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1話 仲間外れ

 

「メイちゃん、明日は一緒にお出かけしましょ!」


 今日も枕投げをしてしまい、レベルが上がってしまった事に少し後悔しつつベッドに寝転がると、サクラさんが笑顔でそう言ってきました。以前の様にランキングに載らないのであれば、私も気にせずに枕投げを楽しめるのですがね。


「良いですけど、お仕事は大丈夫なのですか?」


 サクラさんは、ユリアール領の冒険者ギルドマスターであり、忙しいはずなので、私と遊ぶ時間は殆ど無いと思います。そんなサクラさんが私を誘ってくれるなんて、何かあったのですかね? …まぁ、私は毎日でも遊びたいですけど。


「私の仕事は冒険者よ?忘れちゃったの?冒険者は休みたい時に休むものよ」


 …これは、どういう意味でしょうか。サクラさんが冒険者だという事はもちろん知っていますが、私が帰ってきてからは毎日ギルドのお仕事でしたし。…まぁ、どうでも良いですね。サクラさんとお出かけ出来るなら、嬉しい事ではありませんか。きっと、ギルドのお仕事がお休みなのでしょうね。


「そうですね。お出かけしましょう!」


 事情は分かりませんが、これは凄く嬉しいです。サクラさんとお出かけとなると、やはりケーキ屋さんですかね?


「明日はサクラとも一緒に居れるんだね!嬉しいな!」


 あ、カーラも来るのですね。では、ケーキ屋さんではないかもしれません。美味しい物が食べれるなら何でも良いですが、何だかんだドラゴン狩りにでもなってしまいそうですね。


「え?カーラは誘ってないわよ。私とメイちゃんの2人よ」


「え?ボクも空いてるよ?」


 あら?どうしたのでしょうか。カーラを仲間外れにするという事は、やはりケーキを食べに行く予定なのでしょうか。サクラさんは、カーラに来てほしくない様です。邪魔されたくないという事でしょうか?


「サクラさん、どこに行く予定なのですか?」


「竜探しよ。どっかのバカが『地龍』を殺したの」


「…またですか」


 …はぁ。どうしてカーラは学習能力が皆無なのでしょうね。七聖龍は殺してはダメという事が理解できないのでしょうか?流石に私の七聖龍(お友達)は殺していないと思いますけど。…殺してないですよね?


「……カーラ」


「ん?」


 カーラの表情は変わらず、いつも通りですね。罪悪感を感じているなら、少しは表情が曇るはずなので、私の七聖龍(お友達)には手を出していないのでしょうね。そうだと信じましょう。


「カーラ、明日はサクラさんと2人で行きますね」


「え⁈どうしてなの⁈酷いよ、サクラもメイも!」


 そう言われましても、カーラを連れていけば、手間が増えますからね。絶対に一度戦ってから進化させる事になりそうですし。更に、進化した後にもう一度とか言われそうですし。


 …だからと言って、カーラが納得するとは思えませんね。…どうしましょう。んー。


「…カーラ、ごめんなさい」


「え? 何が……げふぉう!!」


 …ピロン


 …と、いう事で、私はカーラを納得させるのは無理だと判断し、枕を投げました。カーラには悪いですが、これは仕方のない事なのです。


「メイ!何やってるのよ!」


「ソフィーちゃん、これは仕方のない事なのです。回復させてはダメですからね」


 ソフィーちゃんはカーラに回復魔法を掛けようとしましたが、私はその前に止めました。また無限ループになってしまいますからね。…まぁ、ソフィーちゃんは全く納得していない様子ですが。


「サクラさん、明日は起こしてくださいね。キャルシィと同じ時間に家を出ましょう」


「…良いけど、メイちゃんが起きれるのかしら?」


 …む。これは完全に私が早起きできないと思われていますね。確かに私は早起きが苦手ですが、明確な目的があれば、きちんと起きる事ができますよ。それに、サクラさんが起こしてくださるのですから、起きれない訳がありません。


 いつもサクラさんとキャルシィは、私とカーラが起きる前に仕事に行ってしまいますが、せいぜい数時間前でしょうからね。それくらい余裕です。



 ♦︎♦︎♦︎



「……ちゃん、メイちゃん」


「………んー」


 …やっぱり起きない。無理だとは思っていたけれど、やっぱり無理だった。…はぁ。


 私は、カーラを起こさない様に声量を抑えつつ、メイちゃんのほっぺたを引っ張った。


「おーきーなーさーいー!!」


「………あ、と3時、間…だけ」


 …どうしようかしら。3時間も待ってたらカーラだって起きる時間になるわよ。


「はぁ、仕方ないわね。…よっと」


 もう無理だと判断した私は、メイちゃんを担ぎ、洗面所へと向かった。


 …そして。


「…ん、ごぱっつ!ごぽぽぽっつ!!」


「おはよう、メイちゃん」


 私はメイちゃんの顔を水魔法で覆い、無理矢理起こした。このくらいやらないと起きないものね。


「はぁ、はぁ、酷いですよサクラさん!何するのですか!」


「メイちゃんが全然起きないからよ」


 そう言って私が笑顔でメイちゃんにタオルを手渡すと、メイちゃんは理解した様子で、怒った顔が申し訳なさそうな顔に変化していく。


「…サクラさんは凄く早起きなのですね。私の考えが甘かったです。ごめんなさい」


「ふふっ。別に良いわよ。最初からメイちゃんがちゃんと起きれるなんて思ってなかったもの」


「うぐっ…」


 メイちゃんは私の言葉を聞いて悔しそうな顔をするものの、何も言い返せない。本気で自分が起きれると思っていたのかしらね?




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