構想
家に帰り着くと、私は今日見聞きしたことも踏まえて構想を練ろうと、ノートとペンとを用意した
それにしても、どうして会場が分けられていたのだろうと思う
年代で区切る必要があるのだろうか?
それともお年寄りに配慮した結果だろうか?
私はあえて、意図的に分けたと考えることにした
ある程度若い人だけを集めることで、みんな同じように悩んでいるんだという安心感を与えて…
自分より若い子たちを見て、充分生きたような錯覚をさせて…
そこでふと、兄と似た人を見たあの日のことを思い出した
それから、加藤さんとお兄さんのこと、今日受けた説明のこと…
全てをお任せにするような人が、そんなにごろごろいるものだろうか?
もし遺族に返す骨や遺体が本物じゃなかったとしたら…?
今の医学じゃ無理だろうが、身体まるごと移植できるような世界にすればいい
主人公はその秘密に気付いて迫るうちに、自分が安楽死として殺されるのだ
まず、兄が亡くなったところから物語を始めて、同級生と境遇をリンクさせて…
うんうん、と頷きながら、物語の流れをノートに書いていく
亡くなってしまえばお金も全て残せないのだから、有り余る富を持つ人が不老不死に憧れて、身体をどんどん取り替えて生きていく
そして、そのお金はベーシックインカムや社会保障費に還元されながら流れていく
望んで安楽死をしたものもそうだし、仕組みに気付いてしまったものも消されていく
だけど誰もそのことに気付かない、そんなお話
私はゾクゾクしながらペンを置き、すぐに携帯を取り出すと物語を入力し始めた