31話 絶望
「ゴンザリオン・ストライク!!!」
私は、いろんな魔法を使い、ゴンザリオンを投げました。声に出す必要はありませんが、なんとなく声に出して。
あ、もちろん当てるつもりはありませんよ。ちゃんと外しますからね。レミコ様は殺しても文句は言わないとおっしゃいましたが、私は人殺しをしたいとは思いませんし。相手の戦意が完全に消失してくれれば十分ですからね。
そして、私が投げたゴンザリオンは、一直線に進んでいき、マーディルという人に近づいていきます。といっても、一瞬の出来事ですけどね。
ヂュギュン!!
ドゴォォーーーーーーーーーーーーン!!!!
「…は?ぎゃあああああああぁぁぁぁ………」
……ちょっと強すぎましたかね?
…痛そうですね。…ごめんなさい。
ゴンザリオンは私の狙い通りに進み、マーディルという人から少し離れて通過しました。…が、その余波で左腕とお腹の一部が消し飛んでしまいました。風魔法の影響ですかね?わざとではありませんからね。
そして、そのまま進み、お山を1個、2個と吹き飛ばしてしまいました。
…誰も住んで居ませんよね?大丈夫ですよね?この辺りにはセイラさんの家以外ありませんし、きっと大丈夫です。
…バタンッ。
もうどうでも良い事ですが、マーディルという人は倒れてしまいました。気絶したのですかね?
ピロンピロンピロン…
あ!気絶したみたいです。私の勝ちですね。では、急いで回復させないとです。見てて痛々しいですし。
…ピロンピロンピロンピロン…
…ん?
…ピロンピロンピロン…
…おかしくないですか?
…ピロンピロン
…終わりました。ですが、どうしてこんなにもレベルが上がってしまったのでしょうか?私の方がレベルは上ですよ?
「…メイ…す、凄いね」
「…そんな事はありません…よ?」
…どうしてでしょうか。カーラが少し怯えている様に見えてしまいます。そんな事はありえないのですけどね。カーラの事なので、きっと武者震いでしょうね。…そう思いましょう。
…ジジッ…ギギギュ…
「…ん?」
…何でしょうか?頭の中に直接変な音が聞こえますね。
…ギギッ
称号『大天使』が『堕天使』に変化しました
称号『妖精王』が『堕妖精』に変化しました
…は?
…は?
はぁぁぁぁああああああ!?!?!?!?!?!?
え?
…え?
……え?
…嘘ですよね?
…は?
いやいやいや、ちょっと待ってくださいよ!
…え?何故ですか!
「…メイよ。少々やりすぎです。『聖剣』はどうやって回収するつもりなのですか?それに、マーディルが息絶えそうですよ?…回復させないのですか?私はやりませんよ?」
「そんな事どうだって良いですよ!…そんな事……!」
「……え?……メイ?」
そんな事を考える余裕は私にはありません。今は、それどころではありませんから。
こんなの、あり得ませんよ!私が何をしたと言うのですか!堕ちる理由がありませんよ!
私はカーラともサクラさんとも結婚してないですし、下界の平穏を脅かす行為なんて…。
………あ。
…………いやいやいや、そんな事。
「メイ、土煙が晴れてきたよ!山が綺麗に削れちゃったね!」
「…………」
カーラが指差す方向には、2つの山が丸く綺麗に抉れています。
…まさかとは思いますが、それだけの事で私は堕とされたというのですか?ほんの山2つだけですよ?カーラの方がよほど世界に迷惑をかけていると思いますよ?
「やっぱりメイは凄いなぁ。メイが居ると、ボクはちっぽけな存在だと思えて嬉しくなるよ!」
「……うるさいですよ」
カーラには悪いですが、今の私にカーラに構う余裕はありません。
「…え?…あれ?…メイ、泣いてるの?」
「泣いてますよ!!悪いですか!!」
我慢したくとも、しようがありません。悔しくて、悲しくて、どんどん溢れてきてしまいます。いくらなんでも酷すぎます。やっと手に入れた純白の翼が、帰ってきて1日で元に戻るなんて…。
「えぇえ⁈メ、メイ、どっか怪我しちゃったの⁈ど、どうしよう…。あ!ソ、ソフィー、メ、メイが!!」
「怪我なんてしてませんよ!する訳無いじゃありませんか!」
あぁ、最悪です。カーラに当たるなんて、私は最低です。自分が嫌になります。どうして私は、こんな性格なのでしょうか。
「…レミコ様、助けてください」
「…え?…何をで…あっ」
流石、レミコ様です。たったこれだけの言葉で私の言いたい事を理解してくれました。すぐに『神眼』を使ってくれたみたいです。表情を見る限り、間違いありません。どんどん険しくなっていきますからね。
「…メ、メイよ。…いつのまに婚姻を結んだのですか?」
「違いますよ!!」
…ふざけているのですかね?レミコ様なら、現状を見て理解してくれると思ったのですが。
「…冗談ですよ。原因はあれですね」
「…はい。おそらく。…どうすれば良いですか?…私は、もう戻れないのですか?」
やはりレミコ様も私が堕ちた原因を同じように推測しました。今の現状で考えられる原因は、あれしかありませんからね。
そして私は、レミコ様ならどうにか出来るかもしれないという可能性を信じて、縋ります。きっとレミコ様なら、戻る方法を知っているはずです。そう思わないと涙が止まりませんから。




