第63話 領主夫妻の帰宅
どうも、じゃまぴよです。
訪れてくださってありがとうございます。
遅々とした執筆でごめんなさーい!(>.<)
でも、ちゃんと書くから!
今回はアリステアとナルコスの関係性がチラッと垣間見えるよ!
二人はどうやら昔からの知り合いのようだ。
「アールはもう寝ただろうか」
「こんな夜中ですもの、寝ていてもらわなくっちゃ困りますわ」
麒麟樹を抜け、愛しの我が家へと帰った領主夫妻は、アールを起こさないようにと途中馬車から降り、二人で腕を組み、歩いてそっと門をくぐった。
真夜中過ぎの真っ暗でシンとした静けさの中、ポツポツと明かりの灯るエルフリッド舘には、人の気配がしていた。
「なんだかとても久しぶりな気がするよ」
「ええ、ずいぶん時間がかかってしまいました」
ふと立ち止まり、じっと我が家を見つめた。
時々動く人影が、自分の愛すべき暖かな帰る場所なんだと実感させてくれた。
「──よし、後で可愛いアールの寝顔を覗きに行こう」
玄関の呼び鈴をならす前にアリステアが呟いた。
「まぁ、アリステアったら……」
クスクスと笑いながら呼び鈴を押した。
すぐにドアが開き、バトラーが出てきた。
「お帰りなさいませ、アリステア様、エリザベート様。一同心よりお帰りをお待ちしておりました」
本当に嬉しそうに招き入れた。
「ああ、ただいま。心配かけたね」
「ただいま帰りました」
「お帰りなさいませ。お疲れでございますよね、お茶のご用意が出来ておりますので、あちらでごゆっくりお寛ぎくださいませ」
リリスがいそいそと、これまた嬉しそうに上着を受け取りそう言った。
「ありがとう」
「まぁリリス、あなたもまだ起きてくれてたの?ごめんなさいね、アールの事を任せきりで。大変だったでしょう?明日も早いでしょうに」
「大変だなんてとんでもございません。アール様はそれはそれはとても良い子にしておられましたよ。まず御領主様がお出掛けになられてすぐ……」
ふんすと鼻息荒く、リリスのアール談義が始まろうとした。
「ちょ、ちょっと待って、リリス。明日聞かせてもらえるかしら?」
暴走する予感にあわてて止めたエリザベートだった!
「ハッ、これはっ……申し訳ございません、つい……」
頭をさげつつそう言った。
「いいのよ。それだけ大切に思ってくれているのですもの。アールも幸せですわ」
「ああ、ほんとに」
ふふと笑いあった。
「──恐縮でございます」
ほんの少し頬を染め、照れ臭そうにペコリと頭を下げた。
和やかな雰囲気に包まれ、皆でリビングへと向かった。
途中2階からナルコスが降りてきた。
「御領主夫妻、帰られたか。無事で何より」
軽く頭を下げた。
「ただいま帰りました。ナルコス先生もご苦労様です」
エリザベートとアリステアが軽く頭を下げ挨拶した。
「ナルコス先生、後でお話ししましょう」
アリステアが手を上げ、自室の方を指差し、そう言った。
「分かった。では、落ち着いたら呼んでくれ」
「ええ、後程連絡します」
それだけ言って、また2階へと戻って行った。
お茶を飲み、半時ほど寛いだ後はエリザベートをリリスと共に休ませた。
あまり丈夫でないエリザベートは、ほっとした途端体調を崩しやすいのだ。
お休みを言い、エリザベートが自室に向かうのを確認してから、アリステアも自室に向かった。
帰って早々だが、やることが山のようにある。
「さて、私はまだまだ眠れないな……」
ナルコスを呼び出した……。
「──なるほど、面倒な話だ」
アリステアから一通り今回の経緯を聞かされたナルコスは、少し戸惑っていた。
何故自分にそこまで内情を話すのか、自分はアールの事を報告するために呼ばれたのではないのか、と。
「ほんと、そうなんだ」
そう言いながら、アリステアは棚にあったグラスとお酒を取り出し、グラスに大きめの氷を2つ入れた。
カラカランと小気味良い音がした。
「タリル先生にも連絡しておいたんだが、少しやっかいでね……ナルコス、君も手伝ってくれるよね?」
質問形だが、語尾は下げられ、それは決定事項のようだった。
「──やはりそういう事か。俺はアールの剣術指南役だぞ。お前の部下じゃない」
嫌な予感が当たり、ため息を吐きながらアリステアを見た。
「まぁ、いいじゃないか。死なば諸共と言うだろう?」
そう言いながらグラスに酒を注ぎ、労を労うようにニコリと笑い、ナルコスに渡した。
「死ぬ気は無いが?……ほう、これは旨いな……」
受け取った琥珀色の酒を飲み、その口当たりの良さに少し驚いたようだ。
「旨いだろう?特別だ。それにしても……君は確かに死にそうにないな!ほんとに……昔から変だったが、今はもっと変だ。それ、その魔力、おかしいよね?君、人族なはずだと思ったんだが……違ったか?」
自分も酒を飲み、笑いながら揶揄うように言った。
「俺のせいではない。お前のいかれた息子のせいだ」
死ぬほどの痛みを思い出したのか、眉間にシワを寄せ、嫌な顔をした。
「んん?アールの悪口かい?許さないよ?」
にっこり笑いながら威しをかけた。
「──親バカめ……変なのはお前だ。ほんとにアールはお前そっくりだな。俺がこうなったのは……話せば長いが、聞くか?」
残りの酒を一気にあおり、アリステアにグラスを返しながら言った。
「その為に呼んだんだ。聞かせてくれ」
カランと氷の音を響かせ、そう言った。
口元に笑いを浮かべているが、目は笑っていない。
「……分かった。タリルからも報告があると思うが──」
広場に向かう所からの事を、順番に話していった──
*****
『えーんえーん』
──誰かが泣いている。
『おかぁーさーん!』『おとーさーん!』
──ああ!かわいそうに、もう大丈夫だよ。なんたって、ボクがきたから!
