第9話 愛があれば歳の差なんて!
1日遅れの更新です。
なんと、2話分の下書きを過って破棄してしまいました!!
自分のうかつさに、心の底からガガーーーンです!!
!Σ(×_×;)!
二度と同じものは書けないので、すっごいショックです…………
がんばれーマルエルー
がんばれーワタクシ………………辛い……(TдT)
ぱちっと目が覚めた
ちょっと横になるつもりで転がっただけだったのに、いつの間にか寝てしまっていたようだ。
マジかーお昼寝するなんて、まるで子どもみたいだな。
あ、俺、子どもだったわ。
──おはよ!寝ちゃったねぇ~。私も寝ちゃってたよ。でも、30分くらいだよね?
──あーほんとだ、まだ外は全然明るいな。あんまり寝過ぎるとダルくなるからちょうどいい感じだ
コンコンコンとドアを叩く音がした。
「リリスです。アール様入ってもよろしいですか?」
相変わらずナイスなタイミングで来るよな!
「はい!だいじょーぶです。おきてるよ」
室内履きを探して靴を履く。帰って来てそのまま寝ていたようだ。よほど疲れてたのだろう。
「もう、お目覚めになられてたのですね。ケーキとお茶をご用意させていただきました。ナルコス先生とご一緒にお召し上がりになりません?紅茶のシフォンケーキと、甘ーい生クリームですよ」
やった!リリスの作ったケーキはとても美味しい。
マルは甘いものがあまり好きではないがエルは大好きだった。
──シフォンケーキは食べられるけどな。生クリームはパス
──知ってる。ほんともったいないなぁ。紅茶の苦味が残るふわふわのシフォンケーキに、甘ーい生クリームをたっぷり乗せて食べる時の、あの苦味と甘味が織り成すハーモニーが至福の時をもたらし……
──食レポご苦労さん。お前が食べろよ
──いいの?美味しくいただくわよ?
──そのつもりだったくせに。まぁ別にいいだろ
──へへへへ。んじゃ交代ね
「ナルコスせんせーは、したにいるの?」
「ええ、おられますよ。アール様のお小さい頃のお話を、お聞かせしておりました」
「えー?へんなこといってない?」
「あら?アール様にへんなことなんてございましたでしょうか?アール様はお小さい頃からそれはそれはしっかりなさっておいでで……」
リリスの、アール様はこうして神童とよばれるようになったの巻き、がはじまった。
小さい頃の思い出を流れるように語っている。
──いや、俺たち結構色々やらかしてるよな?
──うん。まぁリリスはアールを崇拝してるふしがあるからね。目が曇ってるのよ。何をやっても称賛の対象になっちゃうんだもん
──うちの大人たちって多かれ少なかれ、みんなこんなんだよな。目を覚ませと言いたい
──しょうがないよ。アールが魅力的なのは私たちのせいなんだから。ふへへへへへへ
──それにしても、これ、止まんないぞ?
そろそろ降りたい。父さんが帰ってきてややこしい話になる前に退散したいんだが
──だね
「おとーさまは?かえってきてる? 」
話をぶったぎるように聞いた。
「いえ、まだ……でございます」
とうとうと語るトランス状態から帰ってきたのか、ハッとしたように背筋を正した。
「おとーさまがかえってくるまえにたべる。いこう!」
面倒な話し合いは大人たちにお任せしたい。
「リリスもいっしょにー」
ぐいっと引っ張り強引にお手々を繋いだ。
「あらあらアール様……」
リリスが嬉しそうに笑いながらきゅっと繋いだ手を握り返し、仲良く階段を降りていった。
応接室ではナルコスが何か真剣な顔をして待っていた。
「せんせー!おまたせしました。いっしょにケーキたべましょう」
席につくなりそう言い、手を合わせた。あまり時間がない。
「いただきます。せんせーもどーぞ」
ばくっと一口食べた。
うふーん美味しい!さすがリリス!
ほんとリリスって完璧よね?
「ああ、いただこう」
ナルコスが、あれ?というような顔でこちらを見ている。
もしかして、マルじゃ無いってわかったのかな?
──ねぇ、ナルコス先生って野生児か何かなのかな?なんだか妙に勘が鋭い気がするんだけど。マルじゃないって思ってるんじゃないかしら?
