表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

70/155

25話 ケルディ・サイコス 2

 

「勇者!」


 美しい赤い髪、誰よりも美しい整った顔立ち。俺は、ドレスが似合いすぎる勇者に声をかけた。


「…あ、サイコス。久しぶりだね。3年ぶりくらい?」


「毎年会っているだろうが!」


 社交界の度に会っているというのに、勇者はとぼけた事を言ってくる。だが、こういう冗談を軽く言ってくれる事は嬉しい。


「…そうだよね。ごめんね」


 そして、勇者は一切悪くないというのに謝ってくる。本当に、優しくて心が綺麗な奴だ。


 やはり、勇者が魔王と組んでいるなんて、想像できない。


「あ、そうだ。サイコスに渡そうと思って買ったんだけど、サイコスに会う前に魔王が誕生しちゃったから渡せなかったんだ」


 そう言って、勇者はアイテム袋を取り出し、そこから変わったデザインのツボを出した。


 …相変わらず勇者は常人とは違った感性を持っている様だが、俺の為に用意してくれた物が嬉しくない訳が無い。俺は、嬉しすぎて言葉が出なかったが、勇者からツボを受け取った。そして、万が一にも割れるといけないから、素早く自分のアイテム袋に仕舞った。


 あぁ、勇者は何て優しいんだ。こんな勇者を少しでも疑った自分が恥ずかしい。後でソフィーに自慢しよう。きっと、羨ましがるに違いない。


「……じゃあ、ボクはもう行くね」


 俺が嬉しさのあまり固まっていると、勇者はそう言ってきた。


「待て、俺はもっと勇者と話したい」


 まだ肝心な事を話していないというのに、勇者は俺の前から去ろうとする。だが、勇者の口から真実を聞かなければならない為、俺は少し強引に引き留める。


「…え?そうなの? …嬉しいな」


 あぁ、なんて可愛いんだ。さっきまでは気まずそうな顔をしていたというのに、引き留めた途端に笑顔を見せる。そんな顔をされたら、好きが止まらなくなってしまうじゃないか。


「勇者、君が魔王と組んでいたという噂を聞いた。本当の事を教えてくれ」


「え?メイの事?メイとは一緒に住んでるし、ボクの大切な存在だよ」


 …は?何故否定しないんだ?それどころか、勇者と一緒に住んで居るだと?なんて羨まし…。


「そいつは魔王なんだろ?どうして倒さないんだ!」


 勇者は今、こうして元気に生きている。という事は、勇者が魔王に敗北したというのは、事実とは異なっている可能性が高い。勇者は誰よりも強いからな。負けるとは思えない。


「ふふぅ、メイは凄く強いからね。ボクは一撃で倒されちゃったよ!」


「…は?」


 …どういう事だ?勇者が一撃?そんな事可能なのか?


 第一、その笑顔は何なんだ!少し不気味だけど、勇者が本当に嬉しい時にだけ見せる顔。勇者は今、その顔をしている。俺やソフィーには滅多に見せてくれなかったというのに、魔王の話をするだけで、その顔をするというのか…。


 …本当に勇者は魔王と組んでいるのか? …そんなのダメだ。


「勇者、俺とソフィーも協力する。魔王が生きているのは危険だ。一緒に魔王を倒そう」


「えぇ⁈ そんな事しなくて良いよ。メイは優しいからね」


 …魔王が優しいだと⁈ 何を言っているんだ勇者は。


 …くそっ!勇者は完全に魔王に操られているかもしれない。魔王が優しいだなんて、絶対にあり得ない。


「魔王…。いや、魔族は危険だ。和平とか言っているそうだが、何か企んでいるに違いない。きっと、油断させて人族を滅ぼす気だ!」


「あははっ。メイがそんな事考えている訳無いよ。メイは和平だって言っただけで、何もしてないもん。和平の事も、国王様達に丸投げだったから」


「…は?」


 …つまり、国王様が先陣を切って和平を進めているという事か?魔王が支配するのでは無く、国王様が自らの権限で進めていると言うのか?


 …では、本当に魔族との争いが終わったと言うのか?


「サイコス。魔族ってね、種族の違いでしか無かったんだよ。今、ボクは獣魔族のキャルシィとも一緒に暮らしているけど、とっても可愛いんだよ」


「…は?魔王だけではなく、獣魔族も人族領に入っていると言うのか?」


 魔王が聖女として人族領に居たのは、人族に近い容姿でバレなかったからだと思われる。だが、獣魔族は一目で魔族だと分かる。そんな奴が近くに居れば、大騒ぎになるだろう。…勇者はそんな事も考え付かないのか?


 だが、勇者は続けてとんでもない事を言ってきた。


「キャルシィはギルドで受付嬢の仕事をしているよ。ギルドでも人気なんだよ!」


「…は?」


 …今日、何度驚いたか分からない。それほどまでに、勇者の発言は俺の常識と離れすぎている。勇者が言っている事が本当なら、少なくともギルド職員や冒険者は、獣魔族を受け入れているという事になる。


 そして、それからも勇者は、嘘の様なとんでもない事を言い続ける。だが、どの話も勇者は嬉しそうに話してくるから、勇者が嘘を付いていない事が分かる。


 こんなにも長い時間、勇者と会話出来た事は嬉しくてたまらないが、俺の常識では受け入れられない事が多すぎる。


 …勇者からの贈り物を自慢するついでに、ソフィーにも確認しよう。ソフィーなら、より正確な情報を教えてくれるだろう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