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7話 お菓子

 

「はい、サクラ。発行できたわよ」


「ありがとっ」


 ソフィーちゃんとマリヤさんの間で一悶着あったものの、ようやく当初の目的であるランキングを発行してもらえる事ができた。


 …さて。どうなっているかしらね。


 1 サクラ 463 『大賢者』  

 2 ユリアール・カーラ 439 『勇者』  

 3 ユリアール・セイラ 391 『堕妖精』

 4 ユリアール・ソフィー 373 『大神官』

 5 ドラディニエル・オッディウス 367 『魔王』

 6 ドラディニエル・マリヤ 358 『堕天使』

 7 キャルシィ 313 『賢者』

 8 ユリアール・サイコス 232 『大賢者』

 9 ユリアール・ニーズ 229 

 10 カドリア・ゲイツ 201


 ……やっぱり居ない。


 私たちが予想した通り、メイちゃんは下界ではない何処かに飛ばされてしまったのね。…はぁ、どうしようかしら。


 そう思いつつランキングを見ていると、早く見せろと言わんばかりに、マリヤさんが横から顔を寄せてきた。


 …あんまり見ない方が良いと思うのだけれど。


「……うわ。レベル373…。『魔王』より強いなんて、『魔王』(オッディウス)の立場が無いわね」


 …やっぱり、そこを見ちゃうわよね。今のマリヤさんは、魔王側だから。カーラにならまだしも、ソフィーちゃんよりレベルが低いっていうのは気になるわよね。


「…仕方ないじゃない。そんなことより、あんたの『堕天使』ってどういう事なのよ!」


 対して、ソフィーちゃんもマリヤさんの称号が気になっていた様だ。この前、ランキングの精度を向上させた時に見て知ったはずだから、それからずっと気になっていたのかもしれないわね。


「そのまんまの意味よ。見なさい」


 バサッ!!


 そして、マリヤさんは『堕天使』だという事をソフィーちゃんに指摘されると、隠す素振りも無く漆黒の翼を披露した。メイちゃんと違って、翼の色が黒でも気にしないのかしらね?


「…は?…そんな、嘘でしょ? …どうして」


「ふふっ、良いでしょ! 」


 マリヤさんの漆黒の翼を見たソフィーちゃんは、信じられない物を見たかの様に青ざめたけど、それとは真逆にマリヤさんは誇らしげだ。だけど、その姿がソフィーちゃんには強がっている様にでも見えた様で…。


「…ごめんなさい、今度は私が純白の翼を見せびらかす形になってしまって」


「ちょっと!どうしてそんな顔するのよ!この翼は私とオッディウスの愛を証明する物なのよ!」


「……は?」


 ……あぁ、マリヤさんは本当に魔王の事が好きみたいだわ。


 ソフィーちゃんは、あまり翼や堕天について詳しくないみたいだから、意味が分かっていない様子だけれど。知っている私からすれば、惚気にしか聞こえないわね。まぁ私も、メイちゃんに聞いていなければ、こうなっていたでしょうけど。


「ねぇ、マリヤさん。以前下界に来た、天界の一番偉い人だったらメイちゃんの居場所が分からないかしら?」


「…どうかしらね。いくらレミコ様でも知らないと思うわよ」


 …やっぱり、そうよね。今回の件は、魔王側の称号が原因みたいだし、知らない確率が高いわよね。…でも、あの人は、私が知る限り一番長く生きている人だし可能性くらいは有るわよね?


「一応確認してもらえないかしら。もしかしたらって事もあるもの」


「…んー、正直、行きにくのよね。私、自らの意思で堕天しちゃった身だし。取り敢えず、今日中にメイが戻って来なかったらでも良いかしら?」


「…そうね。その時はお願いするわ」


 天界側からすれば、堕天使だと思われたメイちゃんを殺しに来たくらいだから、簡単には許されない事なのでしょうね。まぁ、結果的にマリヤさんは生きている訳だし、そこまで険悪な関係になったとは思えないけど。


 私的には、直ぐにでも確認してもらいたいのだけれど、あんまり無理を言っちゃダメよね。


 …はぁ、どうしましょ。他に方法は無いかしらね?


