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メイちゃんが大魔王になるまで  作者: 畑田
1章 勇者討伐編
30/155

30話 修行編突入?

 

「やっと来たか。遅ぇぞ、メイの嬢ちゃん!」


「…え?」


 私がギルドに入るなり、複数の冒険者が私の前に立ちふさがりました。どうしたのでしょうか?


 …あ。…まさかとは思いますが、昨日のあれでしょうか。…いやいやいや、そんな訳ありませんよね?


「…えっと。何かあったのですか?」


「は?メイの嬢ちゃんが言ったんじゃないか。200万カーラ持ってここに集まれって」


 …どうしましょう。そこに居た全員が私にお金を渡してきましたよ。…全部で……1600万カーラですね。昨日、カーラの周りに集まっていたのは6人です。仮に全員来たとしても1200万カーラです。…何故人数が増えてるのでしょうか。200万カーラですよ?普通来ませんよね?


「…ど、どうして200万カーラも出せるのですか?大金ですよ?」


「は?強くなれるなら、普通そのくらい出せるだろ。冒険者なら、いざという時の為に貯蓄しとくもんだぜ?」


 その言葉に、他の冒険者も頷きました。…あれ?私がおかしいのでしょうか?私はカーラと会う前は、15万カーラほどしか貯蓄がありませんでしたよ?何故皆さん、揃いも揃って200万カーラも出せるのですか?私のお金使いが悪いだけで、これが普通なのですか?


 ………1600万カーラですか。


「…ほ、本当に良いのですか?」


「当たり前だろ。だから皆、集まってるんじゃねぇか」


 …はぁ。マジですか。びっくりです。私の予定では、絶対に1人も来ないと思っていたのですけどね。信じられません。…ま、仕方ありませんね。お金を頂いてしまったからには、皆さんのレベルを爆上げするしかないですし。…ふふっ、1600万カーラですよ、1600万!嬉しいです!


「では行きますよ。付いてきてください」


「「「おう!!」」」「「はい!」」



 ♢♢♢



「カーラ、強い魔物を見つけてください」


「え、うん!」


 私達は、男性6名、女性2名を引き連れて、いつもの森にやってきました。そして私は、カーラに魔物を探してもらいます。それが一番早いですからね。


「メイ、また居るよ!」


「本当ですね」


 私達の目線の先は、とある山の上です。そうです。ドラゴンです。カーラがドラゴンを倒して私も倒した、あの山です。住ドラを私が倒してしまったので、新しいドラゴンがやって来たみたいです。ドラゴンにとって人気スポットなのかもしれませんね。ま、丁度良い相手ですし、あのドラゴンにしましょう。


「皆さん、あの山の上で狩りをします。走って行くので、付いてきてください」


 少し距離がありますが、準備運動になりますね。歩くには時間がもったいないですし。



 ♢♢♢



「さぁ、あのドラゴンと戦いますよ」


 …………………。


 …おかしいですね。山の上に到着し、私がそう言って後ろを見ると、そこには誰も居ません。


 …まさか、逃げ出したのでしょうか?…ドラゴンが目視出来た瞬間に怖くなって、来るのを止めたのかもしれませんね。きっとそうでしょう。近くで見ると私も怖いと思いますし。


 …ですが、どうしましょうか。もう、お金は頂いてしまったのですよね。


「メイ、あと5分くらいはかかると思うよ?」


「…え?」


 …あ、居ました!遠くに走っている姿が見えます。


 …そうでした。カーラが私の横を普通に走るので違和感がありませんでしたが、私達のスピードは異常でしたね。私だって最初はカーラにおぶられて、ここまで来たのです。その時は、風になっているとさえ思っていましたもんね。普通の人と比較すると、私がバケモノみたいで悲しくなりますね。…皆さんに誤解されていそうです。


 …取り敢えず、待ちましょう。



 ♢♢♢



 そして数分後、息を切らしながら皆さんがやってきました。逃げずに来るなんて偉いです。


「…はぁ、はぁ。な、なんて厳しい修行だ」


「ゲホ、ゴホッツ…。も、森の中を全力ダッシュ…。確かにこんなのを毎日こなしてれば、強くなれるはずだな。はぁ、はぁ。簡単に強くなれると思っていた俺が馬鹿だったぜ…」


 …どうしましょう。これは修行でも何でもないというのに。…何だか申し訳ないので、回復してあげますかね。


『回復』


「お…おぉ!!ありがてぇ」


「…そうか!限界までやって回復させる。これを繰り返して強くなったんだな。確かに効率的だ!」


 …全く違います。もし、そんな方法だったなら、私は1セットで辞退してますよ。そんな辛い事を私が耐えられる訳がありませんからね。…ですが、伝えづらいので、このままいきましょう。


『攻撃力低下』『速度低下』


 準備OKです。


「さぁ、皆さん。あのドラゴンを倒してください。怪我をしても全部治してあげますからね」


 実際には、ドラゴンにデバフを掛けているので、怪我をするような攻撃は来ないと思います。ですが、それは言いません。私の力がヤバいと思われかねないですからね。


 防御力低下のデバフは掛けていないので、あのドラゴンは、なかなか倒せないけど勝てる相手です。攻撃が来てもゆっくりで弱いので、時間さえ掛ければ必ず倒せるはずです。


「…いや、無理だろ。たったこれだけの人数で、ドラゴンを倒せる訳がないだろ」


「大丈夫ですよ。生きてさえいれば私が治すので、何度でも立ち向かえます」


 ふふっ。少しだけ楽しくなってきました。低いレベルでドラゴンを前にする恐怖。皆さんにも存分に味わってもらいましょう。強くなりたいなら、私と同じ体験をするべきですからね!


「…死んだら恨むからな。…みんな、行くぞ!!」


「「…お、おう!!」」


 さて、あとは暇なので、終わるまで何をしましょうか。


「メイ、ボクも混ざりたいな。デバフ掛けてよ!」


「え?無理ですよ。今はドラゴンに使っているので」


 私がデバフを掛けれる対象は、一度に一つだけです。今はドラゴンに使っているので、カーラに掛けるとしても、残っている『防御力低下』しか掛けれません。そんなカーラが混ざってしまったら、一瞬で終わってしまいます。


「…え?そうなの?じゃあボクは何をやればいいの?」


 あ…。そういえば全く考えていませんでした。カーラが付いてくる必要は無かったですね。そもそも、こんな事になるとは思っていなかったですし。…どうしましょうか。


「あ、では私に剣を教えてください。木刀とか持っていませんか?」


「え!もちろん有るよ!メイも剣に興味が出てきたんだね!」


「少しだけ…です」


 そう、ほんの少しだけです。カーラから、せっかく凄い剣を頂いたのに、私は投げたり一撃で終わらせたりと、ゴンザリオンに申し訳ないですからね。少しくらいは、剣として正しい使い方が出来るようになっておきたいですから。…使う相手が居るのかは別としますけど。


「あ、私は剣を上手く使えないので、ハンデをくださいね」


「うーん。じゃあボクは左手しか使わないよ」


 …左手しか使わないとは、かなり舐められていますね。良かったです。木刀とはいえ、デバフを掛けていないカーラの一撃は絶対に痛いですからね。利き手でないなら、今の私なら少し痛いくらいで済むはずです。…大丈夫ですよね?




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