表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/155

2話 海龍さん

 

 メイです。私は今、海龍と戦うカーラを見ています。どうしてこうなるのですかね。正直言って、デバフを掛けたくなかったですが、海龍と出会ってしまった以上、戦わないとカーラの機嫌は悪くなりますからね。


 早く終わってほしいですけど、この戦いは長引くと思います。なぜなら、私がムカついたので、カーラにデバフを強めに掛けたからです。負けるかどうかは海龍次第ですが、どちらにせよカーラは痛めつけられるはずです。死にはしませんし、それくらいは良いでしょう。


 はぁ、暇ですね。



 ♢♢♢



 ズシィィン!!


「…メ…イ。勝った…よ」


 バタンッ!


 そして戦い始めてから約30分、ようやく決着がつきました。海龍が先に倒れましたが、カーラも直ぐに倒れたので引き分けです。


 ピロン


 …違いました。私の一人勝ちでしたね。


 さて、急いで海龍を回復させなくてはなりません。致命傷は負っていないようですが、完全に力尽きて死んでしまう可能性もありますからね。


『回復』


 ぱあああぁぁぁぁ!!!!!


 あぁ。やはり、回復させると輝いてしまっていますね。氷龍と一緒です。…はぁ。


 個体名『海龍』をテイムしました


 七聖龍は4匹しかいないので、半分は私のお友達になってしまいました。実害は無いので、もうどうでも良いですが、カーラと一緒に居ると、いずれ他の2匹もお友達になってしまいそうですね。勘弁してほしいですよ。


 さて、たとえ龍であれ、水魔法を使える事に変わりはないので、海龍にお願いしてみましょう。


「海龍さん、近くの森が燃えているのです。お手伝いして頂けますか?」


「ヴゥヲォォォォ!!」


 …伝わったのでしょうか?全く分かりませんね。まぁ、きっと伝わっているでしょう。氷龍に話しかけた時も、私の言葉を理解している様でしたし。


「移動するので付いてきてくださいね」


「ヴゥヲォォォォ!!」


 ……。きっと付いてきてくれるはずですよね。


「…メイ。…そろそろ」


「あ!忘れていました」


『回復』


 海龍の事を考えていたら、カーラの事を完全に忘れてしまってましたね。


「…メイ。…酷いよ。ボクより海龍の方が大事なの?」


「…まぁ、そうですね」


 カーラは疲れて倒れただけですし、海龍の回復を優先させる事は仕方ないでしょう。海龍は世界に必要な存在ですし、もし死んでしまったら大変ですからね。カーラは寿命以外で死なないので、後回しでも問題なしです。


「そ、そんな…。まさか、パーティーを解散(離婚)したりしないよね⁈」


 はぁ、また変な事言っていますよ。面倒ですね。無視しましょう。


「メイ!どうして答えてくれないの?もしかして、家を出ていく気⁈」


 あぁ、もう!今日のカーラは本当に面倒ですね!


「出ていったりしませんよ。私はあの家が大好きですからね」


 美味しいご飯に大きなお風呂、そしてキャルシィも居ます。それに、執事さんは私の事をお嬢様と呼んでくれるので好きです。料理人さんは私がリクエストすると、次の日には必ず作ってくれるので大好きです。出ていけと言われても、簡単には出ていきたく無いくらいですよ。


「そうだよね!ボクも大好きだよ!メイが変な事を言うから勘違いしちゃったよ」


 カーラは都合の良い所だけ聞いている気がしますが、気にしません。ですが、私が変な事を言ったというのは心外ですね。面倒なので、聞かなかった事にしておきますけど。


「ほら、さっさと行きましょう」


「うん!」


 はぁ、本当に無駄な時間を過ごしましたね。まぁ、海龍に手伝ってもらえるので、結果オーライという事にしておきましょう。



 ♢♢♢



 それから私達は山火事が起きているという、北の森に向かいました。海流は私が闇魔法で移動したタイミングで、一瞬見失ったようですが、直ぐに気付いて追いかけて来てくれました。テイムされていると、気配とか感じるのかもしれませんね。


「おおぉぉ!燃えてるねぇ!」


 体感ですが、森の3分の1が燃えている最中で、4割くらいが完全に燃え終わっているという感じですかね。依頼内容の、2日以内に解決しろというのは、2日で森が全焼するという事なのかもしれませんね。


