あゝ愛しき我が家
「うぅーん!ただいま我が家!」
やべ、ドアふっ飛ばしちゃった。……後で修理しとこ。
そろそろな~、こんなボロ家じゃなくって、もっとこう……丈夫な家に住みたいんだけど……。
ドアの鍵なんてもう機能しなくなってるし……。まぁ、それは私が何回も蹴り飛ばしてた所為でもあるんだけど…。あれ?これ私の所為じゃね?……大家さんに土下座しに行かねば……。
「それにしてもあんなんあるのね~詐欺って。預言者て、予言者やろそこは。あれか、神の声聞こえま~す的な?…知らんけどー!!!!!!」
「うっせぇな!」
「お!ディラン君じゃあないか!」
紹介しよう!この目つきの悪い怖~い老け顔の男は、私のお隣さんのディラン君である!
「仕事終わりでゆっくり寝てたってのに……。」
「へへ、すまんすまん。今度、飯つくってやるから許してーや。」
「……はぁ…」
ふふ……大体いつもこう言えば引き下がるんだこいつは…。あと、育ち盛りのディラン君には、いっぱい食ってもらいたいしな。
「ったくもう……。あ、そーだ、あれ聞いた?」
「あれってなんぞや。知らん知らん。」
あれってどれだよ。こちとら起きる・働く・寝るの生活習慣やぞ。
「聖女が代替わりするとかいう…」
「は?まてまてまてまて、それどこ情報よ?」
「新聞。」
新聞……新聞か…ぁ…。いや、現物!現物を見ない限りは……。
「ほれ、ここ」
ディランが持つ新聞に指をさす。そこには……聖女の代替わりが大々的に取り上げられているらしく、聖女らしい絵が掲載れている。
……いや、文字読めねぇんだって!普通転生って、そーゆーのも読めるようにさせてくれるんじゃないの?サービスが不足してると思うのですが!
「ふぅ……。ごめんディラン、ちょっと一人にさせてクレメンス。」
「お?おう……。」
……あー。本当ッ!だったんだけどぉッ!ねぇー!聖女の代替わりッ!本当にしてるんだけどッ!
いやだってよぉ、新聞だぞ?そんなん…ねぇー!信じるしかないじゃん!!
え、てことは、詐欺じゃなかったてこと?だとしたら……。だとしたら、どうなんだろ?
アーチーさん…すまん……。
つーか、待てよ?聖女……マチルダ……。
……ここ、乙女ゲーの世界じゃね?