表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/155

11話 天界

 

「あらあら、メイちゃん。いつまで天界に居るつもりなのかしら?」


「え?…えっと。どちら様ですか?」


 天界でレベル300未満の(翼が出せない)天使さんのレベル上げなどを手伝ったりしながら、ふわふわ過ごして3年。とても可愛らしい天使さんが話しかけてきました。初めて見る顔なのに、何故か懐かしさを感じる口調です。


「あらあら。たった3年会わないだけで忘れられちゃうなんて、悲しいわぁ」


 …3年という事は、3年前に下界に来た天使さんの1人という事でしょうか?ですが、記憶にありません。こんなに可愛らしいお顔を、私が忘れるとは思えないのです。…となると、それ以外で会った事のある人物になりますね。…ん?…あらあら?


 …いやいや。そんな訳…。よく見ると、面影がある様な、ない様な。


「…もしかして、神官様ですか?」


「もう死んじゃったから、神官じゃないわよぉ。シルフィアって呼んでちょうだいね」


 …はい。訳が分かりません。正解したものの、信じられません。どうして若返っているのでしょうか。それに、死んでしまったのなら、どうして生きておられるのですか?謎が多すぎますよ。


 …分かりました。これは夢ですね。ふわふわ飛んでいる間に寝てしまったのでしょうね。そうに違いありません。それなら、話は簡単です。漫喫すれば良いだけですね。


「では、シルフィアさん。頭を撫でさせてもらってもよろしいですか?」


「あらあら。良いわよぉ」


 では、遠慮なく。


 あぁ。良いです。凄く良いです。白い髪がサラサラで、最高の撫で心地ですね。ずっと撫でていたいです。


 最近は天使のお姉さんに撫でられてばかりでしたからね。それも良いですが、私も可愛い娘を撫でたかったのですよ。他の幼い天使さんは何故か嫌がりますし、キャルシィはここに居ません。夢であっても幸せです。


「メイちゃん。カーラちゃんが寂しがってたわよぉ。そろそろ帰らないと可哀そうよぉ」


「そうなんですねぇ。でも、カーラにはサクラさんが居るから大丈夫ですよぉ」


 あぁ。流石、神官様です。夢でも、それっぽい事を言ってきます。


「あらあら。でもねぇ、メイちゃん。サクラちゃんも忙しいのよぉ」


「サクラさんは何でも出来るので、カーラの相手くらい余裕ですよぉ」


 あぁ。幸せです。この、のんびりとした感じ、最高です。いつまででも撫でていたいですね。会話も振ってくれますし、飽きません。


「良い夢ですねぇ。シルフィアさん、メイお姉ちゃんって呼んでくださいよ」


「あらあら。夢じゃ無いわよぉ、メイお姉ちゃん。何を言ったら信じてもらえるのかしら?」


「………え?」


 …え?



 ♢♢♢



「…えっと。…ごめんなさい」


「あらあら。良いのよぉ。私も楽しかったもの」


 私は、とんでもない事をしてしまいました。私は、夢と現実の区別も付ける事が出来ない、ダメな人間だったのです。


 なんと、『神官』の称号を持つ者は、死ぬと『天使』として生まれ変わるらしいのです。つまり、この可愛い天使さんは、私の知っている神官様の生まれ変わりだったのです。下界では、おばあちゃんでしたが、今は私よりも幼い天使さんです。


 天使さんには若い女性しか居なかったので、以前、気になって聞いたことがあります。その話では『天使の成長は遅く、数百年かけて大人になる。そして、下界での20歳くらいで見た目で成長は止まり、不老となる』と教えてもらいました。


 つまり、神官様…。いえ、シルフィアさんは、数百年この可愛い姿を保つという事になります。ずっと傍にいたいと思ってしまいますね。


 ですが、シルフィアさんは凄く可愛いですが、1つだけ足りないものがあります。


「シルフィアさん、レベルを上げましょう!」


「あらあら。急にどうしたのかしら?」


 そうです。つまり、翼が必要なのです。私は、この3年間、翼を持たない天使さんのレベルを上げました。そして、天界の全ての天使さんのレベルを300まで上げ終わりました。私は、もうプロなのです。追加で1人くらい余裕です。


「さぁ、頑張りましょう!」


「…あらあら。強制的なのねぇ」


「もちろんです!」


 何故なら、私が見たいからです。シルフィアさんのパーフェクトなお姿を!


 そして、シルフィアさんのレベル上げが始まりました。シルフィアさんの今のレベルは187。ほんの100レベルちょっとです。天界には、カーラ並みのレベルの天使さんが、ごろごろ居ますからね。頑張れば1週間もかかりませんね!



 ♢♢♢



 称号『大天使〈堕〉』が『大天使』に変化しました

 スキル『神眼』を獲得しました


「おわっ!!」


 …え?何が起きたのですか?


 今日も今日とて、低空飛行でふわふわしていると、急に頭の中に声が聞こえてきました。


 …今、〈堕〉が消えましたよね?これって…。


 シュッツ、バサッツ!!


「…ふふっ。ふふふふっ。来ました!遂にこの時が来ましたよ!!」


 漆黒では無く、純白の翼。私が欲しかった色です!翼を出しなおすと、色が変わりましたよ!!最高です!!急いで皆さんに報告です!!



 ♢♢♢



「メイよ、いつでも戻ってきて良いですからね」


「はい!絶対にまた来ます!」


 そして、お別れの時間がやってきました。私の目標は達成されたので、下界に帰るのです。天使のお姉さん達やシルフィアさんにお別れの挨拶をして回り、最後にレミコ様に会いに来ました。全員の所を回ったので、半日近くかかりましたが、遂にお別れです。


 思い返せば、あっという間の5年間でしたね。とても幸せな時間でしたし、有意義な5年間でした。帰るのは寂しい気持ちもありますが、カーラやサクラさん、キャルシィやポチにも早く会いたいですからね。それに、来ようと思えば直ぐに来れますし。


 さて、では行きましょう。取り敢えずギルドですかね。ギルドで待てば、カーラとサクラさんと会えるはずです。それに、キャルシィが受付嬢を続けていれば、キャルシィにも会えますからね。楽しみです!


 …あ。ですが、5年もかかってしまいましたからね。連絡もしてませんし、怒られますかね?まぁ、その時はその時ですね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