表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/155

7話 お引越し

 

「可愛いお部屋ですね!」


「でしょ」


 私達は今、サクラさんの住んで居る部屋に来ています。場所はギルドのすぐ近くで、受付嬢専用の寮らしいです。退職するので、1週間以内に退去しなくてはならないとの事でしたが、私がカーラの家に誘ったので、今からお引越しです。


 サクラさんの部屋は、女性らしいお部屋で、可愛い家具や置物がいろいろあります。少し狭いですけどね。宿の一室と同じレベルです。ですが、安くて近いので住み続けたらしいです。


「はぁ、7年もここに住んでたのよね。少し寂しいわね」


「…7年」


 私も、冒険者になって宿で2年ほど暮らしていましたが、それとは比べ物になりませんね。この部屋で暮らしながら、朝早くから夜遅くまで仕事をし、その仕事ではカーラに虐められる…。私には絶対に耐えられませんね。3日で辞めて、実家に帰ると思います。サクラさんは本当に凄いです。


「じゃあ、メイちゃん。バフ掛けて」


「…え?今ですか?」


 …急にどうしたのでしょうか?退寮するのに試練でもあるのですかね?


 理由は分かりませんが、私はサクラさんにバフを掛けます。


「ありがとう。助かるわ」


 サクラさんはそう言って、アイテム袋に家具をしまっていきます。私が手伝う暇なく、どんどん部屋が広くなっていきます。


 …まさか、私のバフをこんな風に利用するとは思いませんでした。確かに便利ですよね。重い物も1人で持てますし。


「ふうっ。バフにアイテム袋…。最強ね。業者要らずだわ」


「…速かったですね」


 なんと、サクラさんは2分ほどで部屋の荷物をアイテム袋に入れ終わりました。部屋が狭く、物が少なかったのもありますが、凄く手際が良いと思います。手を止めずに、一気にやってしまうとは…。私だったら、絶対に2分では終わりませんね。


「じゃあ、行きましょうか。でも、本当に大丈夫なの?」


「大丈夫ですよ。皆さん優しいので」


 カーラが急に連れてきた私を、すんなりと受け入れてくれる家ですからね。それに、魔族のキャルシィだって受け入れてくれる家です。大丈夫に決まっています。きっと!


 そして私達は向かいます。いざ、カーラの家に。私達の家に。



 ♢♢♢



「おかえりなさいませ、メイお嬢様、キャルシィお嬢様。そちらのお嬢様は?」


「サクラお嬢様です!カーラとは長い付き合いで、新しくパーティーを組んだ仲間です」


 何度呼ばれても嬉しい響き、お嬢様。キャルシィの事も家族として迎えてくれているので、この執事さんなら大丈夫です。


「おぉ、こちらのお嬢様が、お噂のサクラお嬢様でしたか!カーラお嬢様からは、一番のご友人だと伺っております。カーラお嬢様と仲良くして頂き、誠にありがとうございます。私、ユリアール家の執事をさせて頂いております、ルナールと申します。ユリアール家一同、サクラお嬢様を歓迎させて頂きます。どうぞよろしくお願い致します」


「…はい。よ、よろしくお願い致します」


 急に感極まった様に、嬉しそうに話し出す執事さん。というか、ルナールさんと言うのですね。知りませんでしたよ。私には自己紹介してくれませんでしたよね?


 そして、一番の友人だと認定されていたサクラさん。戸惑いが隠せない様です。無理もありませんね。きっと、自分が知らないうちに、貴族のユリアール家に知れ渡っているのですからね。


 カーラの友人は少なそうですが、ソフィー様や他の冒険者を差し置いて、一番の友人。凄いです、サクラさん。


「余裕で大丈夫でしたね、サクラお嬢様」


「…そうね、メイお嬢様」


 大丈夫だと言った私ですが、こうも上手くいくとは思いませんでした。予想外すぎますよね。家族にサクラさんの事を話すカーラ…。容易に想像できてしまいますね。


 そして、私達はカーラの部屋に向かいます。


「ここがカーラの部屋です。サクラさんも自由に使ってくださいね」


「…広いわね。寮の4倍くらいかしら。…ん?カーラと同じ部屋?メイちゃん達も?」


「はい、一緒です」


 やはり、疑問に思いますよね。こんなに大きな家なのに、3人で同じ部屋だなんて。私がここに住むようになった時、そして、キャルシィが住むようになった時も私は言ったのですが、カーラは別の部屋を用意してくれません。ですが、今回は言うべきですよね。


「…カーラが帰ってきたら、相談しましょうね。それまでは一緒で良いですか?」


「えぇ、もちろん。ベッドもかなり大きいものね」


 余裕で3人一緒に寝れるベッドですからね。キャルシィは小さいですし、私もすこしばかり小さい方なので、場所を取りませんからね。ですが、サクラさんはカーラと同じくらいなので、カーラも加わると狭く感じそうです。それに、またいつキャルシィが抱き枕にされるか分かりません。それを阻止する意味でも部屋を分けるべきですからね。


「では、一先ずお風呂に行きましょうか」


「お風呂!絶対に広いわよね!」


 ふふっ。やはり、お風呂に飛びつきますよね。貴族の家のお風呂って凄そうですからね。事実、その通りですし。サクラさんの期待を裏切らない事、間違いありません。



 ♢♢♢



「凄いわ!凄いわよ、メイちゃん!」


「…凄いですね」


 サクラさんは、大きなお風呂に感動しています。そして私は、サクラさんの体に驚いています。


 カーラもスタイルは良いですが、それに負けないくらいにサクラさんも素晴らしいです。そして、羨ましいです。どうして、この世の中は、こんなにも理不尽なのでしょうかね。


 何より、お胸の大きさが許せません。以前から、カーラより少し大きいかとは思っていましたが、本当に少し大きかったです。カーラも私よりは大きいですが、そこまで大きい方では無いと思います。つまり、何が言いたいかと言うと、サクラさんは理想的な大きさで、スタイルが良くて羨ましいです。


 どうして、私の成長は止まってしまったのでしょうかね。奇跡が起きれば、私もサクラさんみたいになれますかね?サクラさんは私より5つ年上なので、私もあと5年でああなりたいです。無理だと思いますか?残念ながら、私は無理だと思っています。世の中には、遺伝という逆らえないものがありますからね。


「メイちゃん、どうしたの?入る前からのぼせちゃった?」


「…大丈夫です」


 何だか、心配されると申し訳ないですね。それに、外面では無く、内面が大人になれば良いのです。変えられない所を悩むのは時間の無駄ですからね。美味しいご飯を想像して忘れましょう。今日は何でしょうかね。



 ♢♢♢



「凄い豪勢ね。どれも美味しそうだわ!」


「…ですね」


 …どういう事でしょうか。心なしか、いつもより豪華です。カーラやカーラのお父さんが居ないので、質素になるなら分かりますが、何故か豪華です。私的には嬉しいですけどね。


「改めまして。サクラお嬢様、ようこそユリアール家へ。僭越ながら、私が乾杯の音頭をとらせて頂きます」


 …執事さん、私の時はそんな事しませんでしたよね?きっと、カーラが居ないからですよね?そうですよね?


 ただ言える事は、サクラさんは物凄く歓迎されています。…カーラは、どれだけサクラさんの話を皆さんにしていたのでしょうね。この感じだと、1回や2回で無い事は確かです。


 まぁ、ご飯が美味しいので良い事ですけどね。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