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4話 向上心

 

「メイお姉ちゃん。明日、メイお姉ちゃんの家に連れて行ってもらっても良いですか?」


 ギルドで明日の準備が終わった後、帰り道でキャルシィが、そう言ってきました。私の家、つまり、ケルディ領にある私の実家に行きたいという事ですね。


「良いですけど、どうしてですか?」


 私の実家の周りは、控えめに言って何も無いですからね。魔物を狩るには良いかもしれませんが、それだけなら近くの森で十分ですし。


 ま、遠い場所でも、私なら闇魔法で一瞬なので、あまり関係ありませんけどね。


「えっと、メイお姉ちゃんのお母さんが、魔法を教えるのが上手いとサクラさんに聞いたので」


「あー」


 そういえば、お母さんはサクラさんの師匠でしたね。キャルシィも新しい魔法を覚えたので、教えてもらうのは良いかもしれませんね。


 …ですが。


「それならサクラさんに教えてもらえば良いのではありませんか?」


「マイさんの方が良いって私が言ったのよ。魔力の制御力は私より上だもの」


 ……え?


 ………そうなのですか?


 いや、お母さんは魔法が得意という事は分かっていますが、そこまでとは…。ですが、サクラさんが言うのなら、そうなのですね。サクラさんに認められているなんて、実はとんでもない人だったのかもしれません。


 …あ!


「なら、ついでですし、私も学んでみますかね」


「…メイちゃん、それ以上強くなってどうするつもりなの?」


 ……はぁ。そういう捉え方をするなんて、サクラさんは失礼ですね。


「魔法を使いこなせれば、便利ではありませんか。私も、飲み物を冷やしたりとか温めたりとか出来る様になりたいです」


「…そ、そうね」


 なんだかサクラさんが残念そうな目で私を見ていますが、どうしてでしょうね。私だって、サクラさんみたいに飲み物を簡単に適温に出来る様になりたいですよ。私だって向上心があるのですから。


「ですが、1日で全部やるのは難しくないですか?」


 キャルシィの冒険者登録をして、お母さんから魔法制御を学んで、魔物を倒してSランクになるなんて。


「…そうね。あ、なら私が明日、ギルマスに2日かかるって言うわ」


「おぉ!なら大丈夫ですね!」


 サクラさんは、そういう事が簡単に出来るから凄いですよね。…まぁ、ギルマスがサクラさんに逆らえないというだけかもしれませんが。元々は受付嬢とギルマスという明確な上下関係がありましたが、今は完全に逆転している気がします。


 何はともあれ、キャルシィと一緒に居られる時間が増えるなら嬉しいので、とてもありがたいですけどね。明日からが楽しみです!



 ♢♢♢



「メイ! やっと帰ってきたわね! 遅いわよ!」


「え? …ただいま帰りました」


 サクラさんとキャルシィと明日の予定を話していると、あっという間に家に到着しました。ですが、家に到着すると何故かソフィーちゃんがお出迎えしてくれました。


 いつもはカーラと一緒なので執事のルナールさんが迎えてくれるのですが、今日は違うみたいです。もうカーラは帰ってきているという事でしょうね。カーラが一緒にいれば、ほぼ確実にルナールさんがお出迎えしてくれますし。


 まぁ、それは別に良いのですが、お出迎えしてくれたソフィーちゃんが、何故か怒っているみたいです。ソフィーちゃんが怒る事は常々ありますが、なんだかいつもとは雰囲気の違う怒り方の様に感じます。


 ……私、何かやってしまいましたかね? 


 …………あ、やっていたかもしれません。私が変な称号を得た事で、私が飛ばされた時に迷惑をかけていましたね。おそらく、その時にサクラさんとマリヤさんに何かされたのでしょうね。ソフィーちゃんが、こんなに怒っているのですから、それなりの事をやられたのでしょう。マリヤさんとソフィーちゃんは相性が悪そうですし。


 ……ですが、これ、私が怒られるのですか? 


 そもそも、原因は『地龍』を殺したカーラです。それに、七聖龍をコンプリートしたいとサクラさんが言わなければ、私が変な称号を得て飛ばされる事もありませんでした。私が飛ばされていなければ、サクラさんとマリヤさんがソフィーちゃんの所に行く事も無かったでしょうし、私は悪くないと思います。


 あ、そういえば、ランキングを見られていたのでした。きっと、怒られるのはサクラさんで、ついでに私が問いただされるのでしょうね。


 …あんな称号を得て、凄くレベルが上がってしまいましたからね。気になるのは仕方のない事かもしれません。『大神官』として、知っておいた方が良い情報と思われているかもしれませんし。…できれば、見なかった事にして頂きたかったですけどね。


 ……はぁ。せっかく良い気分で帰って来たのですけどね。


「いいから早く来なさい!」


 そして、私はソフィーちゃんに手を引かれました。


 ……あまり、夕ご飯が遅くならないと良いのですが。今日は、たくさん動きましたし、魔力もそれなりに消費したので、かなりお腹が空いているのですよね。後回しにするのも嫌な気もしますが、夕ご飯の後にしてくれませんかね?


「カーラ、帰って来たわよ!」


「うぅ、メイぃぃ…」


 …え?


 ……どういう事でしょうか。 何故かカーラが泣いています。誰かに虐められたのでしょうか? 


 …それに、サイコス様も一緒に居て、今まで見た事ない程に、私を睨みつけてきます。少し怖いです。お腹は空いていますが、そんな事を考えている場合では無いのかもしれません。カーラが泣いている状況で、ご飯を美味しく食べるなんて出来ませんからね。


 一体、何があったのでしょうか?




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