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安全さんの安全良し!  作者: 猫羽ねむる
第1章 安全なダンジョン
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安全さんはお茶に行く?

 

 裏山ダンジョンへの再突入。今回は百合さんの提案で少しだけ特殊な場所に来ている。


「佳奈さんは珍しい武器を使うんだね。」


「やっぱりコレは珍しいんですか?」


 ピコピコとモフモフ毛玉を叩きながら返事をする。


「うん、私はピコピコハンマーを武器にしている子は初めて見た。それダンジョン装備なの?」


「そうです、こう見えて歴としたダンジョン装備なんです。」


 追加で現れたモフモフ毛玉達もピコッと叩き潰す。


「へぇーそうは見えないのがすごいね、防具の方はまだかな?」


「残念ながら、今日見に行ったんですけど高くて買えなかったんです。」


「あ~うん、あの値段設定は優しくないもんね。」


 またまた現れたモフモフ毛玉を叩くと毛糸玉が出た。ラッキー!


「それで2つ目だね。おめでとう。」


「ありがとうございます、ここには一生来ることは無いと思っていたんですが。安全が確保されればリスポーンポイントは最高の狩り場ですね。」


 そう、私は今、第1階層のモンスターが補充される場所、通称リスポーンポイントと呼ばれるモンスターが湧き出てくる場所の1つにいるのだ。

 モンスター補充されてくる場所なんて普段の私なら絶体に近づかない、じゃあなんでいるのかと言えば、元Aランク探索者の百合さんから安全は確保するから挑戦してみないかとの提案があったからだ。

 こうしてモフモフ毛玉を狩りながらも会話出来るぐらいの余裕があるのはひとえに百合さんの分体さんがサポートしていてくれるからで、まさに今の私は百合さん様様な状態なのだ。


「ふふ、佳奈ちゃんは本当にかわいいいなぁ。ねぇ、探索が終わったらお茶しない?」


「・・・・・良いですよ。」


「良いの!?」


 百合さん驚愕である。


「断られると思いました?」


「もちろん。佳奈さんこっちの人じゃないでしょ?」


 こっちってどっちですか?突っ込みたいけど面倒なことになりそうだからグッと我慢しよう。


「違いますよ、でも探索者の先輩として色々とアドバイスとか貰えないかなーって。」


「なるほど、そう言う事ならウェルカムだよ。あっ、ちなみに私、旦那さんがいるから恋しちゃ駄目だぞ?」


「えっ!」


 いけない、あまりの驚きにピコピコハンマーを外してしまった。


「はいはい、集中して。」


 ど、動揺が。この、この。やっと当たったー。


「旦那さんいるんですか?」


「いるよ?ちなみに旦那様はハーレムの主だったりするし、私が外で女の子と仲良くする許可も貰っていたりもするから佳奈ちゃんと仲良くしても問題ないから安心して?」


 ハーレムって確か50年前の急激な人口減少から脱するための政策の名残で今じゃ殆どいないって聞いていたんだけど、所属してる人は初めて見た。


「ちなみに私はどっちもいけるからハーレム生活は楽しいよ?良ければ紹介しようか?」


「いえ、私にはハードルが高いんで大丈夫です。」


「そう?気になったら遠慮無く聞いてよ。」


 聞くことはない・・・と思う。


「さて、ここまで2時間ほど安全にモフモフ毛玉を狩っていた訳なんだけど、サポーターの件は考えてくれたかな?」


「お願いしたいんですが、その前に1つだけ確認したいです。百合さんにメリットが無いと思うんですがなんでサポーターに立候補してくれたんですか?」


 そもそもサポーター制度は才能あふれる新人を支援、育成するための制度でダメ元で申請していた制度の1つだ。

 少なくとも裏山ダンジョンを主戦場にしている私が優秀だとは言いがたいのだが・・・・・。


「それはもちろん。」


「もちろん?」


「かわいい佳奈ちゃんと一緒に活動したいからだよ。駄目かい?」


 ジトッとした目で百合さんを見つめる。


「ふふ、そんなかわいい目で見つめられてもドキドキするだけだよ。」


 ん~百合さんにも何か事情がありそう?藪を突いて蛇が出てきても嫌だし、これ以上聞くのはやめておこうかな。


「じゃあ、百合さんにサポーターをお任せしても良いですか?」


「良いのかい?明らかに言い訳が苦しいと思うんだけど。」


「かわいいも嘘なんですか?」


「そこは嘘じゃない。」


 周りにいた百合さん全ての顔がキリッとなった。


「聞いても教えてくれないでしょ?かといって私に害のある話でもなさそうだし良いかなって。」


「そこは保証するよ。じゃあ手続きにはいるけど本当に良いんだね?」


「勿論です。これからよろしくお願いします。」


「こちらこそよろしく。」


 百合さんと固く握手を交わした。



 ・・・・・もしかして後ろに並んでる百合さんとも握手しなきゃいけないのかな?



