6話 3回戦、4回戦、そして
「くっ…!捉え切れない!」
カーラと天使さんの3回戦目、カーラはかなり苦戦しています。翼を出した天使さんのスピードは、少しデバフを掛けたカーラでは追えない程に速いのです。
カーラの生傷が少しずつ増えていき、どうやら、この戦いもカーラの負けみたいですね。
「はぁ、はぁ。案外勇者も大した事無いのね。そろそろ本気出したが良いんじゃない?」
天使さんは、思っていたほどカーラが強く無いと感じたのか、煽ってきます。この辺で止めておけば良いものの、少し調子に乗ってしまっているみたいですね。
「…くふふっ!メイ、デバフ解除して!」
あぁ。カーラが凄く嬉しそうです。あんなに傷だらけなのに笑っていますよ。傍から見れば、そういう性癖なのかと勘違いされてしまいますよ。まぁ、それだけ嬉しいのでしょうね。私達以外で、デバフを掛けずに戦える相手は居ませんからね。
では、解除しましょう。これまで3回戦、全てカーラの負け。4回戦目はどうなりますかね?カーラの傷も回復させて、再スタートです。
「ここからは、ボクの本気だから。油断しないでね!」
「はっ!良いわよ、かかって来なさい!」
そして、天使さんも体力を回復させ、4回戦が始まりました。互いに回復手段があるなんて、この戦いはいつまで続くのですかね?晩御飯までに帰れると良いですけど。
ですが、早く帰りたくても、私にカーラを止める事は出来ません。今止めれば、私は一生恨まれると思います。あんなに楽しそうなカーラを見る事は、滅多にありませんからね。それに、一応は私が排除されない為に戦ってくれていますからね。のんびりと眺めていましょう。
「ねぇ、メイちゃん。少し飛んでみてよ」
「え?今ですか?」
すると、サクラさんが私に声をかけてきました。きっと、暇なのでしょうね。
「うん!あのマリヤちゃんって娘みたいに!」
「…やってみます」
そして私は、カーラと天使さんの戦いから目を離し、背中の翼に集中しました。
…何か、変な感じですね。今まで無かった物なのに、動かし方が分かります。
「飛べました!飛べましたよ、サクラさん!」
これは凄いです!体が地面から浮いてしまいました。それに、空中を動けます。楽しいですね!
「じゃあ、あんな感じで速く飛んでみて!」
そう言って、サクラさんは天使さんを指差しました。天使さんは、カーラの周りをビュンビュン飛んでいます。
「……嫌ですよ。怖いです」
「え?」
あれは、無理ですね。これ以上高く浮くのは怖いですし、あんなスピードで飛ぶなんて、もってのほかです。
「…そんな良い物が有るのよ?どうして?怖くないわよ!」
「…そんな事言われましても、怖いものは怖いのですよ」
龍の背中に足が付いていても怖いのに、下が全て見える状態で空高くに行くなんて無理ですよ。龍の時みたいに、目を瞑るのも無理ですし。
「そんな…。メイちゃんに抱き付いて飛べると思ってたのに…」
「…そんな事考えていたのですね」
やはり、サクラさんは高い所が好きみたいですね。進んで龍に乗りたがりますし、恐怖耐性が私とは比べ物にならないみたいです。
「メイー!勝ったよ!」
「あ、終わったのですね」
どうやら、サクラさんと遊んでいる間に、カーラと天使さんの戦いが終わったみたいですね。天使さんは倒れていますし、今度はカーラの勝ちみたいです。大丈夫ですかね?まぁ、自分で回復出来るみたいですし、大丈夫でしょう。
「…メイ、見てなかったでしょ」
「はい。ですが、カーラが勝つと確信していましたよ」
嘘ではありませんし、問題も無いはずです。本気のカーラに勝てる相手なんて居ませんからね。もちろん、私がバフを使った場合は除きます。
「くそっ!調子に乗らないでよ!来なさい、黒龍!」
「「「え?」」」
今、黒龍って言いました?天使さんは、いつの間に回復していますし、何故か怒っています。カーラのせいですよ?
ジリッ…ジリジリジリ…
空に出現した闇。そして…。
「ゴギャアアァァ!!!」
「ふふっ。ビビったかしら?七聖龍の一匹、黒龍よ!黒龍と力を合わせれば、勇者にだって負けないわ!」
そこに現れたのは、巨大な龍。天使さんが黒龍と言っているので、七聖龍の黒龍に間違い無いでしょう。怖いです。他の七聖龍も怖いですが、それらとは比べ物にならないくらいに顔が怖いです。
「っ!!メイ!ほらっ!メイも!!」
「…え。本気ですか?」
「うん!早く!!」
…どうして私にはカーラの思っている事が分かってしまうのでしょう。
「メイちゃん!!」
そして、サクラさんも同じ事を考えているみたいです。
はぁ…。分かりましたよ、もぉ!
「氷聖龍さん、海聖龍さん、炎聖龍さん、緑聖龍さん、雷聖龍さん。来てください!」
私は、それぞれの七聖龍と出会った場所に闇魔法を繋げ、皆を呼びました。さて、来てくれますかね?忙しいなら、来なくても大丈夫ですからね。
「……………」
「キャウン!!」
「ギュアァァァァ!!!」
「ビリャアアアァ!!!」
…来てくれたのは、氷聖龍、緑聖龍、雷聖龍。そして、何故かポチ。どうしてなのですかね?
「…ポチ?」
「キャウン!!」
…私、分かってしまいました。何故なら、ポチと一緒にスライムの核が転がって来たのです。どうやらポチは、あの森で遊んでいたみたいですね。丁度その時に、私の闇魔法が出たので入って来てしまったのでしょう。
「ギャオオオォォォォ!!!」
そして、少し遅れて炎聖龍が来てくれました。少しだけ住処を変えていたみたいですね。
さて、あと来ていないのは、海聖龍。海聖龍が来ないのは、私も分かっていました。
「…サクラさん、海聖龍さんを呼んでください」
「え? …海聖龍、来てちょうだい」
「ヴゥヲォォォォ!!」
ほら、来ました。海聖龍はもう、私の言う事は聞かないのですよ。私が『これからはサクラさんの言う事を聞いてください』と言って以来、聞いてくれないのです。ある意味、私の命令を忠実に実行していると言えますね。
「…は?…噓でしょ」
そして、天使さんは絶望しました。ごめんなさい、天使さん。奥の手で黒龍を呼んだのかもしれませんが、余計に戦力差が広がってしまいましたね。




