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プロローグ 

 誰だって、空中浮遊や空中歩行を憧れたことはあるだろう。

 高いビルや山から見える景色や大きい雲、雄大な青空を見ながら地球の上で常に吹いている風を全身で味わうことで疲れや退屈を吹き飛ばすことができる。なにより何も考えず、ただそこにいるだけで地球の広大さを感じることが出来る。

 今でこそ移動というのが一番の目的だが、そんな雄大で壮観なものに俺達人間は憧れてきたからこそ、飛行機やロケットを創ることで、夢見たものを現実へと変えようとしてきたのだろう。

 俺もその一例だった。

飛行機の窓越しに見える青い世界に飛び込んでみたり、ラノベやアニメのように街中に上空から爆弾や光線を撃ってみたいなと思ったこともあった。

 だがそんな、憧れはたった一晩の出来事をきっかけに壊される事となった。

 

 下を見れば上空数十メートル、上を見れば夜空に散りばめられた星々が、簡単に掴めそうなほど高い...そんなな場所で仙慈那由多は寝ていた。

 冬の冷たく、乾燥した風が疲れて熟睡していた仙慈那由多の体を叩き起こすかのように吹き付ける。

「....ん、んぅ〜ん...。」

「...なんだかいつより寒いな」

(それにエアコンもつけていないのに風がある)

 違和感を感じて俺は目を開け、周りを見渡す。

 「.......は?」

 「いや、え?は?なんだ?」

自室のベットで寝ていたはずなのに目を覚ました時、なぜか俺は空の上で冷たい風にさらされながら横たわっていた。

 「何故...俺はこんなところにいるんだ?」

俺の目の前には真っ暗な夜空とマンションから漏れた光や街灯の光で明るく照らされている夜の街があった。

自室のベットで寝ていたはずなのに目を覚ました時、なぜか俺は空の上で冷たい風にさらされながら横たわっていた。

  (なんだ、なんなんだこれは。どうして空にいる。なぜ俺の住んでいる街が見える...。俺は自分の部屋で寝ていたはずだろう。)

 (夢か?。しかし、風や肌寒さを感じる...。つまりこれは現実か?)

 状況がうまく飲みきれない俺は、ひとまず冷静になるために街の景色を見下ろしていると、俺の頭をオーバーヒートさせるかのように不可解な景色が俺の瞳と頭を焼き付けてきた。

 「光が...動いている.....?」

車の照明や電車から漏れる光などではなく、それは、灯篭のように仄かな光が周辺を照しながら、人が歩く程の速度で動いていた。

 「それも一つ...だけじゃない。」

 「...よく見るとその周辺だけじゃなく街中至る所で動いているな、あの光る物体...。」

 「んー...人っぽい姿がどこにも見えないってことは」

 「もしかしてこの動いている光全てが人、、なのか?」

 (いや違うな、人らしきものより少し小さいものや、俺のいる高さ程ではないが空を縦横無尽に駆け回る光もいる。つまり生き物全般が仄かに光る球体となっているのだろう。)

 「しかし、光る埃みたいだな...。」

(いやいやそれは光っている生き物達に失礼か。)

 変な方向に傾いてしまった思考回路を自分の置かれている状況と目の前に見える光景の謎を一つ一つ解く事に向ける。

 「しかしだなぁ...こりゃどうなってるんだ。」

下に向かって脚を振り下ろすと、東京スカイツリーにあるガラス床を踏み叩いた時に似た音がする。

 「これは..俺が浮かんでいるというより空に浮いている透明な床の上に乗っているのか。」

 もしかしたら床だけでなく透明な壁や天井もある可能性が頭をよぎったが、床を触れても壁や天井には触れていないし、なんせ透明だから探すのに時間がかかると思いその考えは頭の隅に置いておくことにした。

 (そういえばズボンのポケットにスマホを入れっぱなしだったな。)

ポケットからスマホを取り出し時間を確認すると12月19日の午前3時47分を指している。

「確かベットに入ったのが昨日の23時半頃...だったか。」

 (起きてからだいたい5分前後、つまり目を覚ました時間は3時42分か。)

「圏外...ではないのか。」

スマホの表示には俺の使っているモバイルの名前が書かれていた。

 時間とネットが繋がっている事を確認した俺はスマホの画面を消し、ポケットに入れようとした次の瞬間、スマホに着信がかかってきた。

 「うおっ?!!。」

 急に鳴った着信音に驚いて落としてしまったスマホを拾い、スマホに表示されている電話番号を確認する。

 (000-0136-999)

(なんだこの電話番号、知らない...というより、000?こんな番号が存在するのか?)

 「これ以上困惑させるなよなぁ...。」

だが、今の状況が分かるかもしれない。そんな根拠のない期待を、この不気味な電話番号とその先にいる相手にしていた。

 「ふぅ...。」

 「よし、出るか。」

 着信に出るために電話マークをスライドさせる。

(ははっ...緊張してきた。)

 トゥルルル...トゥルッ...  プッ

スライドしてから2秒程、声が聞こえてきた。

「「そこから降りろ。」」

「「早く戻れ。」」

(...は???なんだよ急ニ. . . )


 


 


 

 


 

 

 

 


 

 

 


 


 



 

 



 


 

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