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第61話 対策

ミーサーちゃんの部屋はアールの部屋から少し離れているよ。




「よーし、そろそろミーサーちゃんの所へ行くよ、モフはどうする?」


「何か旨いものある?」


「多分無いかなぁ。明日の対策練りに行くんだ。二人にもちゃんとエルフリッド領で暮らしたいってアピールしてもらわないとね」


「ぴよ!ミーサーの部屋、石ある。行く!」

キラリと目を輝かせ、パタパタと羽を動かした。


「ほんとモフは石が好きだねぇ……」

そう言いつつ、モフを頭の上に乗せ、ミーサーちゃんの部屋に向かった……


*****


「いらっしゃい」

サーちゃんがニコニコと笑顔で部屋に入れてくれた。


「どうぞー」

ミーちゃんが椅子を用意してくれた。


「ミーちゃん、サーちゃん、“ミーサーちゃんをエルフリッドの、じゅーにんにしよう!”さくせんをたてにきました」

拳を握り、むんっと胸に手を当て、そう宣言した。


「アール」

「かわいいー」


嬉しそうにクスクスと笑われた。



──何故だ、カッコいいはずなんだが?騎士よろしくポーズとったのに


──まぁ5歳なんだもん。アールだし……何してもかわいいんじゃない?


──ふ、幼女に俺の格好良さは分からないってか。しゃーねーな、後10年待ってやるか



「こんやには、おとーさまたちがかえってきます。ふたりがちゃんとここにすめるように、こーしょーしないとね」


「アール」

「大丈夫ー」


二人がにこりと笑った。



「……だいじょーぶ?」

何が大丈夫なんだろう?あ!何か秘策を思い付いたのか?


『何かさくせんあるんだね?ボクもナルコス先生にも協力してもらうようにたのんだんだ。お父様にもミーサーちゃんの事、ちゃんと知ってもらわないとね』


繋いだパスを復活させ、滑らかに話しかけた。


『アール!?おしゃべりにたどたどしさが無くなってるよ!』

『うん、ホントだー』


『ふふ、そうなんだ。何かね、パスだと話しやすいみたい』


『私たちもこっちの方が話しやすいよ』

『そうだねーパスは言葉じゃないからー』


『お互い話しやすいから今はパスで……あ、でも普段はお口で話すつもりだよ?やっぱりちゃんと言葉を話せないといけないしね』


『うん、私もなるべく口で話すようにする』

『うん、でないといつまでたっても上手く言葉を話せないもんねー』


『ウンウン。あっ!そうだった。その話はおいといて、明日のことなんだけど』


『今夜遅くになるって聞いたよ。御領主様に会うのは明日になるよね』


『そうだね、たぶんお話し合いは午後になるんじゃないかなって思ってる』


『いよいよかー……緊張するなー』


『あ、そうだ。さっきヒサクがあるみたいだったけけど、どんな作戦?』


『え?ん~秘策では、無いかなぁ?私たちにはもう素直にお話しするしか無いなってミーちゃんと話してたんだ。本当の事言わないと信用されないと思うから』

サーちゃんが言った。


『それはそうだけど!でも、ちゃんと聞いてもらうには、ミーサーちゃんがエルフリッド領にふさわしい人だよって、分かるものがあった方がいいんだよ』


『……そうなのー?』

ミーちゃんが目をまん丸にして言った。


『うん、何かないかな?そういや二人はどうやって暮らしてたの?そもそもどこに住んでたの?』


二人で目を見合って、もじもじしながら語りだした。


『あのねー……』


住んでいるのは町の外れにある虹の森の中で、その一画の高い木の上に巣を作り(さすがハーピー!)そこを根城にしていたらしい。

装飾品の売り上げだけでは日々の生活には足りない為、森に行って食べられる物を採取したり、時々野生動物を狩ったり、魚釣りをしたりして食事を賄っていたそうだ。


『あ、あと、ゴミ置き場から装飾品に加工できそうな物を拾ってたかな』

『そうなのー。壊れたカゴとか、まだ使えそうな布とかあったりしてー勿体ないからー。あ!もちろんちゃんと綺麗にしてから作ってるからねー?』

ミーちゃんが恥ずかしそうに頭をかきながらそう言った。

所謂リサイクルなのだが、サーちゃんもバツが悪そうに、ピューピューと口笛を吹くような仕草で目をそらした。


『ゴミ置き場……』



──ゴミ置き場を荒らす鳥……カラスかよ!!