と、突然ゴーーーっと辺り一面火の海になった。
──なに!?熱っ……くない……?
『こっち来て!ダメだよーそっちは!まだアイツらがいるかもしれないー!』
『でも、おとーさんが……』
『……もう、死んじゃってるー……ぐすっ……サーちゃんも……ひっくっ……見た、でしょー?』
『!うっ……うえーーーん』
泣きながら手を繋ぎ、火の海の中、二人の少女が逃げまどっていた。
──ああ、これは……ミーちゃんとサーちゃんの……
『サー!あそこ!あそこは火がないよー!飛ぼう』
『……もう、やだ……もうきっと皆死んじゃったんだ……サーも皆の所に行くの』
と、突然ミーちゃんが、パシンッとサーちゃんの頬を叩いた!
『ばかー!そんなの分かんないでしょー!二人で探すのー!ミーはここにいるんだから、おかーさんも何処かにいるのー!二人で一緒に探すのー!!』
『うえーん!ミーお姉ちゃーん!!』
『行くよー?飛ぶよー!えい!』
サーちゃんの手をぐいっと引っ張り、バサバサッと飛びあがった。
二人は炎の生み出す上昇気流をうまく捉えたのか、あっという間に空高く飛んで行った──
「ミーちゃんサーちゃん!!」
ガバッと飛び起きた!
カチ コチ カチ コチ…………
ドッドッドッドッ……
微かな時計の音が、静かな室内に響いていた。
自分の中から、激しく脈打つ心臓の音が聞こえた……。
「────夢…………」
──今の……夢か……?
──うん、まるでその場にいたみたいな気がしたけど……
二人はあちこち焦げてボロボロになりながら、叫んでいた……。火の粉が飛んだのか、所々チリチリになった髪がやけにリアルだった。
──これって実際あったことじゃないかな?
──ああ、俺もそんな気がする。もしかしてミーサーちゃんが見てる夢かもしれないな
──アールも二人にシンクロしたのかしら?……胸が、痛いよ……
「モフ、居る?」
「どうした?」
「モフ、夢の中に入れる?」
「したこたないぞ!」
「じゃあさ、ミーサーちゃんの所へ行って試してみてくれない?夢の中で泣いている二人を、助けてあげて」
「??助ける?」
「そう、笑わせて欲しいんだ。温かいお風呂に入って、美味しいものを食べて……ボクたちと一緒に綺麗な石を探す旅に出る!」
「石探しの旅!」
「うん、行きたがってたでしょ?ミーサーちゃんからあのタンザナイトの石のありかが聞けるかもよ?明日のボクのおやつあげるから、頼むよ」
「!よし、分かった、行ってくる」
「ありがと」
「任せろ!」
そう言ってふっと消えた。
「………………ふう……」
父さんと母さんは帰ってきただろうか?
ごろんと転がった。
……アールには家族がいる。
お父さんにお母さん、リリスにバトラーに従業員の皆……皆、大切なボクの家族だ。
「ミーサーちゃん……」
いつか、ミーサーちゃんもお母さんと会えるだろうか?
どうか、良い夢が見られますように……悪夢から解放されますように。
目を瞑り、手を組んで、静かに祈ったのだった。
とうとうアールのお父さんが帰って来た。
どうかミーサーちゃんの、アールの、思いが届きますように!
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