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9話 必殺技

 

「ねぇ、メイちゃん。ポチに乗れたりしないのかしら?」


「…えっ。…乗れ…るかもしれませんね!」


 お母さんは直ぐに家の中に戻り、私達はポチと遊びます。そこで、サクラさんが凄く素敵な事を言いました。


 一瞬、無理だと思いましたが、今のポチなら可能かもしれません。昔はスライムにも怯えるほどでしたが、今はドラゴンを追い払ったというくらいですからね。大きさは申し分ないですし、私達2人くらいなら乗れるかもしれません。


「ポチ、背中に乗っても良いですか?」


「キャウン!」


 私がポチに聞いてみると、ポチは乗りやすいように、体を低くしてくれました。なんて賢い子なのでしょうか。


 そして、私が前にまたがり、後ろにサクラさんがまたがります。すると、ポチは立ち上がり、走り出します。あぁ、なんて最高の乗り心地なのでしょうか。


「凄いですよ、ポチ!」


「最高ね。幸せだわっ!」


 サクラさんが言うように、最高で幸せです。カーラの家のベッドに負けないくらいに気持ち良いです。


「キャウウンッ!!」


 ポチも楽しそうに雄叫びを上げ、どんどん走り続けます。そして、村の門から出て、どんどん加速していきます。一体、何処に向かっているのでしょうかね?まぁ、そんな事はどうでも良いですね。ポチの行きたい所に連れて行ってもらいましょう。何処へだって、一緒に行きますよ。


 私は、その場所に到着するまでは、そう思っていました。



 ♢♢♢



「…どういう事なのですか?ねぇ、ポチ…」


「キャウン」


 私の質問に、ポチはいつもの様な明るい返事では無く、少し低い声で答えます。ポチに乗って数十分。私達がやってきたのは、とある山の上。信じたくありませんが、私の目の前にドラゴンが8匹も居ます。


 ドラゴンは、そんなに群れないはずの魔物です。それなのに、8匹は多すぎます。どうしてこうなってしまったのでしょうかね。


「…メイちゃん、ポチはどうしてここに連れてきたのかしら?」


「…私にも分かりません。…あっ!」


 もしかして、このドラゴンは私の村を襲ったドラゴンではないでしょうか。ポチが追い払ってくれたと聞きましたが、追い払ったという事は倒していないという事です。もしそうなら…。


「ポチ、あのドラゴンがお父さんを傷つけたドラゴン達ですか?」


「キャウン」


 あぁ、そうなのですね。それなら仕方がありません。殲滅決定です。ポチは優しいですからね。そして、賢いです。だから、私を連れて行けば、このドラゴン達に勝てると思ったのでしょう。


「サクラさん、このドラゴンは私の村を襲ったドラゴンです。倒すのを手伝って頂けますか?」


「…え、えぇ。でも、私でも勝てるかしら?」


 きっと、サクラさんも怖いでしょうね。ですが、私達の会話から察して、力を貸してくれる様です。本当に優しくて、勇敢ですね。


 私も怖いですが、恐怖よりも怒りの方が大きいので、戦えます。また同じように襲う可能性もあるので、絶対に野放しには出来ませんし。


「ありがとうございます。バフ掛けますね」


「…うん」


 そして私はサクラさんにバフを掛け、剣を構えます。


 …久しぶりにこの技を使う時が来てしまいましたね。いや、正式名称でこの技を使うのは初めてですね。


 私は、剣を勢い良くドラゴンに向かって投げつけます。狙いは、ドラゴンが3匹重なっている一点のみ。


『ゴンザリオン・ストライク!』


 そして私は、心の中でそう叫びます。


 剣は狙い通りに一直線に飛んでいき、1匹、2匹、3匹。ドラゴンを貫いた後は、岩にぶつかり深く刺さります。ふぅ、完璧です。これで、私の担当は終わりです。武器が無くなりましたからね。残り5匹、後は支援に徹底します。


「ポチ、サクラさん。残りをお願いします!」


「キャウン!!」


「分かったわ…!」


 私は、ポチの前のドラゴンに『防御力低下』のデバフを。サクラさんの前のドラゴンに『速度低下』のデバフを掛けます。まとめて複数に同じものを掛ける事は出来ませんが、こういう使い方は可能です。ポチとサクラさんなら、相手が部分的に弱っただけでも、余裕で勝てるはずですからね。


 ポチとサクラさんが敵を倒せば、私はデバフの対象を切り替え、回復魔法も掛けていきます。ポチは少し傷を負っている様ですし、サクラさんも多少疲れが見えますからね。私の魔力が尽きない限り、絶対に死なせません。そして私の魔力は簡単には尽きないので、絶対に死にません。これが、私の戦い方であり、聖女としての戦い方です。


 ドシイィィン…


 そして、ポチが2匹、サクラさんが3匹倒し、無事に殲滅完了です。


「凄いですよ、ポチ!サクラさん!」


「キャウン!!」


「…あ、はは。…レベルが。ふふっ…」


 凄く元気なポチ。何だか苦笑いのサクラさん。理由は分かりますが、今はそっとしておきます。誰もが味わう道ですからね。私に深く関わった人に限定されますけど。


 私は、8匹のドラゴンをアイテム袋に収納し、遠くに刺さってしまったゴンザリオンを回収しに行きます。それにしても、ゴンザリオンは凄い剣ですね。ドラゴンを3匹貫いてなお、岩に深く刺さる切れ味。凄すぎますね。



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