「海龍さん、消せそうですか?」


「ヴゥヲォォォォ!!」


 うーん。どっちでしょうか。まぁ、大丈夫ですよね。


「お願いします」


「ヴゥヲォォォォ!!」


 そして、どうやら伝わっていた様で、海龍は飛び立って燃える森の上空に行きました。


「ヴゥヲォォォォ!!」


 海龍は上空で雄叫びを上げると、水魔法を使いだし、大量の水が森に降り注ぎます。どうやら成功の様ですね。


「海龍に頼って良かったでしょ。ね、メイ!」


 カーラに言われると凄くムカつきますが、事実なので反論出来ません。こんなに強力な水魔法を使える人は、世界に数人居るか居ないかでしょうからね。


 流石は海龍で、あっという間に森の火は消え始め、数分で燃えていた部分の半分は消えました。直ぐに終わってしまいますね。


 ですが、そう思った瞬間に、海龍に異変がおきました。


「どうしたのでしょう。戻ってきますね」


 まだ消し終わっていませんが、海龍は魔法を使うのを止め、こちらに戻ってきてしまいました。


「ヴゥヲォォォォ!!」


 …分かりません。誰か通訳してくれませんかね。


「魔力が尽きちゃったんじゃない?ボクと戦ってる時も、沢山水魔法使ってたし」


「あぁ。そうかもしれませんね」


 カーラはこういう勘が良いのですよね。流石です。…ん?つまり、これってカーラのせいですよね。…心の中でカーラを褒めたのを訂正したいですね。


 ですが、どうしましょう。私の回復魔法では、傷は回復しても魔力まで回復しなかったという事ですもんね。…魔力の譲渡って魔物にも出来るのでしょうか?テイムしているので、もしかしたら出来るかもしれませんね。…やってみましょう。


「えいっ!」


 ぽわわわわわわ


 ぱあぁぁぁ!!!!!


 あれ?たぶん成功しましたが、海龍が輝きだしてしまいました。…大丈夫なのでしょうか。


 個体名『海龍』が『海聖龍』に進化しました


 …ん?どういう事でしょうか。見た目は変わっていませんが、うっすらと輝き続けています。不思議です。回復魔法でテイム出来て、魔力を直接与えると進化するんですね。


 …何でしょうか。何かが引っかかります。


 …確かサクラさんが、氷龍をテイムして相談した時に言ってましたね。七聖龍を誕生させた人は、大天使とも大悪魔とも言われていたと。まさかとは思いますが、それって『大天使〈堕〉』って事じゃないですよね。


 …また今度、サクラさんに相談してみましょうかね。あ、でも相談するとなると、称号の事を言わないといけなくなりますね。…どうしましょう。それも踏まえて、後で考えますかね。


「ヴゥヲォォォォ!!」


 そうこう考えていると、海聖龍は飛び立ち、再び火を消しに行ってくれました。魔力は無事に回復した様で、どんどん森の火が消えていきます。そして数分経つと完全に消化され、海聖龍は戻ってきました。


「ありがとうございました。凄く助かりましたよ。また何かあったら、よろしくお願いしますね」


「ヴゥヲォォォォ!!」


 最初から最後まで、海聖龍の気持ちは分かりませんでしたが、きちんと伝わった様で、住処の方向に飛んで行きました。カーラが一方的に迷惑をかけた上に、カーラが原因のトラブルまで解決してもらって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。当の本人は満足げな顔をしていますけどね。はぁ、今日も精神的に凄く疲れました。


 そして私は闇魔法をギルドに繋ぎ、帰ります。カーラだけ残して帰ろうかとも思いましたが、流石に可哀そうなので止めておきました。後で文句を言われても面倒ですしね。



 ♢♢♢



 依頼は無事達成という事で、私は報酬の1カーラを受け取り、キャルシィを連れて家に帰りました。こんなに疲れたのに報酬が1カーラなのが悲しいですが、今回は仕方がありません。


 そして、美味しいご飯を食べ、お風呂に入り、この時間がやってきます。


「メイ、枕投げをしよう!」


「嫌です。今日は魔力をいっぱい使ったので無理です」


 本当は全然余裕で残っていますが、今日はこれ以上カーラを楽しませたく無いので断ります。枕を思いっきりぶつけたい気持ちはありますけどね。


「…そっか。残念だね」


 カーラは、あからさまに落ち込みますが、気にしません。どうせ寝れば元通りです。


「あ、そうだ!メイ、明日から1週間、王都に行くよ!」


「いってらっしゃい。社交界ですよね。私は予定があるので行きません」


 サクラさんに聞いておいて良かったです。聞いてなかったら、知らずに連れていかれるところでした。


「えぇぇえっ⁈ そんな!嘘だよね、メイ!」


「さあ、寝ましょう。おやすみなさい、キャルシィ」


「はい。おやすみなさい」


「ちょっと!!メイ!!!!」


 ふふっ。何だか少しだけ気分が良いです。サクラさんのおかげで、カーラに勝てた気がします




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