びる事により、多大なダメージを与えるのだ。光が収まる頃、呪文の通り魔獣は蒸発して無形と化していた。

「やりました!成功です!」

「け、慶斗…。なんだよ今の技?トップレベルの上級征儀か!?」

「うぅん、兄ぃと一緒に考えたからよく分からないです。」

 兎に角、慶斗達の勝利が決定した。残すは決勝戦のみである。


「慶斗。やればできるじゃないか。」

「あ、兄ぃ!見ててくれたんですか?」

「当たり前だ。魔力の量は大丈夫か?何なら保険医に頼んでやるぞ。」

「はい、大丈夫です。寝起きでもないですし、兄ぃの攻撃には到底及びませんでしたので、消費はほぼ皆無です。」

「そっか。その調子でSランク目指せよ。決勝戦、もしもピンチになったら“あれ”を使え。失敗を恐れずにやるのがポイントだ。」

「はい!」

「じゃあな。慶斗をよろしくな、青龍。」

「は!はい!分かりました!!」

 再び観客席へと戻っていく龍夜。その姿に気づいた新入生達が彼の元へ駆け寄っていく。


「翔太、そこまで緊張する事無いですよ。だって兄ぃですよ。確かに学年トップクラスの、と言うか生徒最強の征儀伝だし、女子の人にはもててるし、頭も良いですけど…」

「それだけで十分恐れ多いよ。でもさ、将来を約束された超有名人だぜ。やっぱり弟のお前も期待されてるんだなぁ。」

「つくづく、ごめんなさい。」

「あの、さ…。その敬語いい加減やめようぜ?」

 翔太の言う様に、慶斗は誰に対しても敬語を使う。教師や大人は勿論の事、友人である翔太達や兄の龍夜にもなのだ。それが彼のスタンスなのかも知れ無いが、話される相手としてはどこか思う所があるのであった。

「決勝戦を開始する。朱雀・青龍組と、天馬・一角獣組。フィールドへ。」

まとめ

・征儀=魔力

・征儀伝=魔法使い

・ブライヤー=光属性

・トルメンタ=風属性

などです。何か分からない設定が会ったら教えてください。どれかの話で大きく解説しようと思います。また、わざわざ魔法を征儀と呼ぶのか、これは後半の話の内容にも関わってくるので、今は魔法と征儀は同義とだけ覚えてください。

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