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26話 ユリアール・セイラ

 

 …どういう事でしょうか。カーラは、ユリアール・セイラという方を、お母様と同じ名前だと言いました。しかも、既に亡くなられていると。


「ねぇ、メイ!教えてよ。メイが妖精の王様なら、この人の事も分かるよね?」


 いやいや、分かるわけありませんよ。私だって、他に『妖精』の称号を持つ人が下界に居るなんて知りませんでしたし。それと、王様と呼ばないでいただきたいです。


 …まぁ、セイラという方は堕ちてらっしゃるので、予想はできますが。レミコ様に確認してみますかね。


「レミコ様、『天使』が『堕天使』になる原因は何ですか?」


「…突然ですね。…まぁ、いくつか有りますが、下界の平穏を脅かす行為や、下界の生命と婚姻を結ぶ事などですかね」


 はい。つまり、そういう事ですね。マリヤさんが堕ちた理由とたぶん一緒です。『天使』と『妖精』は似た様なものだと思いますし。まぁ、カーラは、お母様が死んだ事になっていたと言っていたので、確実ではありませんが。


「カーラ、おそらく、セイラという方は、カーラのお母様だと思います」


「だよね!メイは何でも分かるんだね。やっぱりメイは凄いよ!!」


 何故か、私の評価が上がってしまった様ですね。殆どレミコ様がお答えした様なものですが。


「レミコ様、この方の居場所は把握できますか?」


「セイラの魔力は覚えていますから、探してみますね」


 そうおっしゃると、レミコ様から、フワッと何かが広がっていく感じがしました。おそらく『魔力感知』のスキルを使用したのでしょうね。


 それにしても、1000年以上お会いしていない人の魔力を覚えているなんて、凄いですね。私だったら10年以内に忘れてしまいそうです。


 そもそも、他人の魔力を覚えるとは、どういう感覚なのでしょう。『魔力感知』スキルを持っていれば分かるのですかね?まぁ、私は『魔力感知』のスキルを得る事は無いと思うので、関係ない話ですけどね。


「…見つけました。行きますか?」


「カーラ、どうします?」


 私は『妖精』の事を少し聞きたいので行くつもりですが、カーラはどうなのでしょうね。お母様と再会したいと思っているのでしょうか?


「もちろん行くよ!会って戦いたいからね!母さんには一度も勝った事が無いもん!」


「…そうですか」


 …そうですよね。カーラらしいです。


 私が関わらずに、こんなレベルの人なのですから、子供のカーラが勝てる訳がありませんもんね。


「ソフィーちゃんとシルフィアさんはどうしますか?」


「カーラのお母様なら、私のお義母様なのよ。もちろん行くわ」


「私も行くわぁ。久しぶりにセイラちゃんに会いたいもの」


 ソフィーちゃんはカーラと結婚しているサイコス様と結婚しているので、一応お義母様と言えますからね。ソフィーちゃんにとっては、サイコス様は関係無く、カーラが嫁ですが。


 そしてシルフィアさんは、セイラという方に会ったことがある様です。カーラのお母様という事は、教会で婚姻を結んでいるでしょうし、会ったことがあるのでしょうね。死んだ事になっていたのかを知っていたかは謎ですが。


「では、転移しますね」


「お願いします」


 シュン、シュシュン…



 ♢♢♢



 …シュン、シュン


「着きましたよ」


 おぉ。やはり、転移とは良いものですね。行ったことのある場所に行ける闇魔法も良いですが、魔力を感知して行きたい場所に行くというのも凄く便利です。魔力感知のスキルが必須なので、私が得ることはできませんが。


 そして、私達が転移した場所は、何処か分からない丘の上です。家が一軒だけ建っていますね。家の前にある椅子に、1人の綺麗な女性が座っています。きっと、あの人がセイラという方なのでしょうね。


 すると、突然現れた私達に気づくと、女性はこちらをじっと見つめ、急にあわあわしだしました。


「レ…レ…レ…レレレレレレ、レミコ様!?!?!?!?」


 あぁ、そういう事ですか。1000年以上会っていないのですもんね。あちらも、レミコ様が生きているとは思ってもいなかったという事でしょう。


「お久しぶりです、セイラ。変わりませんね」


 ……あんな、あわあわしている姿が通常なのですかね?何歳でお亡くなりになったのかは存じませんが、おそらくもっと高齢の姿で亡くなられたと思いますし。


 そして、セイラという方は、慌ただしく走り出し、レミコ様に抱きつきました。


「レミコ様、レミコ様!どうして!!」


「セイラと同じですよ。私も新たな生を受けたのです」


 レミコ様も凄く嬉しそうで、穏やかな声で、そう言いました。本当にお互いに大切な存在だったのでしょうね。私も80年後くらいに、『妖精』となったサクラさんと感動的な再会をしたいです。


 …いや、サクラさんが死んでしまったら、直ぐに会いに行くので、感動は無いかもしれませんね。『天使』と一緒なら、シルフィアさんの様に子供になっているでしょうし、絶対に直ぐに見たいですし。


 その為にも、『妖精』の称号を持つ人達が新たに生を受ける場所を把握しないといけませんね。きっと、天界のような場所があるはずです。


「あぁ、レミコ様!凄く嬉しいです。1100年ぶりくらいですかね?」


「1113年と118日ぶりですよ。セイラは相変わらず大雑把ですね」


 …いやいやいや。おかしくないですか?そんな長い年月を日単位で覚えているなんて。大体の年数を覚えているセイラさんですら凄い事ですし、全然大雑把ではありませんよ。


 …というか、似た様な会話を聞いた事がありますね。ソフィーちゃんも、カーラと会っていない日数を把握していましたし、『聖女』の称号を得る人は記憶力が良いのですかね? …私を除いて、ですが。


 ガチャッ


「どうしたんだ、セイラ。大きな声を出して…ってカーラ⁈どうして此処に」


「え?…父さんこそ」


 はい。という事で、セイラさんがカーラのお母様で確定しましたね。家のドアを開けて出てきたのは、カーラのお父様。前ユリアール侯爵様です。


 つまり、セイラさんは娘が居るのにも関わらず、一切反応せずいたという訳ですね。カーラも無反応だったので、どっちもどっちですが。セイラさんは成長したカーラが分からず、カーラは正確に顔を覚えていなかった、というところですかね?カーラが空気を読んでいたとは思えませんし。



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