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  作者: かおり
14/20

何だか全てが夢だったような気がする

ホテルの乾いた空気に少し喉が痛いと思いながら、今ここが自分の部屋なら良かったのに…と思った

天井を見上げて身じろぎをして、枕元の携帯で時刻を確かめる

それから止せばいいのに、昨日開いたページをまた開いた

加藤さんの、名前を文字ったペンネームにプロフィール

そしていくつか並んだタイトルと、購入ページへのリンク…

何で何で何で! とベッドの上でジタバタしながら、全て自費出版かもしれないと思う

けれど、わざわざリンクを開いて確かめる勇気も出なかった

起きるにはまだ早いが、寝直す気にもなれなくてアラームを消して起き上がる

シーツとタオルケットとを適当に小さくする

すぐにリネンルームに持っていこうと思ったが、パジャマのまま出歩く気にはなれず、まだ着替える気にもなれなかった

外には何が見えるだろうかとカーテンを開けてみるが、薄汚れたコンクリートの壁が見えただけだ

カーテンをまた閉めて、適当に畳んだシーツとタオルケットの上に座る

もう早く帰ろうよ、ここは私の居場所じゃない

そう思いながらも身体が重くて、シーツを広げるように寝転ぶ

昔読んだ話を思い出す

子供たちばかりの病室で、死期の近い子が窓際になって、窓を見ながら街の様子を話してくれる

だけど、本当はただの壁だったと知る話

でも、ただの壁でも想像力さえあれば、そこは活き活きとした街になる

帰ろう

私は起き上がってパジャマを着替えた

そしてまたシーツとタオルケットを適当に小さくして、荷物も全てまとめてしまう

ご飯は帰りながら食べようと、荷物とリネン類とを持って部屋を出た

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