表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/155

4話 お客様

 

 カーラとサクラさんとの戦いから、15日ほどが経過しました。あれから私達は、Sランク以上の討伐依頼をこなしまくり、私とサクラさんは、お金持ちになりました。凄く幸せです。ケーキもいっぱい食べましたし、おやつの果物も沢山買いました。ですが、減るどころか、増えてしまいます。嬉しいですね。


 そして、サクラさんは私のレベルを軽く抜いてしまいました。討伐依頼では、カーラがデバフを掛けて一匹倒す間に、残りを全部サクラさんが倒します。それに、夜はサクラさんの独壇場です。以前は、私を基準にカーラとサクラさんにバフとデバフを掛けていましたが、今の基準はサクラさんです。


 自分にバフを掛けますが、あんまり強く掛けるとカーラにバレてしまいそうなので、少ししか掛けれません。なので、デバフを掛けたカーラはもちろん、私も勝てません。まぁ、サクラさんは主にカーラを狙ってくれるので、私は問題なく楽しめます。そして、カーラはどんな状況でも楽しめます。


 そんなこんなで、サクラさんのレベルアップが止まりません。もしかしたら、いずれカーラを抜いてしまうかもしれませんね。


 そして、今日も依頼を終えてギルドに戻ると、何やらキャルシィが絡まれています。楽しそうに話していますが、知らない女性です。


「キャルシィ、お友達ですか?」


 背丈は私よりも少し高いくらいで、肩にかかったピンク色の髪。雰囲気的には、ソフィー様と似ていますね。


「あ!お帰りなさい、メイお姉ちゃん。メイお姉ちゃんにお客様です」


「私にですか?」


 …誰でしょう。


 あ!そういえば、この前魔王城に行ったときに、十三天王の人が言っていた気がします。その人ですかね?


「この人は、マリヤさんです。ドラディニエルさんの知り合いだそうです」


「…そうなのですね」


 …ドラディ…何とかさん。…誰でしょうか。何か、キャルシィは私の知り合いみたいに言いましたね。ですが、心当たりが全くありません。本当に誰でしょうか。


 まぁ、どうでも良いですよね。聞いた事の無い名前ですし、考えても仕方がありません。


 そして女性は私を見つめると、可愛らしい声で、とんでもない事を言ってきました。


「あなたが魔王…そして、堕天使なのね」


「はうぇ⁈ …何を言っておられるのでしょうかね?」


 どうしてでしょう、どうしてでしょう、どうしてでしょう。初対面の人に、私の秘密が知られています。


 私が魔王だと知られているのは、キャルシィと共通の知り合いが居るなら理解できます。ですが、堕天使と言いましたよ。言いましたよね?言いましたかね?聞き間違いかもしれません。


 そうです。私以外の人が、その事実を知る訳無いのです。そもそも、私は堕天使ではありません。大天使〈堕〉です。全然違いますね。


「…やっぱり」


「違いますからね!私は堕天使ではありませんから!」


 確認する方法なんてありませんからね。私が違うと言えば、違うのです。


「私は『天使』マリヤ。天界から、あなたを排除しに来たの。死んでもらえない?」


「嫌です!」


 排除?私が何をしたと言うのですか!私は、訳も分からず称号を与えられただけですからね!そもそも、天界って何ですか!聞いた事ありませんよ!


「カーラ!サクラさん!助けてください!」


「じゃあ、ボクが戦うよ!」


「私がメイちゃんを守るわ」


「カーラ!サクラさん!!」


 そうです。相手が天使であろうと、私には強すぎる仲間が居るのです。2人に任せておけば、直ぐに解決してくれますよ。


「待って!それは無理だから!あんたが勇者でしょ?私では勝負にならないから!」


「大丈夫だよ。ボクが弱くなるから!」


 はい。カーラが平常運転で、凄く安心してきました。もう大丈夫です。天使だか何だか知りませんが、もうその辺の魔物と一緒です。カーラの標的になりましたからね!


「はあ?何言ってんの?意味が分からな…」


「さ、行こっか!」


 そしてカーラは、天使さんを引っ張り、ギルドの闘技場へ向かいました。私を排除するなどと言うから、こうなってしまうのですよ。



 ♢♢♢



「ねぇ、メイちゃん。堕天使なの?」


 カーラが天使さんと相対し、サクラさんは私の隣で、そう聞いてきました。先程の会話を聞かれていたので、気にならない訳がありませんよね。


「えっと。違います。…少し」


「ふーん。少しね。後で教えてね」


「…はい」


 もうバレてしまった様なものですし、これは仕方ないですね。全部、あの天使さんのせいです。はぁ…。


「メイ、デバフ!」


「はい」


 …さて、返事をしたものの、どのくらい掛ければ良いのですかね?私を排除するって言ってましたし、そこそこ強いとは思います。ですが、カーラとは勝負にならないと言っていました。となると、ソフィー様くらいですかね?ソフィー様に少し似ていますし、きっとそうですね。


 では、相手がソフィー様と仮定して、それと同じくらいの力になる様に、カーラにデバフを掛けましょう。


「カーラ、掛けましたよ」


「うん、ありがと!」


 さて、後はのんびり見るだけです。天使さんが私の予想通りの強さなら、戦いは長引くでしょうが良い勝負が出来ると思います。


 …と、私は思っていました。


「ぎゃあああぁぁ!!メイ!助けてぇ!!!」


 …どうやら、ソフィー様とは比べ物にならないくらい強かったみたいです。ごめんなさい、カーラ。直ぐに治しますからね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