ドジっ娘三つ編みメガ姉
「ね…ねぇ、貴女……」
「ひゃっふれ!」
……ひゃっふれ?
この人で良いんだよな?アーチーさんが言ってた『信用できる者』って。
なんか不安になってきたんだけど……大丈夫かなぁ。
「ななななな…なんなんですかぁっ!い、いっだい……はっ、もしかして、あの……あなたが聖女様…?」
「…おそらくは。イザベラさんで間違いないでしょうか?」
「えー、はい。正真正銘、私はイザベラ・アンジェリーでございます。聖女様。情けないところを見せてしまい、申し訳ありませんでした。」
「いえ、急に背後から声を掛けた私も無粋でした。どうか気にしないで下さい。」
なるほど、ドジっ娘三つ編みメガネのイザベラちゃんね……。
というか、眼鏡って中世ヨーロッパでもう出来てたの?…駄目だ、わからねぇ。
で、でもでも、乙女ゲームにはメガネキャラは必須ってベスフレが言ってたし、あるってことはきっとここは乙女ゲームの世界なんだ!そういうことにしておこう!
「あの」
あ、やべ、イザベラちゃんに名乗ってねぇじゃん、私!
「すみません、名乗るのが遅れました。私、マチルダと申します。」
「あぁ、それでは、マチルダ様。これから、禊を行わせていただきます。」
おぉ、ありがたい。全然そーいうの知らなかったしね。
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そーいうことで、トコトコ歩きながら、私はイザベラちゃんの説明を受けた。
くっそわかりやすかったぜ!しかも、ちょっとしたコラムも話してくれるから、普通に面白い。イザベラちゃん教師に向いてそう。
「なるほど、この聖泉の水を使って、体を清めるのですね。」
「えぇ、そうです。お着替えはこちらでご用意しています。禊中は、見ないようにするので、そこはご安心下さい。」
「はい!ありがとうございます。」
結構良くしてくれてる……のか?やばい、この世界に生まれてこの方、他の地域に行ったことがなかったから、この世界の基準がわからん!
まぁ、私の基準だと厚待遇。うん、それでいいじゃないか。
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ひょえぇ……ガクブルガクブル。
やっぱり寒かった。春なんだから当然だよね。
それはそうとして、この衣装すっげぇの!手触りもそうだし、デザインもなかなか……。
「その服は、先々代の聖女の衣類を再現したものです。着やすいよう、改良も施されています。」
「なるほど。道理で着心地が良いわけです。」
試しにくるんと回ってみる。スカート部分が控えめにヒラリと舞った。
うん。重すぎず軽すぎず、かつ動きやすい。結構良いな。しかも、靴の方もヒールが高すぎず、歩きやすい。それに、心なしかこれまで履いてたブーツよりも、しっくりくる気がする。
「これから王宮へ謁見に参りますが、何かやり残したことなどはございますか?」
「いえ、特にありません。」
それじゃあ……行こうか!王宮へ!