 あの後きっちりあの場にいた全ての百合さんと握手させて貰いましたよ、えぇ。

 途中で百合さんが増えているように見えたのは気のせいだと思いたい。


「さて佳奈ちゃん、時間的にも丁度キリも良いしそろそろ帰ろうか。」


「はい。じゃあコレで最後。」


 丁度足下にリポップしたモフモフ毛玉を魔石に変え回収してその場から離れる。

 離れた側からモフモフ毛玉はもりもり湧いてきているがここはそう言う場所なので驚きはしない。


「よし、撤退完了だね。佳奈ちゃん、折角だし近場のトレジャーポイントを寄ってから帰ろうか?」


「いいですね。じゃあ一番近いトレジャーポイントはこっちです。」


 私の先導の元、帰り道沿いのトレジャーポイントに立ち寄ると運良く宝箱を見つけることが出来た。

 当然のように木彫りの箱だったのだが中身が昨日とは違う用だ。


「コレは・・・・木刀でしょうか?」


「ん~、多分そうじゃないかな?」


 百合さんも判断に迷っている。なぜなら出てきた木刀は朽ちかけと言うにふさわしいほどボロボロでコケまで生えていからだ。


「一応ダンジョン装備ですよね?」


「宝箱から出てきている以上はそうなんだろうね。私もこのレベルの物は初めて見るから一応持ち帰ろうか。」


「そうですよね、もしかしたらすごいダンジョン装備かもしれないですもんね。」


「・・・・・・うん。」


 その間が全てを語っているのは分っているけどもしかしたらがあるかもしれない。

 安全さんは朽ちかけた木刀を片手にダンジョンの出口へと歩いて行くのであった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ダンジョンを脱出したのだが横井さんのパーティーはいなかった。

