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メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
1章 勇者討伐編
43/155

43話 お外でスクワット

 

「魔王殿は、和平が可能だと思っているのか?」


 知らないおじさん改め、国王様は神妙な顔でそう聞いてきました。…魔王殿と呼ばれるのは凄く嫌なのですが、私の度胸では訂正をお願いする事が出来ません。嫌ですけど、そのまま続けることにします。


「…可能ですよ。魔族は既に、和平に向けて動いています。人族が同じように和平を望めば、争いは終結しますよ」


「…そうか」


 何百年か、それ以上に続いた争いですし、簡単には決められないのでしょうね。


「国王様、お言葉ですが、魔王の言う事など、鵜呑みにする事は出来ません。そもそも、これが魔王ならば、勇者殿に倒して頂ければ解決するでしょう。勇者殿のレベルを考えれば、容易いではありませんか!」


 うぅ。どうやら、嫌な考えをお持ちの方が居るようです。隣のおじさんが口を挟んできました。今、私を殺したところで、問題を永続化させるだけだと思うのですけどね。5年おきに魔王討伐。いつまでも続けたいと思っているのでしょうか?


 そもそも、このおじさんは誰なのでしょうか。国王様の隣に座っているという事は、たぶん偉い人ですが、私は知りません。ただ言える事は、私はこの人が嫌いです。


「あらあら。それは無理よ、シュレイダーちゃん。メイちゃんはカーラちゃんより強いわ」


「…は?そんな訳無いでしょう。カーラ殿のレベルは358ですよ?」


 …シュレイダーちゃん。本当に誰なのでしょうか。神官様の呼び方だと、相手がどんな人なのか、全く分かりませんね。この人、いい加減うるさいですよね。私は早く終わらせて帰りたいのですけど…。あぁ、もう!


「誰だか知りませんけど、不服なら相手になりますよ?」


「な…⁈ こ、小娘が!騎士団長、シュレイダーだ!少しレベルが高いからって、調子に乗るな!」


 …シュレイダー。…ランキング10位以内に入っていたかもしれませんね。まぁ、カーラより弱いでしょうし、どうとでもなるでしょう。


「国王様、魔王討伐の許可を頂けますでしょうか!」


「…勇者殿より強いそうだぞ。神官様の言葉が信用できないのか?」


 おお!この騎士団長おじさんと比べて、国王様はまともな人みたいですね。


「…くっ。ですが、我々の沽券に関わります。舐められたままでは、我々に不利な条約を結ばれる可能性があります」


 …何とめんどくさい人でしょうか。結局自分の事しか考えていないように聞こえますよ。そもそも、私は人族のつもりですから、人族の不利になるような約束をするつもりはありませんし。


 …仕方ありませんね。せっかくなので、あれを試してみましょう。せっかく得たスキルですし、使ってみたいのですよね。


『同族支配』


 シュピーン…


「うるさいので、黙ってもらえませんか?」


「な………。……………………!」


 おお!凄いです。効果抜群です。全く声が聞こえなくなりましたよ。…これ、少し面白いですね。もう少しだけやってみましょう。


「この部屋から出て、外でスクワットでもしててください」


 ガタッツ… コツコツコツ…


 ふふっ。これは癖になりそうです。…いやいや、流石に自重しなくてはなりませんね。悪党以外に使うのは止しておきましょう。


「…シュレイダー!! ………これが、魔王殿の力か?」


「…えっと。…はい」


 よくよく考えてみれば、かなりまずい気がします。国王様の前で、スキルを使用した訳ですし。


 そして実際まずかった様で、沈黙が訪れて空気が重くなりました。おじさん達は顔を引きつらせ、神官様は苦笑い、カーラは目を輝かせて私を見つめてきます。…カーラだけは平常運転ですね。何だか安心します。


「…魔王殿、この力は全ての人族を従わせる事が可能なのか?」


「…カーラ以外なら可能だと思います」


 カーラは私よりレベルが高いので、たぶん無理です。…カーラを従わせる事が出来るなら、私ももう少し平和に生活出来るのですけどね。まぁ、それはつまらないと思いますけど。


「ははっ…。勇者殿より強く、勇者殿以外はどうとでも出来るという訳か」


 国王様は乾いた笑いと共にそう言い、斜め上を見上げました。そして、直ぐに私を見つめ直し、続けて言います。


「和平を結ばさせてもらおう。人族は今後、魔族と争わない。ここに明言する」


「ありがとうございます!」


 やりました!私、頑張りました。凄いです、私!


 これでキャルシィが一緒に暮らしても問題ないですね!



 ♢♢♢



 それから国王様と細かい内容を決めていき、正式な書類が作成され、各地に届けられる事になりました。まぁ、私はよく分からないので、魔族が不利益にならない範囲で丸投げです。ほとんど、国王様と神官様が決めてくれました。私なんかが口出すより、よっぽど良い条約が生まれたと思います。


 今回決まったのは、人族と魔族で争わない事、奪い合った領土の返却、通行の自由。大きく分けてこの3つです。直ぐには難しい部分も多いですが、早急に取り掛かる事を約束して頂きました。


 私のやる事は、定期的に魔王城に行き、現状を確認するだけです。問題があれば解決しますが、十三天王の皆さんはしっかりと仕事をしてくれるはずなので、大丈夫だと思います。魔王城には闇魔法で直ぐに行けますしね。


 何はともあれ、これで私の平穏な生活が戻ってくるはずです。カーラに振り回される部分は仕方ないですが、今まで通りの日常に戻ります。キャルシィが加わる分、にぎやかになって楽しくなりますね!




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