「プロローグ」
闇星殲滅作戦に巻き込まれ、何者かに友人の城を焼かれた数カ月後、ユカリはユイ、ゼーナ、アスカ、サナエ、クラフト、エインデがその日に全員亡くなり、自身の能力も奪われ、平和に暮らす平民達と大差無いぐらいにまで下がった身体はあの頃のよう動かせなくなった。
深く傷が広がり悲しみに明け暮れてる・・・と発展途上区で騒がれていた。
実際にノアや生き残ったメンバーもユカリの痛みを全部受け止める覚悟を決まっていたのだが退院したその日にまた依頼を受けていた。
彼女はいつも通り明るく優しく変わってはいなかった。
だが彼女からは前のような夢をときめく夢追い人ではなく静かに時を待つ落ち着いた少女になりつつある。
あれから月日が経ち、ノアは近未来区で新たに店を開業し、エミとキリは二人で家でもあり販売所でもある燃えた城を壊して新たに【キリエミのおみせネオツー☆】を建て直した。
三人の仕事は予想より上手く言っており、ユカリは前の酒場に戻り一人孤独に酒を飲んでいた。
仕事を終えて帰ろうとすると何処からかこんな声が聴こえた。
“死神”、ユカリに向けられた言葉かは分からない、だが最近の出来事と言えばスイカズラ冒険者の半壊が冒険者の中では噂されている。
無論、自分に言ってる訳では無いから必ずしも個人を指してるとは思わないが・・・ユカリを見るなり時折避けられてる事も少なくない。
今のスイカズラ冒険者で戦ってるのはユカリ一人しかいない・・・仲間が大勢亡くなってもユカリは嘆くことも無く明るい振る舞いで平民から信頼されているんだ。
本当の痛みは本人にしか理解出来ないのだ。