 どうやら捕獲作戦は無事に終了したようだ。


 そうそう忘れないうちにレベルの確認をしないと。


 百合さんに一声掛けてからステータスプレートを開く。

 ・・・・2上がった。よしよし。メモ帳に書き込んで~。


「お待たせしました。」


「どう?レベルは上がっていたかい?」


「はい、おかげさまで2も上がってました。」


「それは良かった。じゃあ双葉に報告に行こうか。」


「はい。」


 カウンターに目を向ければ双葉さんはもう買い取りカウンターの方にいる。


「双葉さん、ただいま。」


「はい、おかえりなさい。色々と話したいことはありますがまずは買い取りをしちゃいましょう。」


「了解です。今日はちょっと多いですよ。」


 そう言いながら手に持っていた木刀をカウンターに置き鞄から魔石や毛糸玉を取り出していく。


「あらあら、本当に多いですね。百合、検品のお手伝いをお願いします。」


「双葉君は仕方が無いな奴だな~。」


 百合さんはどこかの猫型ロボットのようなダミ声で答えると分体を作り出し検品を手伝い始めた。


「お金の振り分けはどうしますか?」


「それは全額、佳奈ちゃんにお願い。」


「駄目です。まだサポーターに就任していないので最低でも半々でお願いします。」


「え~、私は佳奈ちゃんのサポーターに決まったんだし遠慮しなくて良いんだよ?」


「いえ、その当たりはきちんとしましょう。」


 百合さんは何か言いたげだったが譲れないという思いが伝わったのだろう。


「そう、じゃあ今日は半々にして今度からはサポーター規定の9:1の振り分けにしようか。もちろん佳奈ちゃんが9だからね。」


「・・・・・分りました。双葉さんそのようにお願いします。」


「かしこまりました。ではこちらが明細になります。金額をご確認の上こちらにサインをお願いします。」


 え~となになに。魔石が126個で12600円、毛糸玉が2つで20000円、朽ちたドラセナの小太刀100000円。


 まじかぁ、あの今にも壊れそうな木刀が100000円。

 やっぱりダンジョンってすげぇ。


「ふふ、佳奈ちゃん驚いてるよ。双葉、あの木刀について説明してあげて。」


 そうです。教えて下さい、双葉さん。


「分りました。実はあの木刀には空気清浄の効果が付いているんです。武器としての価値よりも魔道具やインテリアとしての価値を評価してその値段としました。」


 なるほど、確かにそれならボロボロだろうが関係ないもんね。

 逆にインテリアとして使うならビンテージ感があって良いかもしれない。


「こう言う武器って持ち込まれたことあります?」


「ありますよ。過去に似たような物が数点持ち込まれてます。あれも木製の宝箱から出たんじゃないですか?」


「よく分りましたね。木製の宝箱から出てきた物です。」


「やっぱりですか。以前ここに勤めていた先輩に聞いた話なんですが、朽ちた木製武器シリーズは木彫りの宝箱の中身としては小当たりみたいな物らしいですよ。」


「じゃあ、アレよりも良い物が出る可能性も・・・・・。」


「私は見たことないですが、あると聞いてます。」


 おぉ、宝箱には夢が詰まっているって本当だったんだね。


「さて、買い取りのお話はここまでにして安全さんがダンジョンに入ってからのお話をしましょう。」


 ちょっと気になってたんだよね。さてどうなったのやら。


「まず今回の騒動を引き起こしたとされる彼らの処遇ですね、彼らは逮捕されました。」


 逮捕、それは穏やかじゃないね。


「逮捕の理由としましては最低でも威嚇スキル関連法違反と執行妨害の2点ですね。ちなみに影響が出ていた範囲が広いので1発免許取り消しですよ。」


 執行妨害って事は暴れたのかな?それより、


「影響範囲が広いって事は私が見つけた集団以外にもいたんですか?」


「ええ、百合の調査によると安全さんが発見した集団と似たような規模の集団が裏山ダンジョンの全階層で確認されています。」


 1カ所でも問題視されてるのに全階層?不注意とかそう言うレベルじゃないよね?


「あぁ~つまり彼らは威嚇スキルをONにしたままボス部屋まで進んでったんだね。」


「そうです。その行動はモンスターの擦り付けが発生していた可能性もあった訳で、最悪の探索者の命を奪いかねない危険極まりない行動です。」


 おいおい、強力なモンスターがいなくても危険な状況だったんじゃ無いか。


「双葉さん、私、そんなダンジョンの中に入ったわけじゃないですか。もしかして慰謝料って請求できたりしません?」


「もし逃げてくるモンスターに遭遇したとかなら出来たとは思うんですが・・・・。申し訳ないですが安全さんの場合は無理だと思います。」


「・・・・そうですか、残念です。」


「あと安全さんには少ないですが発見報告の謝礼がでるので後日お渡ししますね。」


「はぁい。」


「彼らの顛末も知れた事だしそろそろ帰ろうか。」


「私も上がりなんで食事に行きませんか?」


「おっ良いね。折角だし佳奈ちゃん一も一緒にどうだい?」


「行きたいです。」


「よし、着替えたらここにもう一度集合って事で。」


「はい。じゃあここも閉めますね。」


 ガラガラとシャッターが降りてくる音を後ろに聞きながらロッカールームへと入っていくのであった。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 忘れ物はないね。

