狂った奴は狂気の片鱗を見せる
「ん?これは、扉?」
僕はしばらくあたりを捜索していた。
そうすると、この辺りが壁で囲まれていることが分かった。
そして、1つの側の壁に扉を見つける。
「ちょっと開けてみるかぁ」
僕は扉をゆっくりと押す。
ギィィィ。
と、音を立てて扉は少しづつ開いた。
「っ!?」
「まぶしっ!?」
予想外の事が起こった。
外から日差しが入ってきたのである。
さっきまで松明しか光源がなかったため、まだ太陽の光に目が慣れない。
思わず手で目の前を隠してしまう。
が、
「グウゥゥゥゥ」
何かのうめき声が聞こえたため、すぐに手をどけ、無理やり周りを見た。
(うぅ。目が痛い)
先の方に、緑色のものがうごめいているものが見えた。
植物だろうか?
「って、なんか足っぽいのあるじゃん!動物だろうなぁ」
僕はその緑色の物を光に慣れてきた眼でじっと観察する。
知能が低そうな顔をしていて、耳がとがっている。背は低い。
これは、映画とかで見たことのある、
(ゴブリン、かな?)
「異世界って、本当だったのかぁ」
僕は手紙に書いてあったことの意味を理解した。
本当にここは僕のもともといた世界とは違う世界らしい。
しばらく、見ていると、
「ゴブウウゥゥゥ!!!!」
「っ!バレた!?」
ゴブリンが叫びながらこちらに走ってきた。
どうやら見つかったみたいだ。
逃げた方がいいのかと辺りを見渡すが、床はすべて石の壁で覆われ、後ろは石の壁の部屋しかなかった。
(うわぁ。これは死んだなぁ)
僕は生を諦める。
まあ、いさぎ悪く、後ずさって暗闇に入り、見つかりにくくしたのだが。
ゴブリンはそんな弱気な僕を見てにぃっと笑いながら走るスピードを上げる。
そして、ゴブリンが部屋の入り口のあたりまで走ってきたところで、
ゴンッ!
「ゴ!ブゥゥ、、、」
何かにぶつかったような音がして、頭から血を流しながらゴブリンはその場に倒れた。
(、、、助かった、のかな?)
僕は恐る恐る倒れているゴブリンに近づく。
「死んで、はいないか」
どうやら気絶しているだけみたいだ。
何か行動を起こすにしても起きる前にやっておいた方がいいため、僕はこのゴブリンをどうするか考える。
僕の事を襲おうとしてたし、殺すべき、かな?
ここは僕が生まれた世界とは違う世界。
なら、元の世界の法律だって適用されないはず。
緑色のキモい生物を殺したって、動物愛護団体に抗議されないはず!!
「何かいい道具あるかなぁ?」
僕は殺すことを決め、殺すための道具を探すことにした。
散らかっている道具の中から、ナイフを見つけた。
これで頸動脈を切れば殺せるよね?
そう思いながらナイフに手を伸ばす。
「ん?なんだこれ?」
僕はナイフの近くに落ちている、最低限に必要となるであろう道具たちの中で、唯一そうではない浮いたものを見つけた。
それは、
「これは、カメラ?」
カメラ。
画面のところにメモが書いてある付箋が張ってある。
書いてある内容は、
「このカメラを起動すると、自動的にカメラの情報が元の世界に生配信として送信されます。自分が生きていることを伝えてあげましょう」
「ちなみに、テレビをハッキングする形で放送されるから気を付けてね」
テレビをハッキング。
僕はその言葉に胸が躍る。
早速起動しようと起動ボタンに手を伸ばすが、
「、、ちょっと待って」
「配信するとして、何を配信すればいいのかな?」
僕は放送する内容が何もないこと乾気づいた。
生きていることを伝えましょうとか書いてあったけど、そんなしょうもないことを伝えても意味がない。
もっと、面白いことを伝えないと。
そこで、ふと入り口の前に倒れているゴブリンに目がいった。