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25話 妖精の王

 

 私は、カーラが受け取ったランキングの紙を覗き込みました。


 …これは。なんというか、酷いですね。私と出会った時のカーラが可愛く思えてしまいます。…一体、どうしてこんな事になってしまったのでしょうね。誰のせいでしょうか。…はぁ。


 1 サクラ 421 『大賢者』  

 2 ユリアール・カーラ 419 『勇者』  

 3 ユリアール・セイラ 385 『堕妖精』

 4 メイ 383 『大天使』『妖精王』

 5 マーディル 372 『妖精』

 6 レミコ 370 『大天使』

 7 ドラディニエル・オッディウス 367 『魔王』

 8 ドラディニエル・マリヤ 358 『堕天使』

 9 シルフィア 304 『天使』

 10 ユリアール・ソフィー 300 『大神官』


 …んー。知らない名前が2人居ますが、それ以外は知り合いですね。…その2人が、凄く気になりますが。


「…え?…魔王はあんなに強かったのに、こんなにレベルが低かったの?」


 …低いというには凄く失礼な気がしますが、カーラにとっては、そうなのでしょうね。真っ先に魔王さんのレベルを確認するという事は、かなり気になっていたみたいです。そんなのより、よっぽど気になる存在が居るのですけどね。


 …カーラのご先祖様でしょうかね?堕ちてらっしゃいますが。


「カーラ。ユリアール・セイラという方は、ご存じでは無いのですか?」


「…え?」


 私は、カーラは先祖なんて記憶していないと思いつつも、気になるので聞いてみます。


「は⁈メイ!今、何と言いました⁈」


 …カーラの返答を詳しく聞く前に、レミコ様が割り込んできました。…どうしたのでしょうか。レミコ様が驚くところでは無いと思いますが。


「ユリアール・セイラという方がランキングに入っているのですよ。お知り合いですか?」


 レミコ様の驚き様を見る限り、間違いないとは思いますが。


「ちょっと見せてください!」


 レミコ様は普段からは想像できない程に、カーラから乱暴にランキングの紙を奪い取ります。


「…本当にセイラの名前が。それに、マーディルまでも…。『堕妖精』『妖精』…は?『妖精王』??」


 …あ。気づいて欲しく無い事まで気づいてしまいましたね。


「メイ!何なのですか!この称号は!『妖精』とは!!」


「え?…『妖精』は『賢者』の先にある称号だと思いますよ。『天使』と同じです」


 似た様な存在のレミコ様でも知らなかったのですかね?ご自身の経験と、そのお二人が称号を持っている事で気づきそうなものですけどね。おそらく生前に『賢者』だった方達だと思われますし。


「…確かに、『聖女』であった私が、こうして新しい生を受けているのですから、『賢者』も同様であっても不思議ではありませんね」


「あくまで、私の推測ですけどね」


 間違いないとは思いますが、一応保険で、そう付け加えました。


「ですが、メイ。そうなると、メイが『賢者』だっという事になりますが…。昨日見た時は、そんな称号ありませんでしたよ?…メイは何をしでかしたのですか?たった半日でレベルが40も上がり、妖精の王になるなんて、普通ではありえせんよ?」


 …おっと。そこは触れないで欲しかったですね。後、『妖精王』の事を妖精の王と表現するのはやめていただきたいですね。そう言われてしまうと、私が妖精の頂点に君臨しているみたいではありませんか。事実、称号の上では、そうなのかもしれませんが。会った事も無い人達の王になるのは1回で十分です。


 そして私は、レミコ様の質問に、どう答えれば良いのでしょうかね?…まぁ、正直に答えるしかありませんよね。


「…遊んでいただけです」


「…はい?  …メイよ、遊んでいただけでレベルが40も上がる訳が無いでしょう?レベルの低い子供でもないでしょうに。言いたく無いのであれば、そう言えば良いではありませんか?」


 …えっと。どうしてでしょうか。いや、理由は分かるのですが、正直にお答えしたのに責められています。事実を確認せずに嘘だと決めつけるのは良く無い事だと思いますよ?


「本当に遊んでいただけですよ。ね、カーラ」


「…え?…うん」


 あら?どうしたのでしょうか?カーラの返事に覇気がありません。まぁ、一応肯定してくれたのは良いですけど。そんなに魔王さんのレベルが低かった事が残念だったのでしょうか?


「レミコ様、私は嘘を付いていませんよ。カーラも一緒に遊んだのですから。ソフィーちゃんも一緒に遊んで、レベルが100以上上がったのですよ」


「…メイ。もう良いです。話を戻しますね」


 …そうですか。信じてくださらない事は別に良いですけが、嘘を吐かれていると思われているのは心外ですね。私は嘘なんて、たまにしか吐かないというのに。


「…メイが言う通り、セイラ達とは知り合いです。彼女は、1000年以上前に亡くなった、私の仲間です」


「…え?1000年ですか⁈」


 …何と言う事でしょうか。1000年って1000年ですよね?予想はしていましたが、私の寿命は最低でも1000年以上あるのですね。…いや、死んでから1000年ですかね?まぁ、どちらでも良いですね。大して変わりませんし。


「セイラは、私にとって大切な存在でした。ですが、私よりも先に命を落としました。もちろん、それ以来、一度も会っていません」


「…そうなのですね」


 …つまり、レミコ様にとって、セイラという方は、私にとっての賢者(サクラさん)の様な存在なのでしょうね。そして、もう1人の人が、前賢者(サイコス様)の様な存在なのでしょう。その人は、レミコ様にとって、それほど大切な存在では無い様な感じがしますし。


「…ねぇ、メイ」


「どうしたのですか?」


 すると、会話がひと段落したと判断したのか、覇気のないカーラが、私に話しかけてきました。カーラに聞いた事がレミコ様に邪魔されたので、答えてくれようとしているのですかね?


「…ユリアール・セイラって、ボクの母さんと同じ名前なんだ。…偶然だよね?ボクの母さんは、何年も前に突然死んだ事になってたし」


「…え?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 150話でカーラの母親が出ていったって言ってたけど、まさか死んだことにされてたのか…というか1000年以上生きてるって何者!?
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