 着替えを終え忘れ物が無いことを入念に確認してからロッカールームを後にする。

 エントランスに出ると受付前には私服姿の双葉さんと百合さんがすでに待っていた。


「双葉さん、百合さんお待たせしました。」


「全然待ってないよ。」


「そうです、今来たところです。」


 おぉ、双葉さんは清楚系お嬢様ファッションで綺麗だし百合さんはボーイッシュ系ファッションでかっこいい。

 私の場違い感・・・。いや大丈夫なはず。私のアニクロファッションは完璧なはずだ。


「みんな揃ったし、行こうか。」


「行き先は決まっているんですか?」


「あぁ、私のよく行くレストランの予約が取れたんだけどそこでどうかな?」


「さっすが百合、そう言う事に関しては仕事が速い。」


「褒めてもデザートの追加ぐらいしか出ないよ。」


「やったー、でも褒めてはいませんからね?」


「はは、照れなくても良いのに。」


 双葉さんと百合さんは本当に仲良しだね。

 顔はにこやかでそんなことを考えている風を装っているけど内心、お金が足りるか心配で戦々恐々としている。


「ふふ、佳奈ちゃん、レストランは私の奢りだから安心してよ。緊張しないように個室を取ってあるからマナーも気にしなくて大丈夫だよ。」


「ご馳走になっちゃっても良いんですか?」


「安全さん、こう見えて百合は滅茶苦茶稼いでいるんですよ?今日だって安全さんとの探索の裏で安全さんの100倍は稼いでましたし。」


 100倍・・・・・。


「そうだよ、さっき双葉は100倍って言ってたけどもっともーと稼いでるからね。今度こそ遠慮しないでほしいな。」


「分りました、ご馳走になります。」


「ああ、任せなさい。」


 ドンと叩かれて揺れる胸に目が釘付けになっちゃったのは仕方が無いことだと思う。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「はぁ~美味しかった。」


「ですね、いつ来てもここの料理は最高です。」


「2人に満足して貰えて良かったよ。」


 いつの間にか言葉も適度に砕け非常にほのぼのとした時間が流れている。


「ところで安全ちゃん、百合がサポーターで本当に良いですか?」


「うん、百合さんがサポータに付いてくれるならこんなに心強いことは無いですから。逆に、百合さんの収入が減っちゃわないか心配です。」


「そこは大丈夫、私はスキルの関係上、佳奈ちゃんのサポートをしながらでも色々出来るし、サポーターになると探索者協会から固定給が入ってくるからね。むしろ今までより稼げるくらいじゃないかな。」


「大丈夫ならいいんだけど。」


「心配してくれてありがとね。君は優しいね。」


 頭なでなでしないで~。


「ふふ、百合が探索者に戻るなら私も探索者に復帰しようかしら。」


「えっ、双葉さんも元探索者なの?」


「そうですよ、こう見えて元Bランク探索者なんです。」


「ははは、双葉はやめときな。またお父さんに泣かれるよ。」


「はぁ、それもそうね。お父様が泣くと面倒だからやめときます。」


 双葉さんはお父さんに愛されてるんだね。


「そういえばさ、佳奈ちゃんのスキルってなんなの?」


「気になります?」


「そりゃあサポーターになるわけだし把握はしときたいかな。まぁ協会職員である双葉達が知っている時点でユニークスキルだって事は察したんだけど、もし良かったら教えて欲しいな。」


 サポーターについて貰うわけだし、知って置いて貰いたいけど・・・・。


「ここって外に情報が漏れる可能性は無いですか?」


「そう言われると思ってこいつを用意しておいたよ。」


 そう言いながら百合さんはアイテムバックからランタンを取り出した。


「それは?」


「簡易結界装置。コレに光が灯っている間はこの部屋を外界から隔離する魔道具だよ。点火するね。」


 百合さんがランタンに火を灯すと部屋の電気は消え暖かい光が部屋の中に広がる。

 それ以外に特に変わった感じはしないけど大丈夫なのかな?


「扉を開けようとしてごらん。そうすればこのランタンの効果を実感できると思うよ。」


「すごい。本当に開けられないや。」


 何度触ろうとしても触れない、不思議だ。


「ふふ、かわいいな。何時までも見ていたいけどそろそろ良いかい?」


 はっ!いかん、不思議な感触の虜になってた。


「ご、ごめんなさい、私のスキルは『宝くじ』です。こんな感じにモンスターを倒して稼いだポイントで宝くじが買えるスキルです。」


 実際にはじまりのスクラッチを20枚購入して実体化させて見せる。


「へぇ~、流石ユニークスキルに属するだけあって変わったスキルだね。それは私達にも触れるのかい?」


「触れるよ。どうぞ。」


「ありがと。他人が触れられるとは余計に珍しい。おっコレは銀はがしタイプなのか。」


「銀はがし?なんですかそれ?」


「今の全て削るタイプのスクラッチくじの前身に当たるくじだね。簡単に不正ができちゃうから今では雑誌の懸賞以外では見なくなったんだ。」


 へぇ、それは知らなかった。


「ところでコレ削っちゃっても良いかい?」


「どうぞ、全部で20枚あるから双葉さんもどうぞ。」


「いいんですか?じゃあ遠慮無く。」


 テーブルの真ん中に20枚のスクラッチを置きみんなで削ることにした。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



 ・・・・・これで最後。残念ハズレ。ダブルチャンスもハズレかぁ。


「いやぁ~綺麗にハズレたわね。」


「宝くじだもん。こんなもんでしょ?」


 結果は5等が2枚にダブルチャンスが8枚の当選だった。

 5等の100TPチケットは使っちゃうとしてこのお菓子はみんなに分配すれば良いかな?