──ショックだわ~ハーピーがカラスだったなんて……白いカラスって珍しいわね


──いや、ショックの受け所違うだろ。突っ込めよ!


──分かってるわよ。のってあげたんじゃない。小さな子供がゴミ漁りして生活するなんて、どこぞのスラムだもん


──ああ、生きるためとは言え、ゴミ置き場なんて不衛生な場所だからな



『……もう、そんな事をしなくても大丈夫だよ』



──スラム問題はこの領の課題じゃないか?


──父さん達は知ってるのかな?


──分かんねぇけど、そこら辺りから攻めるのもアリだよな……


──え?5歳児の攻め方じゃなくない?小賢しい感じがするんですけど


──小賢しい言うなし!じゃあお前何か策あんのかよ?


──うーん……ねぇ、エルフリッド領ってさ、どうやって成り立ってんの?


──知らん。お前が知らないのに、俺が知ってるわけ無いだろ


──だよね……ああ、知識が欲しい!もっと勉強したい



『ミーサーちゃんはエルフリッド領について、どう思う?』


『へ?急にどうしたの?えっと……サーは凄く良い所だと思う』

『うん、色んな種族の人がいるのに、犯罪も少ないしー魔物もあんまり出ないよー?』


『あんまり……?じゃあちょっとは出るの?』


『あれ?アールは知らない?』

『そっか、まだ討伐隊の事は知らないよねー』


『討伐隊!!』



──何だそれ、面白そう!


──うわっ~やだ。私は行かないわよ?



『あのね……』


と、サーちゃんが討伐隊の事を教えてくれた。

どうやら定期的に領周辺の森には討伐隊が送られているのだそうだ。

その都度募集がかかるので二人はそれを知っていた。

成人だと誰でも参加できるが、何かあっても自己責任となる。そのかわり報酬はいいらしい。参加者は必然的に屈強な男性が多いらしいが、攻撃魔法を得意とするエルフなんかも参加しているらしい。


『へ~知らなかった』



──そうか、それで母さんもナジールに行ってるのね。じゃあ、タリル先生達も普段は参加してるのかな


──そうじゃないか?そういや、町の人も普通にタリルを知ってたもんな。そういう関係もあるのか……ん?でもナルコスの事はあまり知られてない感じだったよな?ヤツが討伐に参加しないとか……違和感しかない


──だよね……っていうか、また話が逸れたよ!



「ごほん!」

仕切り直しとばかりに咳払いをした。


『どうも話がそれちゃうから、紙に書いていこう。取ってくるね』

席を立ち、自室にある紙とペンを取りに戻ることにした。


『そうだねー。ミーが書くよー』

『うん、じゃあサーはここら辺片付けておくね』


「そうだ。モフ……」

すっかり忘れていたがモフを連れてきていた。

キョロキョロと辺りを見回した。



──あ、ベットで寝てる。かわいい


──鳥は早寝早起きだもんな。そのままにしとくか


──ねぇ、ミーサーちゃんも眠いんじゃない?早く纏めないと


──だな!おしゃべりしてる場合じゃない。よし、本気だすぞ


──ん



「じゃ、ちょっといってきます」


「アール!」

「泥だんごー」

「一つ」

「くれるー?」

ミーサーちゃんが交互にそう言った。


「どろだんご?もちろんあげるよ。はじめにつくったの、みがいたんだ。ついでにそれ、もってくるね!」


「ありがと」

「うれしー」


「へへ、じゃ、あとで!」

気合いを入れ直し、自室へと向かったのだった。


一気に最後まで進めたいのに……力不足を感じる今日この頃。

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