表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/155

17話 空の旅

 

「メイちゃん、そろそろ離れない?」


 空の上、緑聖龍の背中の上…。そんな場所で、サクラさんは悪魔の様な事を言います。


「サクラさんは私を殺す気ですか?」


 ここは遥か上空。落ちたら死…にはしないと思いますが、心が壊れてしまうかもしれません。


「もぉ。こちょこちょこちょこちょ!」


「あはっ、はふふっ、ふはっ!!! …はぁ、はぁ、はぁ。急に何するのですか!」


 サクラさんは急に私の横腹をくすぐりだし、私は為す術もなく笑ってしまいます。サクラさんは、本気で私を殺そうとしているのかもしれません。


「ほら、大丈夫じゃない」


「…あ。って、そういう問題ではありませんよ!酷いです!」


 いつの間にか、私はサクラさんを放し、1人で立っています。確かに、一度立ってみれば、もう大丈夫な気がしてきました。ですが、これは少し許せません。


「メイちゃんが離れようとしないからよ」


「仕返しです!こちょこちょこちょこちょ………。どうして効かないのですか!」


 私も同じ様にサクラさんをくすぐりましたが、サクラさんは一切笑う事無く、我慢している様子もありません。


「…防具があるもの。普通は効かないわよ」


「くっ。盲点でした」


 そうですよね。防具の上からくすぐった所で、効果はありませんよね。


「そういえば、どうしてメイちゃんは防具を着けていないのかしら?」


「…必要性を感じなくなったので着けなくなりました」


 私も最初は着けていましたが、私は自分で戦うつもりがありませんし、戦うくらいなら逃げるので、寧ろ軽い方が良いです。それに、女性用で小さめのサイズの防具って、なかなか売っていないのですよね。


 カーラとパーティーを組んでからは、別の意味でも必要性を感じなくなりましたし…。


「サクラさんも、魔法で戦うなら必要ないと思いますよ」


「いや、一応着けておくわよ。剣で戦う事もあるもの」


 私がプレゼントした魔剣を使ってもらえるのは嬉しいですが、あんなに魔法が使えるなら必要ないと思いますけどね。そっちの方が安全ですし。


「さっ、そろそろお昼ご飯でも食べましょう。空の上で食べれるなんて、最高じゃない!」


「…マジですか」


 確かに昼食時ですが、こんな場所でよく食欲が湧きますね。私には無理ですよ。お腹なんて……空いてきましたね。


 そして私達は、持っている食料を食べます。カーラが居ないので、そこまで美味しいものではありませんけどね。カーラが居たら、龍の背中の上でも調理しそうですね。



 ♢♢♢



 それから4時間ほど空を飛び、私達は目的地までやって来たようです。正直、走る方が絶対に速かったですけど、慣れれば案外悪くなかったので、この選択は間違っていませんでしたね。


「ギュアァァァァ!!」


 そして、緑聖龍は地面に降り、目の前には1匹の竜が居ます。どうやら、知り合いみたいですね。


「ギュアァァァァ!!」


「ビリャアアアァ!!」


 はい。何を言っているか分かりませんが、会話の様なものが始まってしまいました。少し…いえ、大分うるさいですね。こんなに近くに居るのですから、もう少し小さな声で会話出来ないのでしょうかね?


「ギュアァァァァ!!」


 すると、緑聖龍が私を見て、何かを伝えたい様に感じます。ですが、全く分かりませんね。


「…メイちゃん、呼ばれてるんじゃない?」


「…まさか」


 サクラさんに言われ、私も少しそう感じましたが、そうであってほしくない気持ちがあります。サクラさんは自分の事では無いので、簡単に口に出来たのかもしれませんが、もし本当にそう言っているのならば、私が行かなくてはいけない事になりますからね。


「ギュアァァァァ!!!」


「ほら、絶対に呼んでるわよ。あの竜も抵抗しないみたいよ?」


「…うぅぅ」


 確かに、戦わずして終われるなら、これ以上に良い事はありません。ですが、確信が無いのです。会ったばかりの元気な竜に近付かなければならないというのは、恐怖でしかありません。もし、緑聖龍が別の事を言おうとしていたのならば、私は攻撃されるかもしれません。…念のため、直ぐにデバフを掛けられる準備をしておきましょう。


「ビリャアアアァ!!」


「…うぅぅ」


 …そんなに大きな声を上げないでくださいよ。怖いではありませんか。…魔力譲渡して大丈夫なのですか?してしまいますよ?文句言わないでくださいね?


 ぽわわわわわわ


 個体名『雷聖龍』が誕生しました


 ぱああああああ


 個体名『雷聖龍』をテイムしました


 あぁ、良かったです。成功しました。新しいお友達です。氷龍、海聖龍、炎聖龍、緑聖龍、そして雷聖龍。7匹中、5匹もお友達になってしまいました。


 そういえば、氷龍だけ魔力譲渡していません。仲間外れみたいで、少し可哀そうですね。ですが、あの場所は寒いので行きたくありません。もし私に会いに来るならば、氷聖龍に進化させてあげますよ。まぁ、そんな事起きないと思いますけどね。


「ビリャアアアァ!!!!」


 うぅ。雷聖龍は声が大きいです。もう少し静かにしてくださいよ。


「メイちゃん、お疲れ様。頑張ったわね」


「…頑張りました」


 本当に、頑張りました。もう二度とやりたくありません。カーラ、今後は絶対に七聖龍を殺さないでくださいよ。切に願います。


「じゃあ、帰りはこっちの子に乗せてもらう?」


「もちろん、絶対に嫌です!」


 そして私達は、闇魔法でギルドに帰ります。結果的に、空の上は気持ち良かったですが、1日に2回も乗りたいとは思いません。もう少し安全が確保出来るなら、再度乗ることも検討するかもしれませんね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