「当たりの確立としてはそうかもしれないけど普通の宝くじみたいに最低保証まであるとは、やっぱりこのスキル面白いよ。」


「そうですか?私として危険予知とかバリアとかそう言う系のスキルの方が良かったんですけど。お裾分けです。どうぞ。」


「いや、そのお菓子は佳奈ちゃんが使いなさい。」


 お菓子をみんなに配ろうとするといつの間にか後ろに現れていた眼鏡を掛けた百合さんに止められる。

 ちょっとビックリしたぞ?


「どうしてですか?」


「どうしても何もそのお菓子、ステータス強化の力があるよ。」


 へ?タダのお菓子じゃ無いの?


「双葉も佳奈ちゃんも鑑定眼鏡を貸して上げるから見てごらん。」


 サクッと手渡された鑑定眼鏡、これ私でも知ってるぐらい有名な魔道具でしょ?滅茶苦茶高いんだよ?そうポンポン貸しちゃって良い物じゃないんだよ?


「佳奈ちゃん。手が震えてるけど大丈夫かい?」


「百合さん、もっと安全対策を。」


「ははは、大丈夫だよ。まだ20本ぐらい持ってるしもし壊れても文句なんて言わないよ。」


 そう言う事を言いたいんじゃ無いんだけどなぁ。

 震える手で鑑定眼鏡を装着しお菓子を見てみると。



 ■体験版ムキムキグミ

 体験版強化バフ付き食べ物。10分間、ほんのり力が強くなる。


「・・・・・ほんのり。」


「これも効果はほんのりですか。効果時間ももう一声欲しいですね。」


 おっ、双葉さんの仕事スイッチが入ったようだ。机の上に置かれたお菓子1つ1つを真剣なまなざしで検品しだした。


「百合さん、ほんのりってどれくらいなんでしょう?」


「難しい質問だね。体験した方が早いんだけど・・・よし佳奈ちゃん、このグミを使って私と腕相撲しよう。」


 そう言った百合さんの隣には力こぶを作り筋肉をアピールする百合さんが立っていた。


「良いですけど、瞬殺されそうな・・・。」


「大丈夫、この私は佳奈ちゃんよりも気持ち強いだけだよ。それじゃあまずは強化なしから行くよ。準備は良いね、ファイッ。」


 力は拮抗して、ない。少しずつ押されていき負けてしまった。


「じゃあこのグミを食べてごらん。」


 差し出されたのはムキムキグミ。なかなか噛み応えがあるグミだなぁ。


「お味はどうだい?」


「硬いけどリンゴ味で美味しいです。」


「美味しいの?味も気になるけど効果が切れないうちにもう一回いくよ。じゃあ手を組んでファイッ」


 お、おぉ、すごいちょっとずつ押し込めてる。ここで押し切れば。


「やったー。勝てたー。」


「おめでとう。と、まぁほんのりの効果はこんな感じかな。」


「結構強くないですか?」


「いえ、残念ながら高レベルになると殆ど誤差の範囲でしかありません。」


 あっ検品お疲れ様です。

「じゃあ恩恵を受けれるのは今だけって事ですね。」


「そう言う事です。もし売って頂けるなら1つ500円ってところでしょうか。」


 500円かぁ。


「やっぱり効果が弱いからですか?」


「そうですね、効果時間も短いのでどうしてもそのお値段ですね。」


「一応確認なんですけどこれに賞味期限とかはないんですよね?」


「鑑定で見ても表示されないって事は無いね。」


 ん~どうしようかな。保険として持っておくのもありだけど・・・。


「まぁ、直ぐに決めなきゃいけない物でもないし今日は持って帰りなよ。」


「そうですね。ではもしお売りになる場合は買い取りカウンターまでお願いします。」


「了解です。」


「スキル関係で確認しなきゃいけない事はもう無いよね?じゃあ佳奈ちゃんがそのお菓子をしまったら結界装置止めるよ。」


「はい。」


 こうして新しい発見と供に百合さんへのスキルに関する説明は終わった。




■レベル7(+2)

■所持ポイント1050TP(+326)(-2000)

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