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37話 別れ

 

「メイぃぃ。どうして解除しちゃうのさぁぁ。ボク、負けたんだよ?もう1回やらせてよぉぉ!!!!」


 …はい。と、いう事で、カーラが負けました。最後はセイラさんが風魔法で更に加速し、カーラが対処できずに敗北です。


 しかも、セイラさんは自分よりもレベルが高いカーラを倒したのでレベルが上がったでしょうから、更に少し強くなったでしょうね。本当にとんでもないですね、セイラさんは。


 そして、こんなにも圧倒的な差があったにもかかわらず、カーラはまだ戦いを求めます。ですが私は、もう付き合いたくないので、カーラを諦めさせなくてはなりません。


「カーラ、私と協力してセイラさんを倒せたとして、それで嬉しいのですか?」


「…嬉しくは無いかも。でも、凄く楽しかったし!だからさ。ね!」


 …はぁ。カーラは最初、私がバフを掛ける事を悔しそうにしていましたよね?それなのに、自分が楽しかったからと意見を変えるのですか。まぁ、原因は私なので咎めはしませんが。


 だからといって、カーラの願いに応える事は出来ませんけどね。やってしまったら終わりが見えなくなりそうですし。そして私は、縋るカーラを振り払いつつ、魔法の言葉を使います。


「カーラ、今夜はいっぱい枕投げをしましょうね。そしてもっと強くなれたらセイラさんにリベンジしましょう」


「ほんと!?絶対だよ!今日は寝かせないからね!」


 ……いや、寝ましょうよ。どれだけ元気なのですか、カーラは。もちろん、私は疲れたら寝ますからね。


 まぁ、そんな事は置いといて、カーラがセイラさんと今すぐ戦うのを諦めてくれたと思うので、私はカーラの相手を終えました。


 そして私は、セイラさんに確認したい事があるので、セイラさんに話しかけます。


「セイラさん、私、精霊界という場所に行ってみたいです」


「…え?あの場所に外から入るにはマーディルの許可が必要よ。私達が入れてもらえると思う?」


 ……思いませんね。特に私は、絶対に無理だと思います。私は、あの人に嫌われているでしょうし。私も嫌いですけどね。


 はぁ。これでは、サクラさんが死んだ後に迎えに行けませんよ。


 …どうしましょう。


 …んー。行けないなら来てもらうしかありませんかね?


「では、新しく『妖精』となった人は自由に下界に来れますか?」


「自由には無理よ」


 …つまり、制限があるという事ですね。セイラさんで下界で暮らしていますし、さっきのマーディルという人も来ていたので、方法はあるでしょうから。


「どうすれば良いのですか?」


「マーディルが下界に繋がる道を守ってるから、あいつに許可がもらえれば通れるわ。まぁ、今まで許可が貰えた者は居ないけど」


 …ん?…つまり、セイラさんは無理矢理下界に降りてきたという事ですね?あの人の許可を得ずに。…セイラさんならやりそうですね。なにせ、カーラのお母様ですし。


 …ですが、困りましたね。サクラさんはやってくれるでしょうか?サクラさんは優しいですし、常識力がある方なので、強行突破はしない気がします。やろうと思えば簡単でしょうけど。どうして出入りに、あんな人の許可が必要なのでしょうね?『妖精王』ってそんなに偉いのですか?


 …ん?


 …『妖精王』?