──そうか?まぁ一流の剣士だしな。気配を感じるのかね?でも別によくないか?アールはアールだし
──まぁね。あーん美味しい!しあわせ~~
「ナルコスせんせーは、あまいものすきですか?」
何気にきいてみた。
ナルコスのお皿には小さな生クリームが乗っているが、それにもほとんど手をつけていなかった。
「食べられなくはないが、あまり好きではないな。だがこのケーキは美味いな」
なるほど、マルと同じ人種だわね。
「そーでしょー?リリスはかんぺきなんです。かわいくてーやさしくてーおりょーりもじょうずで……そうだ!ナルコスせんせー!リリスをおよめさんにしませんか?」
なかなかいいカップルじゃない?どうよ?
ナルコスがゴホッゴホッっと咳き込んだ!!
「アール様!何をおっしゃるのですか!」
リリスが慌ててナルコスにタオルを持ってきた。
困った顔をしてアールをたしなめた。
「……えー?だめかなぁー?リリスはナルコスせんせーどーおもうー?」
リリスがゴホゴホ咳き込んでいるナルコスの背中をさすっている。
あれ?先生耳が赤いよ?
ふんふん、まんざらでもないんじゃない?
「アール様!!そういうお話はアール様が大人になってからにしてくださいませ!」
あれ?リリスもまんざらじゃない?ちょっと頬が赤いよ?
あららららぁ?なーにぃー?いい感じじゃなーい?このもじもじした感覚!うふふふふ!
歳の差?人種の差?そんなの気にしなくていいのよぉ~?
──ちょっとぉマルさん!もしかしてアールはキューピットになるかもよぉー?
──お前、世話焼きの近所のおばさんかよ?確かボランティアの佐藤さん?だっけ?お前にしょっちゅう写真見せに来てた……あのおばさんみたいだぞ
──ちょ!?誰がおばさんよ!……あ、私前世から合わせたら34歳だわ……普通におばさんだったわ
──そういうなら俺も同い年なんだからおっさんだな
なんか、自分で言っててショックだわ。
5歳にして、おばさん・おじさん臭のする子どもはけしてかわいくない。気を付けなくちゃね!
「せんせー、おとーさまとは、なんのおはなしするんですか?」
話題を変えようと気になっていた事をきいてみた。
「ああ、一つは広場の修繕の話だな。あとは……今後君の指南役をどうするかの話だな」
──え?なにそれ!ナルコス辞める気か!?なんでだよ!
──マル、落ち着いて。ちゃんと聞くから
「それって、せんせーをやめちゃうってことですか?」
「……まぁ話次第ではそうなるか」
──マジかよ。ショックだ
──マル……
「それは、ボクがしっぱいばっかりで、おしえるかちがなかったってことでしょうか……?」
食べるのをやめ、フォークを置いて、しゅんとしてうつむいた。
「え!?まさか、アール様に価値がないですって!?」
リリスが血相を変えて食いついた!
「違う!!そうじゃない!そんな事は言ってない!」
ガチャンと慌てて席を立ち、手をブンブンふった。
「そうじゃなくてオレの問題だ」
そうなの?じゃあマルのせいじゃ無いってことね。良かったじゃん。
「せんせーの?」
どういう意味なんだろう?
「ああ」
ふうーとため息をつき、席についた。
「お前は今日初めて剣術を習ったんだったな?」
「はい、そーです」
前世では剣道と空手やってたけどね。マルが。
「5歳の、初めて剣術をならう子どもが、いきなり素振りで風魔法を乗せ、木を倒そうとした。素晴らしい才能だと思う」
誉められた!やったね!マル!
「ありがとーございます!」
ペコリと頭を下げた。
ぱっとその言葉を遮り、ストップと言うように手を前にだし、制された。
「お前が目指すものは何だ?剣士か?魔術師か?」
こわいくらい真剣な目で見られた。
え?ナニソレ?
目指すもの?スローライフですけど?
マルのハーレムライフは物理的に無理なので、とうの昔に潰えた。うふっ!
「とくにありません。のんびりしあわせにくらすことです!」
ディスイズマイドリーム!
「…………そう、なのか……?」
あれ?って感じになってる?拍子抜けって顔をしてるね?
ごめんね!ゆるゆるで!
