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5話 翼

 

『回復』


 天使さんとの戦いで、カーラは一撃で実力差を感じ、助けを求めてきました。全く反応出来ずに斬られてしまったみたいです。


 どうやら、私がデバフを強く掛けすぎせいですね。致命傷ではありませんが、痛そうなので、私は急いで回復魔法を使いました。


 すると、それを見ていた天使さんが、驚いた表情で言ってきます。


「はあ?どうして魔王が!魔族が回復魔法を使えるのよ!」


「メイはボクの聖女だからだよ!」


『ボクの』は余計ですが、カーラの言う通りですね。魔王以前に私は聖女ですから。最近は、魔王と呼ばれる方が多いですが、私的には聖女と呼ばれる方がまだマシです。


「は?魔王で堕天使で聖女?どれだけ欲張ってんのよ!」


 …私だって、欲しくて与えられた訳ではありませんし。そんな事言われても、返す言葉が見つかりませんよ。まぁ、無視すれば良いですね。


「カーラ、デバフは解除しますね」


「んー。少しだけ掛けといて。掛けないと相手にならないと思うから」


 カーラが言うなら、そうなのでしょうね。では、少しだけ掛けておきましょう。天使さんの実力は、七聖龍以上サクラさん以下、くらいみたいですね。


「よし!じゃ、次は負けないからね!」


「…どうなってんのよ」


 デバフを掛けて戦うという事は、完全に舐めているという事ですからね。天使さんに少しだけ同情しなくも無いですね。


 そして、カーラと天使さんの2回戦が始まりました。今度は、さっきと違って良い勝負です。剣技では完全にカーラが勝っていますが、天使さんがスピードで上回っているみたいです。ですが、時間の問題ですね。カーラは全て受け止めますし、天使さんは苦しそうに見えます。


「はぁ、はぁ。もう無理」


 すると、天使さんは距離を取って、そう言いました。もう諦めてしまったのですかね?


 ぱあぁぁ…。ふぁさっ!


「ふぅ。本気出すから」


 すると、何という事でしょうか。天使さんは自らを回復させると、背中から純白の翼が出てきました。


 天使さんって、回復魔法を使えるのですね。っと、そんな事はどうでも良いです。


「何ですか、その翼!凄く可愛いです!!」


「ふぇ⁈ …ふふっ。この翼は天使の翼よ。天使のみに与えられる力よ」


 天使のみ?私の称号だって、一応『天使』って付いていますよ?


「ズルいです!私も欲しいです!どうすれば出せる様になるのですか?」


「は?この力は、天使が300レベルになると与えられるのよ。あんたが持ってないって事は、堕天使には与えられないって事なのよ。勇者より強いんだったら、とっくに300レベルを超えているのでしょ?」


 …300レベル。天使さんは何故か勘違いしていますが、私のレベルは300レベルを超えていません。298レベルです。…あと2レベルですね。今までなら、望んでレベルアップなんてしたくありませんでしたが、今回はそうも言ってられません。私は今、物凄くあの可愛い翼が欲しいですからね。


 今の私がレベルアップに必要な経験値は、およそ0.8カーラ。2レベル上げなくてはならないので、1.6カーラですね。298レベルになってからも、少しは経験値が入っているので、もしかしたら1カーラでも大丈夫そうです。…1カーラ、1カーラ。


「…カーラ、ごめんなさい」


 私は、今だけカーラのデバフを強く掛け、アイテム袋からリンゴを1つ出し、カーラの顔面に投げつけました。リンゴは後から美味しく頂くので、許してくださいね。


「え?ぼげふぁあ!!!」


 ピロンピロン


 やりました!1カーラで2レベル上がりましたよ!これで…!!


 スキル『飛翔』を獲得しました


 飛翔ですって!何か、スキル名も凄いですね!これで私も、あの可愛い翼が出せるのですね!早速使ってみま…。その前に、カーラを回復させましょう。


「あんた、急に仲間を倒すとか、頭いかれてんじゃないの⁈ …やはり、堕天使。危険な存在ね」


 天使さんが何か言っていますが、気にしません。元はと言えば、天使さんが悪いのです。あんな可愛い翼を見せびらかされれば、直ぐに欲しくなってしまいますからね。


『回復』


「…メイ。…どうしてなの」


「ごめんなさい、カーラ。必要な事だったのです。カーラ、見ていてくださいね!」


 そして私は、無駄に叫びます


「『飛翔』!!!」


 本来スキルを使う時、声に出す必要はありません。ですが、私は出しました。嬉しさを抑えられませんからね。


 ふぁさっ!


 出ましたよ!背中に何か、出てきました!これが私の………。


「メイ、凄いよ!カッコいいよ!」


「…嘘です!何かの間違いですよ!!チェンジで!」


 あり得ません!こんなの嫌ですよ。どうして黒なのですか!漆黒ですよ!完全なる嫌がらせですよ!私は純白の翼が欲しかったのですよ!


 うぅぅ…。泣きたいです。


「漆黒の翼…。堕天使の翼は黒なのね」


「…私も純白の翼が欲しいです。その可愛い翼が欲しいのです。交換してくださいよ…」


 もう嫌です。帰って美味しいものでも食べて忘れたいです。私に生える翼が黒ならば、先に言ってくださいよ。期待したのが馬鹿みたいじゃありませんか。


「…メイちゃん、黒も可愛いわよ?」


 あぁ、そうですか。サクラさんは優しいですね。ですが、何故疑問形なのですか?


「サクラさんだって、もし翼があるなら黒より白の方が良いですよね?」


「…えぇ、まぁ」


 …やっぱり。どう考えても、私の翼は天使さんの翼の下位互換なのです。可愛さレベルが違いすぎます。


「ボクはメイの翼の方が好きだよ!可愛いよ、メイ!」


「カーラ…!」


 カーラにはそう見えるのですね。そういう意見も少なからず有ると思えば、少しだけ元気が出てきましたよ。そうですよ。白と比べるからダメなのです。単体で見れば、可愛い……ですかね?


 …可愛いです。きっと、可愛いです。そう思いましょう。


「カーラ、ありがとうございます。さっ、気を取り直して、天使さんを倒しましょう」


「うん!もう邪魔しないでね!」


 …あ。ごめんなさい。根に持っていたのですね。天使さんが本気出そうとした時に、私が邪魔しましたからね。もう絶対に邪魔しませんから。思いっきり戦ってください。



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