「その下界に繋がる道というのは、『妖精王』が守るのですか?それとも、さっきの人が守り続ける義務があったりするのですか?」


「ん?そりゃあ『妖精王』よ。マーディルが私のレベルを抜いてくれるまでの800年くらいは、私が我慢してやっていたもの。私はそれが凄く嫌だったから、マーディルに早く押し付ける為にレベルを上げない様にしていのよ。まぁ、今考えれば、さっさと堕ちてれば良かったと思っているわ」


 …おぉ。セイラさんは、あの人が800年も抜けないほどのレベルを、生きていた間に上げていたという事ですですかね。…あの人が弱かっただけな気もしますが。


 まぁ、そんな事は置いといて、つまり、精霊界のルールは『妖精王』の物という事ですね。


「なら大丈夫です!サクラさんの方がレベルが上ですし」


「……え? …今代の『賢者』って、あなたじゃないの?」


「違いますよ。私以外に『大賢者』が2人居ます。そもそも、私は『聖女』でしたから」


 サイコス様も一応『大賢者』ですからね。忘れがちですけど。


「…『聖女』…ね。まぁ、それはいいわ。…その『大賢者』がマーディルよりもレベルが高いのね。強いのかしら?」


 …あ。この顔はあれですね。カーラが偶にする顔です。つまり、そういう事です。


「残念ですが、今のセイラさんの方が強いと思いますよ。カーラより少し強いくらいなので」


「カーラより強いの?!どうなってんのよ、今の勇者パーティーは!『勇者』が『大賢者』より弱いってダメでしょ!何者よ、その『大賢者』は!」


 まぁ、そういう反応になってしまいますよね。正確には勇者パーティーでは無いですけど。これではサクラさんがセイラさんの標的になってしまいそうですね。ごめんなさい、サクラさん。セイラさんに情報を与えてしまいましたよ。とにかく、適当に誤魔化さないといけません。


 ……いや、やはり別にいいですかね?いざとなれば私がバフを掛ければ良いですし。それに、サクラさんは死んでしまっても大丈夫という事が分かりましたから。なんとかなりますね。カーラのお母様に嘘を吐く訳にもいきませんし。


「サクラさんは元々、勇者パーティーの担当受付嬢だった方で、美人で強くて優しくて、凄く頼りになる人ですよ」


「…誤魔化すなら、もう少しマシな嘘をつきなさいよ。受付嬢やってて、そんな完璧超人がいる訳無いじゃない」


 ………本当なのですけどね。嘘は吐けないと本当の事を伝えたのに、それが嘘だと思われてしまいましたよ。これなら、やはり適当に誤魔化せば良かったです。


 ……はぁ、次に来る時はサクラさんも連れて来ますかね。



 ♢♢♢



「では、私達は天界に帰りますね」


「レミコ様ぁぁ、一緒に暮らしましょうよぉぉ」


 いろいろありましたが、一先ず、私の称号以外は一件落着という事で、レミコ様達がお帰りになるようです。


 そして、案の定セイラさんが駄々を捏ねています。


「セイラ、これからは会おうと思えばいつでも会えるのですよ。お互いに、この世界で生きているのですから」


 昨日までは、お互いに死んだままだと思っていたレミコ様だから出る言葉ですね。


「では毎日会い来てくださいね!」


「毎日は無理ですよ。私は『大天使』であり、それなりに忙しいですからね」


 ………ん?忙しい??


 ……レミコ様が?


「…そうですよね。ですが、可能な限り会いに来てくださいね!」


「えぇ、もちろんです」


 ……レミコ様って忙しいのですか?


「ソフィーちゃん、会えて嬉しかったわぁ。またいつか会いましょうねぇ」


「はい。お元気で」


 こちらはレミコ様達と違って、案外すんなりしていますね。まぁ、私が居れば会いたい時に会えますし、ソフィーちゃんは死んだ後に天界で新しい生を受けますからね。


 そして、私達は別れを済ませ、レミコ様の転移魔法で2人は一瞬にして消え去りました。


「では、私達も帰りましょうか」


「うん! 母さん、もっと強くなったらリベンジに来るからね!」


「えぇ、期待してるわ」


 ジリッ…ジリジリジリ…


 次にここに来るのは、1日後か1週間後か。それとも1年後か10年後か。


 いつになるかは分かりませんが、カーラならいつかセイラさんを超えるでしょうね。人生は長いですし、何より私が居ますから。



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