「はい!」
元気よくこたえた。
「……では、何故俺に剣術を教えて欲しいと?」
えー?って顔をしてる。ちょっと面白い。
そんなの決まってる!マルの思いは私と一緒だもんね!
「あこがれていました!」
──No.1に教わるって夢だよな~!
──わかるぅ~!どうせ教わるならNo.1からがいいよねぇ~!
──大体、何かを成したいとか思ってないしね?もうそういうのはいいかなーって
──まぁそのうち何かしたくなったらすればいいかーって感じだもんな
──そうよね!
──おう
なんともゆるーい理由だった!!
だからと言って手を抜く気はないわよ?
やるからには一生懸命やるつもりだった。
「……憧れ……オレにか?」
なんとも微妙な顔をしている。
「おとーさまが、なんばーわんのけんしをしなんやくにしてくれると、やくそくしてくれました!それがナルコスせんせーです!」
むいっと両手で指し示した。
──タリル先生もそうだもんね。第一人者を先生にしてくれるって事だったし。それがタリル先生だったんだよね~
──ああ、俺たち世間知らずだもんな。どんな人がいいかなんてわかるわけないし、父さんにお任せだ。二人とも実力者なんだろうし、贅沢な話だよな
「……そうか。オレはてっきり剣士になりたいのかと思っていた。それも魔法剣士にな」
あー、それでさっき聞いてきたのね?なるほどなるほど。
「きめてません!」
そんなの何になるかなんて決めれるわけないじゃないねぇ?
まだ5歳になったばっかりよ?
家の外に出たのだってつい昨日なのにさ!
「……そうか……そうだな。お前はまだ5歳になったばかりだったな。将来を決めつけるのは早計だった」
目を瞑り、大きく深呼吸をしてからもう一度ゆっくりこちらを見た。
「オレは剣術しか教えられん。魔法を剣に乗せるやり方や、それに合わせた型や効率の良いやり方などは一切知らん。オレの教える剣術がお前にとってプラスになるような剣術ではないかもしれん」
……マル、交代ね。あなたの考えをきちんと伝えた方がいいよ
……りょ
「ボクはせんせーに、ふつうのけんじゅつをおしえてもらいたいです。ナルコスせんせーは、スパルタだけど、りふじんじゃありませんし。せんせーとしていいなとおもいました!」
まっすぐ目を見て訴えた。
この人は近藤さんに似ている。
俺にとって近藤さんは、尊敬できる上司だった。
厳しいが正当に人を評価し、部下がやらかした時は責任をとる覚悟を持っている、そんな人だった。
ナルコスにとっては部下ではなく生徒だけど。
似たようなものだ。
ナルコスがじっと俺を見つめた。
「……ナルコスせんせーはイヤですか?けんしにならないかもしれないボクにおしえるのは?」
やるからには、めっちゃ頑張るつもりだけど、そう思われてないかもしれない。
「いや、お前は才能がある。魔法剣士になるつもりならオレでは力不足だと思っていたが……」
しばらく目を瞑り、考えていた。
「いずれにせよ、オレを雇ったのは君のお父さんだ。今日の事は報告させてもらう。この話し合いも含めてな。その上で君のお父さんがやはりオレでは力不足だと思われたら、指南役は下ろさせてもらう」
そう、宣言された。
「わかりました」
ま、そんな事にはならないと思うけどな?
人族のナルコスを俺の指南役として雇うと決めた時点で、相当な覚悟をしてると思うからだ。
ナルコスがコクりと頷いた。
よし!話は終わりだ!
──まだケーキ残ってる。あ、生クリームはもう食っちまってるじゃん。これ喰うぞ?
──どーぞー。マルもそのケーキは好きだもんね。
「ナルコスせんせーも、ケーキたべてください!」
ぱくっと食った。
あ、美味いわ。
やっぱリリスは料理上手だな。
いい嫁になると思うぞ、ナルコス!
リリスの方がはるかに年上だろうけど、見た目20代だし、美人だし、アリだと思う。
そんな世話焼きな事を考えつつ、絶妙な苦さと甘さの紅茶のシフォンケーキを食べ尽くした。
中途半端ですが、投稿しました。
誤字脱字があるかもしれません。
ポチッと押していただけると、もう一度書き直すやる気が出ます。
(T_T)
消された下書きを復活させる方法はないものでしょうか……(涙)