 と、私が考えていると、マリヤさんが何かを閃いたのか、手をパンッっと叩いて口を開いた。


「じゃ、取り敢えず、お菓子でも食べましょ!さっき、あんたが食べてたのが凄く美味しそうだったのよ!」


 ……え?


 ……私の聞き間違いかしら?


 …メイちゃんよりもお菓子が優先?


「…ちょっと、メイちゃんを探す方法を考え…」


「下界に居ないなら、私たちが考えたって無駄よ。それにメイなら大丈夫よ。メイだもの」


 ……マリヤさんの言っている事は理解できる。それでも、何もせずにはいられない。


「でも…!」


「はぁ、私のお菓子なんだから、少しは遠慮しなさいよね」


「ケチね。別に良いじゃない」


 だけど、私が反論しようとすると、ソフィーちゃんまでもが、マリヤさんに乗っかってきた。


 ………ソフィーちゃんとマリヤさんは、メイちゃんの事が心配じゃないのかしら?


 …いや、違うわね。2人は現状をしっかりと理解した上で、そう言っているんだ。


 ……はぁ、私はダメね。私が焦ったところで、解決できないのに。


 …メイちゃんなら大丈夫。…そう。大丈夫よ。メイちゃんだもの!私も一旦落ち着かないといけないわね。


 私が今できる事は、全部やったわ。だから、もう待つしかない。そして今日中に戻って来なかったら、マリヤさんが天界に行って確認してくれる。それでもダメだったら、その時に考えれば良いじゃない。


 ふぅ。2人のおかげで、だいぶ落ち着けたわね。さっ、私もソフィーちゃんのお菓子を頂こうかしら。


「あ、メイちゃんが戻ってくるなら、魔王城によね?あっちで食べる?」


「闇魔法で繋げておくから大丈夫よ。メイが戻ってきたらオッディウスが教えてくれるわ」


 相変わらず便利ね、闇魔法は。…見た目はあれだけど。


 そして、私たちはソフィーちゃんの部屋に戻り、ソフィーちゃんのお菓子を食べた。


 流石と言うべきか、ソフィーちゃんが常備しているお菓子はどれも美味しく、食べ終わった頃には、あっという間に十数分の時が流れていた。そしてタイミングよく…


「おーい、マリヤちゃん。メイ様がお戻りになられたぞ」


 闇から魔王の声が聞こえ、私とマリヤさんは魔王城に戻った。


 マリヤさんが言った通り、そんなに心配する必要は無かったみたいね。


 ま、メイちゃんが私を心配させた事は事実だから、そこは許さないけれど。



 ♦︎♦︎♦︎



 コツ、コツ、コツ…


 私は、サクラたちが戻った事を確認した後、無言で歩き出した。


 やはり、あれが気になるからだ。それはもちろん…。


 ぱぁぁぁぁ…


 私は、魔力を込め、再びランキングを発行する。お菓子を食べている時、サクラは称号がどうとか言っていたし、メイが今度は何を得たのか気になるものね。


 そして、ランキングが無事に発行され…。


「…うわ」


 それを見た瞬間、私にはそれ以上の言葉がすぐには出てこなかった。



 1 ドラディニエル・ゴスティリウス 1023 『龍神』 

 2 ドラディニエル・ディスティリウス 913 『龍神』 

 3 ドラディニエル・ザッティリウス 872 『龍神』 

 4 メイ 579 『龍神』『堕天使』『堕妖精』

 5 サクラ 463 『大賢者』  

 6 ユリアール・カーラ 439 『勇者』  

 7 ユリアール・セイラ 391 『堕妖精』

 8 ユリアール・ソフィー 373 『大神官』

 9 ドラディニエル・オッディウス 367 『魔王』

 10 ドラディニエル・マリヤ 358 『堕天使』


 ………カーラが見たら喜びそうね。


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